グラディオスB02
俺の視線を追ったコクピット側のカメラが、注視したポイントにカーソルを合わせる。
スコープのレチクルの動きにも似ていた。倍率を合わせるように拡大化する。
『なんでこんな危険なものまで一緒にあるんだろうね』
「それは………そうだな。新型ガリウスが………例えば、敵以外にも欲してる組織がいて、襲撃して奪おうとした時の最終手段として、ケイスマン教授が用意してた………とか」
返答に困った。
俺はソータが警戒を示すコンテナの正体を知っているが、説明するべきではないと思った。
これまで見てきたロボットアニメのなかから、適当な理由で誤魔化すしかできない。
数秒遅れでシドウが合流したが、聞かれていたら「どんな組織だ」と突っ込まれていただろう。
しかし、そういう組織というか、連合軍の派閥にもそういう部類が存在するのも確かなのだ。登場するのはずっと先なのだが。シドウもそこだけは知らない。
人間の恐ろしさがより顕著となるのが、第2クール目だからだ。
『進捗は?』
「二割を切っています。ソータがほぼやってくれましたよ」
『ならいい。ところで、なぜこんな爆薬がここにある? この量は………サフラビオロスとて無事では済むまい』
あー、シドウ少尉?
せっかく誤魔化したのに、掘り返してほしくなかったなぁ。
いや、いいのか。本編でもこれについて指摘してたもんな。
『わかりません。運びますか?』
『待て………いや、運搬はすぐにはできない。固定されている上に、外せば爆発する仕組みかもしれない。下手に触れば俺たちでさえ危うい。ここに捨てていくのが正解だろう』
そうなるな。
そのコンテナの仕組みをたった数秒で分析したシドウの見解は正しい。
ソータも下手に刺激せず、他のコンテナを避けて、うまく作業してくれた。
このコンテナにぎっしりと詰め込まれた爆薬がなぜここにあるのかは明かされていない。床に固定され、コードは床に繋がっており、無理に外そうとしたり、強い刺激を与えると起爆する仕組みだ。
そんな危険物をここに置いておくなよ。という話だが、ケイスマンはあの派閥を知っていたのか、有事の際はガリウスごとサフラビオロスを吹っ飛ばす危険思想の持ち主だった………とファンブックには載っている。
ヤベェなあのジジィ。
俺、ケイスマンを尊敬すると口走ってしまったが、本当に尊敬すべきだったのか逡巡しちまうぞ。
『このコンテナ以外を運搬する。両名はここで作業を継続。俺はグラディオスに戻り様子を見る』
シドウのガリウスFが反転する。
この時、俺はすでに残存のコンテナを頭に叩き込んでいた。
なにが必要で、なにが不要か。本編に準ずるならわかる。
「ソータ。これと、これ。あとそこの緑色のをカタパルトに乗せてくれ」
『せっかく仕分けしたのに』
「わかってるって。あとで頭撫でてやるから。言ったとおりにしてくれよ」
『いらないよ』
こんにゃろ。なら、強引に撫でてやる。なんだったらレロり尽くしてやるからな。
………ソータがその時まで、俺に懐いてくれさえすれば、だけど。
ソータに優先的に送るよう頼んだのは、本編でも必要とされるものだった。確かに記憶にある。第5話辺りで、グラディオスのドッグに似たようなコンテナを見たからだ。
薄暗い空間を2機のハイビームライトが照らし、順調にグラディオスに物資を送る。
もう残りも少なくなってきた。あと2回で済むだろう。
つまり………始まる。
サフラビオロスが、ソータたちの安念の棲家が、すべて失われる瞬間が訪れる。
『レビンス。ノギ。グラディオスでの受け入れは順調に進んでいる。残りは───』
「ソータ! 外に出ろ!」
『なにっ!?』
シドウからの通信を振り切るように、俺はソータのガリウスF一号機にタックルした。
カイドウのおっさんからは無茶すんなと言われているが、今やらないとどうしようもなくなる。
3機同時に警戒アラートを発し、敵襲を報せた。だが俺はその前にソータを外に連れ出した。
『敵襲だと!? くっ………物資運搬は中止! 両名は予想される戦闘宙域から離脱し、グラディオスに全力で戻れ! 後ろは守ってやる!』
カッ───となにもなかった宙から閃光が迸る。
距離があった。俺たちとシドウの中間に割って現れた。ゆえに俺が初陣で使った掟破りの荒技は間に合わない。
シドウは元々戦闘を視野に入れていて、ロングソードの他にもバルカンを装備している。
熱源が膨張し、金と赤を織り交ぜた色彩の光を纏う異形が出現した次の瞬間には、シドウが仕掛けていた。
「人型に近い………Bタイプか」
通称、アンノウン。それが「天破のグラディオス」の世界にて、人類滅亡を企む敵の呼称。
未知の生命体であり、当初こそ通常兵装で勝利したが、学習能力が凄まじく、新しいタイプから従来のタイプまで対策能力を得て人類を上回ろうとした。
その過程で生産されたのがガリウスだ。アンノウンに劣らぬ学習と更新。最適解を選んでアンノウンの撃破を目的として製造された、人類の剣にして盾である。
今回襲来したのは歪ながら人間を模している形状のアンノウンで、熱から質量を取り出して具現化する。
シドウのガリウスFが繰り出したロングソードの剣戟を、難なくグニャグニャな腕で受け止めた。
「甘い!」
シドウは単身で複数の敵を撃破可能なエースパイロットである。右手の剣戟を止められた程度で止まらず、左手に携えたバルカンを発砲。アンノウンBタイプを弾幕にて遠ざけた。
ロボットものはいつか書いてみたいと思っていました。そのための勉強をしております。
今日はまだまだ更新します!
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