終焉の譜B02
『三号機、四号機はグラディオスに戻れ! 腕を送るよう進言したので途中で換装! 各機、被害状況報せ!』
シドウの指示でハーモンとコウがグラディオスへ向けて飛ぶ。
『一号機、足のスラスターがイカれたけど、まだやれます』
『二号機、パピヨンジャケットでもEタイプの熱を回避できなかったみたい。出力40パーセントまで低下。けど目立った外傷もなし。無傷よ』
『五号機、スナイパーライフルが壊れました。メインスラスターにも支障有り。けど標準装備でも戦えます!』
『ろ、六号機、五号機とほぼ同じ故障です。でも武器はまだあります!』
『こちらもメインスラスターのみならず、追加装甲と追加スラスターが故障した。………とはいえ、あんな相手が2体も出現したとなれば………もうガリウスではどうにもならんかもしれない。エース。そちらの状況は?』
俺の無茶振りであっても応えてくれたソータたちは、まだ生きている。
それだけでも儲け物だ。
「………さっきのでガンビッド1番、2番が大破。推進剤も残りわずかってところですかね。損害はありませんが」
タキオンは俺が思っていた以上に頑丈だ。あれだけの衝撃と熱波に晒されておきながら、まだ問題なく動く。ガンビッドジャケットのハードポイントに接続していた推進器代わりにしていたガンビッド2機を失っただけときた。
『だが、もうその状態ではもう戦えまい。一旦、艦に戻って補給を受けろ』
「しかし」
『そのジャケットの予備はないのだろう? 実弾はハンガーで補給するしかない。ここは俺たちに任せて、行け。ただでさえもお前は新型2体を相手にしたのだ。自分自身の疲労も忘れるな」
「っ………すぐ戻ります」
ガンビッドジャケットの有用性は示せた。例え残弾がわずかであろうが、新型2体に挟撃されても圧倒したりと。
その理由は推進力にある。
タキオン本体と、ガンビッドジャケットのバーニアに用いる推進剤は残り半分くらいだった。
推進剤だって無重力下にあっても重量が緩和されるわけではない。満タン時と比較すれば機体も早くなる。軽ければ緩急を付けなければならない飛翔の燃料も浮く。これがカイドウが大好きなパイロットとしてのテクニックのひとつだ。
これで補給に戻れば弾薬やヒートナイフ、推進剤などで機体が重くなるが、Eタイプを倒すには火力が必要なのだ。もう装備無しかつ推進剤がわずか10パーセントを下回っていても戦えますだなんて言えない。
アイリが駆るドローンカメラと、ダイレクトサポートでハーモンとコウはすでに素体のままの両腕を受け取っている。コンテナが分割し、投げ出されたそれをガイドビーコンを発して誘導。肩に接続。
「ハーモン、コウ。これやる。こんなのでどこまでやれるかはわからねぇけど」
『無いよかマシだぜ。エー先輩、俺のことマジでわかってんな!』
『お前はロングソードを失えば拳で殴りに行くだろうからな。まぁ俺もそれは同じか。ありがたくもらっておく。前線は任せてくれ。エー先輩』
擦れ違う際に、追従させていたガンビッドを三号機と四号機の右腕に装着させた。レイライトリアクターは無事だ。そこから供給されるエネルギーさえあれば、ビームソードを出現させることもできる。
そして飛翔することで冷却を同時に行ったタキオンは、やっと後退するグラディオスに追いつき、カタパルトの天井にあるクレーンに牽引され着艦。やっとまともな補給を受けられるのだった。
「すまねぇなエース。ろくな補給も受けさせてやれねぇでよ」
コクピットのハッチを開き、スロットからインターフェースを抜き取る。
整備士たちが大勢群がり、タキオンの整備と補給を開始すると、コクピットにカイドウが乗り込んだ。スポーツドリンクを手渡されたので、ヘルメットの横に接続。内部でストローが伸びて、バイザーを閉めたまま飲むことができる仕組みだ。
「それがタキオンの辛いところですね。………ふぅ。状況は?」
まだ脳内チップのキャパは残っている。カイドウが駆け付けたのは、コンソールではなく自分の端末で情報処理に駆使した容量を軽減化させるためだ。少しでもキャパが戻れば、この持久戦に突入しそうな対艦戦においてより長く行動することができる。
目を閉じて、少しでも脳を休めようとしたが、どうしても進捗が気になって、ハンガーのカメラに接続して視界を確保してしまう。ガンビッドジャケットだけではない。右腕のヒートナイフの予備、左腕のヘビィガンの銃弾を装填しているところが見えた。
「最悪だ。まさか………Eタイプが2体もしゃしゃり出て来るとはよ。誰だって思いもしなかっただろうよ」
「俺もです。新型はどうにでもなりますけど、Eタイプじゃねぇ………」
「お前、ほんと恐ろしいことサラッと言うよな。新型は雑魚じゃねぇんだぞ?」
「タキオンなら、あと3匹くらい増えたって倒せますよ」
「お前ならマジでやりかねねぇからなぁ………うおっ!」
コクピットが激しく揺れる。ハンガーが、いやグラディオスが揺れた。危うくカイドウがサブモニターに頭から衝突しかけるが、俺が助けようとする前に手をついた。
「被弾しやがった………どこだ?」
「検索します」
《ハルモニ。艦の被害は!?》
《展望デッキ被弾。推進器、砲には問題ありません》
航行に支障はないが、憩いの場所が破壊されたとあっては心が痛む。
「展望デッキに被弾したらしいです。けど、まだ戦える」
「………戦えるっつってもよぉ」
「かなり厳しいのは否めませんけどね」
原作破壊行為により発生してしまった不測の事態を、どう解決に導けばいいのか。
俺はどれだけ思案しても思い付かなかった。
これがもしEタイプが1体だけで、艦載機がDタイプだらけとかなら、まだやり様はある。しかしEタイプは別格だ。
俺は前回の───右腕を欠損し、脳死に至るまでの戦いでは戦力として出撃はしておらず、レイライトブラスターのある区画で孤軍奮闘した。よってEタイプは対峙したことがない。
今日が初めてだった。実際に目の当たりにするのが。
俺のタキオンの全長は12メートル。対してグラディオスと戦うことになるあのEタイプは約250メートル。比較するまでもなく圧倒的な巨体。
ビームシールドで1本の牙を止めたが、接近してみてわかる。あれはGタイプなどとは違う。タキオンでさえ勝てないかもしれないと諦めてしまいそうになる。
改めて思う。本編ではあのEタイプにグラディオスは勝利したのだ。それは物凄いことだ。
「補給はどれくらいかかりますか?」
「5分………いや、2分で終わらせる。お前、あれで操縦が丁寧だしな。Gタイプとかいうヤベェやつと殴り合いしたから腕のモーターがイカれたかと思ったが、そこまでイカれちゃいねぇから、パーツをそこまで交換する必要もねぇしな。Eタイプとの衝突もうまく緩和できたじゃねぇか。………けどよ、エース。あんな化け物を………それも2体を同時に相手にするんだぜ? 俺は………どうしても、勝てるたぁ思えねえ」
敵の脅威は、今やカイドウの熱烈な精神論ではどうにもならない。ゆえに、弱気になってしまう。
その気持ちは、俺も痛いほどわかるものだった。
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