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グラディオスA06

 〜シドウside〜


 幼馴染の父親が艦長を務め、昔から付き合いのあるという父親が整備士長を務める宇宙戦艦に配備され、数ヶ月が経過した今、俺はミチザネ隊結成のため、サフラビオロスという作り上げられた平和を象ったようなコロニーに訪れた。


 本来であれば13機の新型ガリウスを受領し、育成された新兵13名を俺の部下とする予定だったのだ。


 それがいざ、ランデブーポイント直前で目にしたものといえば………瓦解の一言。


 俺が受け持つはずだった新人パイロットは全滅したと考えるべきだ。


 宇宙コロニー、サフラビオロスは中破し、すでに人間が住める環境ではなくなっている。


 民間人は脱出し、残存している連合軍も総力を決して脱出。射出された救命ポッドの護衛をしながら遠く離れたコロニーへと渡航すると連絡があった。送られたリストを照会しても、脱出できた軍人のなかには部下になるはずの彼らの名前はなかった。


 代わりに収容したのは、誤作動かなぜかは知らないが、当艦に向けて射出された救命ポッドと、漂流しながらも新型ガリウスを運んだ救命ポッド。


 そのなかに大人はいなかった。


 全員が子供で、学生。俺たちが守るべき存在。


 パイロット科もいるようだが、精々パワーローダーや、訓練機に触れた程度の、戦力にも数えられない脆弱な子供。


 俺の父は言った。軍人になったからには、その機体で必ず誰かを守れるようになれと。


 幼馴染の父は言った。きみはグラディオスに必要なエースパイロットととなるだろうと。


 幼馴染は言った。なにがあっても絶対に帰ってきてねと。何度も言われた。


 当然のことだ。俺はなにがあっても民間人を守り、帰還する。


 特に親父の言葉は絶対だ。その誇りを俺は継承したいと強く誓った。


 だというのに、このザマはなんだ?


 気に入らない少年がふたりいた。


 最初に殴りかかってきた直情的な猿のような小僧は眼中にない。そういう類はどこにでもいる。街でも、学校でも。殴ってわからせればいい。いつものこと。その分、あのふたりに比べれば好感が持てる。


 だがあのふたりは、本当に謎だった。不気味なくらい。


 ソータ・レビンス。


 ああいう類の男を、俺は知らない。


 着艦時は、そのスムーズな操縦に、唯一生存してくれた新人パイロットのなかでも一番のやり手が来たと心が弾んだ。しかしコクピットから降りてきたのがソータ・レビンス。やる気の無さそうな面持ちをした、掴みどころのなさそうな、怠惰をこよなく愛しそうな、俺とは正反対なタイプだ。


 父親であるカイドウに操縦記録を見せてもらったが、流石は俺が使う第六世代ガリウスFとは違い、第七世代ガリウスGの性能ゆえのピーキーなマニューバだと舌を巻いたが、顕著となったのがソータ・レビンスという、あの学生が乗りこなしたという点だ。


 気に入らない。すべてが気に入らない。


 あれだけの腕を持っていながら、ソータ・レビンスはあれが初陣どころか、乗ったのも初めてだったというではないか。


 いったい、俺が数年に渡り受けてきた講義と、血を吐くような厳しい訓練はなんだったのだろうか。初陣にしても、俺も戦果こそ挙げたが、仲間の手を借りて勝利した。


 比較して、奴は初陣を単機で完勝した。


 それが才能の差なのか?


 ふざけているのか?


 ………ふたり目は、エース・ノギという男だ。


 ソータ・レビンスの上の学年で、パッとしない外見にしては………驚くほど判断が早く、そして最善を選ぶ。


 ソータ・レビンスと比較しても操縦技術があるとはおくびにも言えないが、妙に周囲から好意的な目を向けられていたのが印象的だった。


 あれでもし、ガキ大将のような印象をしていたなら、まだいい。


 しかし、あれはなんだ?


 力ではないなにかで、人望を集めている。


 カリスマ性とも言えないなにか。


 掴み様がないためか、ソータ・レビンスよりも理解に苦しむ。


 その結果、俺は───エース・ノギに恐怖を抱いていた。


 自分よりも一回り歳が下の少年にだぞ。


 笑えてしまう。


 だが、父と艦長もそうであったとも知った。


 その上で見極めようとしている。ゆえに当初はソータ・レビンスのみに依頼しようとした崩壊寸前のサフラビオロスを物色する任務に、奴も同行させることにした。


 その任務のリーダーが俺だ。


 ………俺に、奴を見極められるのだろうか。


 時折、奴は不気味な目をする時がある。ソータ・レビンスとその取り巻きによく向ける、なんていうか………興奮しているのか、誉めようとしているのか、下心満載な下卑た下衆のような………。


 そんな目を、俺にも向けてきやがる。


 気持ちのいいものではない。


 ふざけているのか?


 逆に俺を見極めようとしているのか?


 ………上等だ。


 ならばその勝負、受けて立つ。


「調子に乗るなよ」


 牽制代わりに威嚇しながら噛みついてみる。


 幼馴染のあの女が見ていたら「大人気ない」と呆れて頭を叩かれていたかもしれない。


 しかし、



「もちろん承知していますよ、少尉殿。俺たちは民間人だ。ガリウスに乗れるからって、周りに吹聴すれば不安を煽るだけ。少尉殿は、俺たちだけじゃなくて、保護したみんなが不安にならないように厳しく言っていることも、重々承知してます」



 ………なんだ、こいつ。本当に学生なのか?


 まるですべて承知していますよ。最初からわかってますって。なんて言いたげな目をしやがって………っ!


 なぜ、艦長や親父が言いたかったことまで見抜いている!?


 俺は、いったい………誰を相手にしているんだ?


ブクマありがとうございます!

この勢いを維持するどころか、より波に乗ってランキングに載ったら最高ですね!

昇天するかもしれません。作者を昇天させるためにも、是非ともご協力いただければと思います。よろしくお願いします!


作者からのお願いです。

この作品は皆様の温かい応援で成り立っております。ブクマ、評価、感想、いいねなど思いつく限りの応援を、ガソリンのごとく注入していただければ、作者は尻尾があれば全力でぶん回しつつ筆を加速させることでしょう。何卒よろしくお願いします!

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