グラディオスB01
第3話のAパートは、ソータがエレベーターをカタパルトに改造するプランを思いつき、サフラビオロスに突入するところで終わった。
Bパートは搬入口から少し進んだところにある、第七世代ガリウスFを製造した大きなドッグから開始する。
俺はそこでソータと物資のあたりをつけ、エレベーターを昇って地上に近いフロアへと突入する。
「シドウ少尉はもっと上に行ったみたいだな。………さて。俺自身、どこまでやれるやら」
探すのは食糧庫だ。
地上にあるそれとは違う。
サフラビオロスという宇宙コロニーは円筒の形状をしている。円筒の外周に人々が住う街があり、回転の遠心力も利用して二足歩行を可能にしているだろう他のアニメとは違い、このコロニーの仕組みはとても簡単だ。
円筒の中心を線引くように大地がある。上を見上げれば空があるが、巨大なモニターで朝と昼と夜を演出している。夜だけはモニターが解除されて宇宙空間を見られたりする。
大地から下の巨大な空間こそ重要で、宇宙船を収納できるほどの港があったり、それを製造するドッグがあったり。コロニーを管理する心臓部のようなブースがあったり、水を濾過するブースがあったり、あるいは学園が所有する訓練機があったり。今回のようにケイスマンが作ったエレベーターやドッグがあったり。
俺が目指すのは食糧庫だ。
とはいえ、この巨大な円筒に住う民間人の食糧を収容できるほどの倉庫には行かない。
時間がかかりすぎる。なにより遠い。
幸いなことに、エレベーターは学園直通。
なら、必ずといっていいほどあるはずだ。
食堂の倉庫が。
水だけではない。食糧、調味料などが冷蔵だったり冷凍されている倉庫だ。
生産プラントから直通で運ばれてくるそれを地上の食堂に運ぶのだ。
街の倉庫で保存されている量と比較すれば一割にも満たないだろうが、戦艦で保存する分には問題ないだろう。これで味のある食事をほぼ毎日楽しめる。
「………ビンゴ!」
学園のことならソータより詳しいエース・ノギの知識は大したものだ。地上ではなくとも食堂の下まで移動できてしまった。
やはり食糧の運搬は車両ではなくパワーローダー、もしくは専用のレーンで行うらしく、ガリウスGプロトタイプであっても軽々と入れた。もし入れなかったら詰んでいた。
「ソータ。食糧や飲料水を発見、確保した。そっちは?」
『改造が終わったよ。ちょっと遅めのカタパルトって感じ。もう動かしちゃっていいよね?』
「いいぞ。グラディオスもポイントに到着しているはずだ」
物資運搬の手段は一方的な射出である。なにも俺たちが往復する必要はない。
グラディオスもまた移動していて、搬入口の直線上で待機していた。ソータが放った物資を、整備士たちが搭乗した複数のパワーローダーで受け取る構図だ。
通路の奥でゴゥンと機械が鳴る。どうやらうまく作動したようだ。
「積載方法さえ間違わなければ、途中で分散しないよな。ならまずは………ソータ。今、発射台がそっちに行った。回線は固定。コントロールはそっちに任せる。最初はガリウスのパーツを発射していい。こっちは発見しただけで、まとめられてないからな。3回目くらいでこっち回してくれ」
『わかった』
これで物資と食糧を、ある程度のペースでグラディオスに送ることができるだろう。ソータなら計算を間違えるはずもないし、俺が余計なことをして狂わせたくもなかったので、段取りを決めるだけに留める。
プロトタイプガリウスGにコンテナを運ばせて、一ヶ所に纏める。
3回目の射出でコンテナを乗せ、ソータに指示を出して送らせた。
「少尉殿。こっちは順調に物資を送れています。水と食糧はすべて乗せました。あとはガリウスGの物資のみとなります。そちらの進捗はいかがです?」
『こちらも終了した。これから合流するところだ。思った以上にコロニーの損傷が酷くなっている。事故が発生する前に帰還するぞ』
「了解です」
ソータはシドウとこうした連絡を取りたがらなかった。苦手意識がある人間とは会話をしたくない性格だからだ。
俺が潤滑油になることで進捗を早めることもできるだろう。
それに───
「………時間がない。急がないと」
俺は、ここからの展開を知っている。
とあるトラブルで、ソータがほぼ全員から非難の目を向けられることになる。
あのシドウさえ同情的になるほどだ。
そのせいでソータは、周囲の視線を怖がるようになる。
ビクビクとしながら消極的となり、そのくせ戦闘になると無慈悲なパイロットになる。
覚悟は………ある。
そのトラブルの原因を、俺が一挙に引き受ける。
ソータのためだ。あんな曇った目をさせたくはない。
プロトタイプガリウスGをカタパルト沿いに進ませる。
「ソータ。あと何割だ?」
『三割くらいかな。あ、そうだエー先輩。見てほしいものがあるんだけど』
「うん?」
ソータと合流すると、なんともまぁ俺よりも効率的で、迅速に物資を射出していたソータが、残りのコンテナのひとつを示した。
俺はそれを目視するや、眩暈を覚えるのだった。
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