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終焉の譜B06

 俺の狙いはたったひとつ。Eタイプ同士の衝突。それもただの衝突ではない。


 俺とソータという、高機動に特化した組み合わせだからこそ可能にしたであろう無茶振りだ。


 コクピットを襲うGで内臓が押し潰され、手足がバラバラになりそうになる。


 これでまだタキオンはリミッターをかけている状態ゆえ、4割くらいの加速だというので恐ろしくなる。


 これまでゆっくりと流れていくようなEタイプの上顎と下顎。上下と左右で塞がっていく。それらが殺人的な加速で、通常の50倍の速度で早送りしたような視界となる。


 意識が朦朧とするなかで、メインカメラから見えたのは、まるでテニスボールのようにがっちりと噛み付き合ったEタイプ同士だった。


 ただの衝突ではないとは、このことだ。俺たちを飲み込もうと口を開いたEタイプ同士が逃げ場を塞ぐべくディープキスをした形となる。


 そして傷無しの方にプレゼントした置き土産を起動。中身は冷却剤で保護した高圧縮ガスと鉄球である。


 スイッチで冷却剤の機能を閉じると、密閉空間で圧力釜で炊かれたパチンコ玉が弾けるように、鉄球がEタイプの体内で踊る。高圧縮したガスも噴出し引火。2体のEタイプ同士で閉ざした口腔で、大爆発が生じたのだ。


『すげぇ! うまくいったじゃん!』


「けど油断すんな。まだ倒せたわけじゃない! 足止めしただけだ。Eタイプが復活する前にグラディオスに戻るぞ!」


『わかった』


 もしグラディオスの艦内で同じことが起きれば、内部から崩壊しかねない爆発だったというのに、Eタイプはどちらも健在だった。「ゴア………」と悲鳴のようなものも聞こえたが、両方とも牙を失い、顎が半壊したが、動きを止める様子はない。


 これではどちらも傷有りと呼べるが、区別するためにあえて数秒前の呼び方で呼称すると、傷無しだった方が若干後退すると反転を始めた。


 すると傷有りが「邪魔だ」と言わんばかりに、反転途中だった傷無しを強引に押し込んで、自らの進路を開いた。ところがこの行為、傷無しだった方にも利点があった。擦れ合う2体。傷有りの方が傷無しだった方を転がして、反転速度を速めたのだ。


 かなり強引ではあったが、傷有りが傷無しだった方を引き連れる形で俺とソータを追尾する。


「面倒だな。もう追跡モーションに入りやがった!」


『行って、エー先輩! ここは俺が引き受ける!』


 タキオンと一号機の敏捷性ならEタイプを振り切れるが、Eタイプの直掩から追撃に以降したBタイプとCタイプは、こちらの防衛線に突撃するだろう。これだけの物量差ではグラディオスの直掩で築く防衛線など無いに等しい。


 ソータの判断は早かった。数機で展開したいつもの防衛線よりも数キロ先で、単独でもうひとつの防衛線を築こうとしたのだ。


『エー先輩の邪魔はさせないから。あ、そうだ。その代わりガンビッド貸してよ。実はさっきの脱出でミスったみたい。ファストパック壊れちゃった』


「………いいよ。いくらでも貸してやる。すぐに助けてやる。5分だけ稼いでくれ」


 敵陣を内側から突破して、味方陣営に戻る途中でガンビッドが合流したので、一号機がパージしたファストパックがあったバックパックと脚部にガンビッドを接続。コントロールを譲渡する。これで少し頭が軽くなった。


『ん。相変わらずいいね。エー先輩のガンビッドジャケットがあれば、もっといいんだけど。………5分なんてケチなこと言わないでよ。10分稼ぐから』


 ファストパックが消えて、ガンビッドを代用とすることで火力が増したとはいえ、単独で大群を相手にして無事でいられる方がおかしい。わかっているのだが、ソータならきっと生きていてくれる。次の第2ラウンドをともに戦ってくれると、信じることにした。そうするしかなかった。


「合図したら射線軸から退避しろ」


『了解』


 ソータと再び背を向け合う。


 最前線をソータに託し、俺は常に下がり続けるグラディオスへ。


「隊長! 狙撃戦に切り替えてください! ポジションを維持して、ソータのフォローを!」


『俺たちがレビンスがいる場所に直接出向けば確実なフォローができると思うが。狙撃を可能にするメンバーが少なすぎる』


 先程まで最前線だったポイントを通過する際、シドウへソータの援助を求めた。


 狙撃戦といえば、可能にするのはオールラウンダーなシドウとヒナと、スナイパーであるシェリーくらいだ。装備からして長距離の銃撃はできない。


「ソータは単独でいいんです。ソータならいざという時にすぐ逃げられます。それから………アイリ!」


『はい! 長距離に適したライフルはすでにそちらへ送っています!』


 アイリは俺たちの会話をよく聞いている。


 ソータの声なら聞き逃さないだろうし。重要なことならミスはない。


 そして最近になって、思考がより発達したと思える。現に今、会話だけで俺が求める結果を先読みしてライフルをダイレクトサポートで送っていて、コウがコンテナを受け取ると各機にライフルが行き渡る。


 敵は密集していて、どこに撃っても当たるだろう。数を減らすというよりも、勢いを止めるのが目的だ。


「グラディオス! これより射線軸に突入する! レイライトブラスターの準備を!」


『すでにいつでも撃てるよう、レイライトリアクターの回転数は臨界に達しています。しかし………タキオンが無事で済むかどうかは、不明です。それでも実行なさるおつもりですか?』


「やらなければ全滅です! 今しかないんだ! タイミングは任せます!」


 防衛線を仲間たちに託し、タキオンはグラディオスを通過すると相対速度を合わせ、主砲の射線軸に自ら入る。


 オペレーターが言っていたように、グラディオスの前方のハッチが開いていて、レイライトブラスターの砲身が露出している。


《ハルモニ! 細かな計算は任せる!》


《イェス。メカニック・エース》


「よし。パピヨンジャケット、出力全開! 腹括れよ、みんなっ!」


 グラディオスはレイライトブラスターを撃つために、機首を斜め上へと持ち上げる。ウィリー走行をイメージした滑空だ。


 よって、その射線軸にいるタキオンは、グラディオスと対峙しなかった。どちらかといえばアンノウンの大群を正面に捉えている。


「パピヨンジャケットの形状変更。揚力を前へ。レイライトリアクターと直結。安全装置作動。誤差修正」


『レイライトリアクター臨界到達! 射線軸固定! 目標、()()()()! レイライトブラスター発射まで5秒前! 4、3、2、1、発射ッ!』


 最大の緊張、再び。


 失敗すれば俺は死ぬ。跡形もなく。


 グラディオスの機首がチカッと光ると、あの超巨大なレイライトリアクターから供給されるエネルギーが、タキオンを焼き尽くさんと発射された。


ブクマ、評価、リアクションありがとうございます!

次回は12時頃を予定しております!


作者からのお願いです。

この作品は皆様の温かい応援で成り立っております。ブクマ、評価、感想、リアクションなどのありがたい応援を、ガソリンのごとく注入していただければ、作者は尻尾があれば全力でぶん回しつつ筆を加速させることでしょう。何卒よろしくお願いします!

誤字脱字報告、ご質問も大歓迎です!

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