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終焉の譜B04

「みんな聞け! これから賭けに出る!」


『うわ、出たよ。エー先輩のお家芸』


『っていうか、エー先輩が賭けに出なかった時なんてあるの?』


『みんな覚悟しておいた方がいいかもね。エー先輩、絶対無茶するから。いやマジで』


 ソータが呆れ、ヒナとシェリーは辛辣気味に指摘する。


 言ってくれるじゃねぇか。生意気な後輩たちめ───とは口が裂けても言えない。


 なぜなら、まさに彼らの言うとおりだから。


 俺は今から、かなり無茶をするからな。


「グラディオスはメインスラスターこそやられてないけど、アンノウンの攻撃に晒されてる。残念だけど、現状の兵器でEタイプを退けられないだろう。でも、だからって言って諦められるはずもない。だから強引に使うしかねぇんだよ。レイライトブラスターをよ!」


『は?』


『は?』


『はぁ?』


 ハーモン、コウ、ユリンの順番で応えが返る。というか、これは聞き返すような声か。無視するけど。


『無茶を言う。グラディオスが反転してみろ。減速すればEタイプに組み付かれるぞ』


「それくらいわかってますって。だから、減速せずに撃ちます」


『いや、だからそれは正面にしか撃てないのだから反転しない限り………いや、まさか、お前………』


「論議してる場合じゃない。今は確実性を高めるために1体でも多くアンノウンを消すべきです!」


 タキオンは加速し、ソータの一号機に並ぶ。


 再出撃する前に、ハードポイントにありったけの装備をぶら下げてきた。それを外しながら各機の横を通りながら簡易的な補給をする。こう数が多くては、アイリのダイレクトサポートの失敗する確率も高くなる。アイリは今、ドローンカメラを下げさせている。一旦休まなければ集中力も続かない。瞬時に4機の操縦を常に切り替えて、戦況を分析しつつ補給と援護射撃を行うのだ。長続きするはずがない。嬉々としてやってた俺以外では。


 一号機は欠損し始めたロングソードを投擲しCタイプを消すと、差し出した新しいロングソードを受け取った。それも二振り。二刀流でやらなければ間に合わない。


「ついて来いソータ! レイライトブラスターを撃つ前に敵の厚みを減らす!」


『ま、たまにはいいかな。エー先輩と一緒に飛ぶってのも………悪くない!』


 絶体絶命のはず。消耗戦となり、どうしても回避し得ない未来に絶望するはず。しかしソータは、いきなり俺の復帰と同時に絶望を跳ね除けた。


 声がそうだ。ついさっきまでアンノウンに追い詰められていた側とは思えない、漲る胆力が込められている。


 タキオンとガリウスG一号機が、灰色と青の軌道を描いて防衛ラインよりも前に出ると、敵陣に突撃して数多のCタイプに刃を滑らせる。


 第四世代ガリウスDの時代から脈々と継承され、その都度改良を重ねてきた代表的な装備であるロングソードは、物理的な刃はあれど、刀身はビームで形成される。実体剣には対ビームコーティングが施され、その上からビームを張るのだ。


 それがアンノウンを切り裂く。表の刃を防いでも内なる刃によって切り裂かれる。


 ソータは近接系の武器の扱いがうまい。シドウをも上回る。機体のダメージコンロトールだけでなく、武器の損耗も抑え、長く使用することができるのだ。


 それゆえに二刀流となると、これ以上となく敵を両断する、エースパイロットに磨きがかかる。


 敵陣に突撃して20秒。Eタイプも負けじと搭載したCタイプを吐き出しているが、ソータの撃墜数が上回る。


 だいたい50体くらいは斬っている。瞬間的な判断力が恐ろしく速い。脳内チップを搭載した俺に並ぶくらい。


「………これが、才能の差か」


『なんか言った! エー先輩っ!?』


「なんでもねぇよ。それよりほら、反転して新しいロングソード受け取れ!」


『ははっ。すげぇ! アイリのダイレクトサポートが常に後ろにいるみたいだ!』


 いかに優れた判断力と、ダメージコンロトールを有しているとはいえ、ただでさえも高熱を発するアンノウンを、さらに記録を伸ばして60体目を切り伏せればロングソードだって壊れる。刀身が融解し始めていた。よって両刃であるそれを返し、反対側の刃で斬るも、故障しているがゆえに完全には切断できていない。どちらかといえば鈍器に近い。大きく広げた両腕を翼に見立てて、それで殴っている印象。


 それでは真価を発揮できない。ロングソードを大量に持ってきておいて正解だった。足のハードポイントに臨時のラックを取り付けて、ロングソードを提げている。一号機が両端から挟撃しようとしたBタイプに破損したロングソードを投擲して消すと、タキオンがロングソードを射出。ノールックでキャッチしやがった。


『楽しい………エー先輩が一緒にいると、すげぇ楽しい! 本当はさ、そんなこと考えちゃいけないんだよね。不謹慎だから。でも今、俺すげぇ楽しいんだ! 負けない。エー先輩が隣にいるなら、なんにでも勝てる気がする!』


「そりゃ光栄だな。………はは。俺も楽しいよ、ソータ」


『ははは!』


 本当に楽しそうにしやがって。


 確かに不謹慎だ。生きるか死ぬかの瀬戸際に、愉悦を見出すのは………多分、第2クールでのユリンくらいだったかな。


 けど、ソータに言われて俺も嬉しい。そして楽しくなる。さっきまで才能の差を見せつけられて、少しだけナーバスになっていたのが嘘みたいだ。


《ハルモニ。エース・ノギ副隊長の権限で、パイロットであるソータ・レビンスのバイタルチェック。体調面ではなく、脳波などを調べろ》


《イェス。───パイロット・ソータは極度の興奮状態であると予想できます。以前もそのような傾向にありましたが、今回の数値はそれを上回ります。ガリウスG一号機の性能限界を引き出していると分析できるでしょう》


 脳波の測定とまではいかなかったが、やはり機体の限界を引き出そうとするか。


 あとでカイドウたちが泣くだろうが、今はそれでいい。


 希望はまだある。


 ソータはネガティブな心境ではなく、ポジティブな心境から覚醒を遂げようとしているのだから。


ブクマ、リアクションありがとうございます!

総合評価が600を超えてテンション高いです。応援のお陰でいつもの時間に更新が叶いました!

目指せ総合評価いちま………いえ、まずは1000ですね。

次は19時頃を予定しております。明日も同じタイムスケジュールで更新します。今から書き溜めれば………なんとかなる気がします!


作者からのお願いです。

この作品は皆様の温かい応援で成り立っております。ブクマ、評価、感想、リアクションなどのありがたい応援を、ガソリンのごとく注入していただければ、作者は尻尾があれば全力でぶん回しつつ筆を加速させることでしょう。何卒よろしくお願いします!

誤字脱字報告、ご質問も大歓迎です!

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