グラディオスA05
「クランド。俺ぁ、この小僧の意見に賛成だ。最近の飯は、どうも薄味でならねぇ。補給船との合流だってまだ先だってのによ。これじゃ力も入りゃしねぇ」
おっと、カイドウのおっさんは賛成してくれた。
流石は現場監督者代表。言うことが違うねぇ。
「………そうだな。では、サフラビオロスの倉庫から調達しよう」
「しかし艦長。それでは時間が」
難色を示したのはシドウだ。グラディオスのエースパイロット。でもすぐにエースパイロットの座をソータに奪われることになる。
それからいがみ合いや勘違いが混ざって、色々大変なことになる。
でもその件もあって、男同士が絡み合うのが好きなご婦人方の嗜好なおもちゃにされるんだから。これは本人たちが知らない方が幸せだな。知ったら精神がぶっ壊れるかもしれない。
ついでに言うと、俺も幸せ。あくまでもね。決して経済を回すご婦人方を敵に回したくないんだからね。
「問題は無かろう。そのために彼らを呼んだ」
「俺たちを?」
すっとぼけタイム、発動。
俺はなにも知らない。これからの展開は知っているけど。けど俺まで呼ばれた理由までは本当にわからない。
あれか? 民間人の分際でプロトタイプのガリウスGをぶっ壊したから説教会か。
全裸で磔にされた上にドッグ内を練り歩くとか、やめてほしいんだけど。
………待て? そうなるとアイリから蔑むような目をもらえるじゃん。
もしかしてそれって、ご褒美も兼ねてる………?
「先日の徴兵とは別のことと考えてほしい」
「別のこと?」
「そうだ。これよりきみたちふたりには出撃してほしい」
「は!?」
ヤベッ。素で声を上げちまった。
ソータならわかる。そういう展開だった。けどなんで、俺まで?
こんなの本編には無い展開だぞ?
まずいな。いきなり歪曲し始めたか?
「ガリウスG一号機の修理、ならびプロトタイプガリウスGの応急修理は完了している。出撃といっても戦闘をしてほしいわけではない。サフラビオロスに入り、先程きみの言ったとおり物資の回収を頼みたい」
ああ、そういうこと………ってな感じで俺が納得すると思うなよ!?
「あ、あの」
「なにかね?」
「なんで俺なんかが?」
一番聞きたかったことだ。
するとクランドの横に立っていたカイドウが、フンと鼻を鳴らす。
「テメェが操縦に慣れてるわけじゃねぇってのは承知してらぁ。でもな、一応………な? 調べておきてぇことがあんだよ」
「な、なにを?」
「色々と、だ。そこのソータとかいうガキは操縦に慣れてるっつーか、手足みたく動かせるレベルなことは確かだが、今はひとりでもまともに動かせる奴がいた方がいいんだよ」
猫の手も借りたいとかいう、無茶理論かよ。
保身に走るわけではないが、だからってメインキャストでもない、おそらく徴兵されれば整備士に配属されそうな俺を臨時のパイロットに選出するかね、普通?
………けど、物資調達を進言しちまった手前、俺がやらないわけにも………いかないか。
一応、わかってはいるんだ。時間がギリギリだって。
いや、ならそうなる前にシドウが単身で出撃でもしてさ、もっと前からガリウスGの部品や武装を取ってくればいい───これ以上メタいことは言えないか。
「………ソータ。やれるか?」
ここは、腹を括るしかなさそうだ。まだ俺まで出撃する理由は納得できねぇけど。
「エー先輩が一緒なら、やるよ」
本編では俺と同じく、狼狽しつつも物資調達の任務に同意して、シドウと出撃する。
けど、今のソータはなんだ?
まぁひとの気も知らないで………ちょっと嬉しそうな顔してくれやがって、こいつ。
キスすんぞ? ええんか? やるぞ?
「では、すぐに出撃を。今回はシドウ少尉も同行し、指示を出す。すべて従ってほしい。………少尉。ふたりは臨時で搭乗してはもらうが、民間人であることを忘れぬように。必ず無事に帰還させるように」
「ハッ。承知しました」
クランドに敬礼するシドウは踵を返し、後に続くよう命令する。
向かった先はパイロットの更衣室で、ノーマルスーツが用意されていた。
宇宙飛行士が着る宇宙服に似たようなデザインだが、やはりそこはアニメの世界。色々とシンプルで、コスプレ感が否めないじゃないの。
ノーマルスーツなんぞ着た経験がなかったが、学園の生徒ならパイロット科だろうが整備科だろうが共通の知識らしく、エース・ノギの記憶と経験を頼れば難なく袖を通すことができた。
「事前に言っておく」
すると、俺とソータの前に立ったシドウが、険しい表情をしながら突き放すような声音で言った。
「貴様ら民間人を宛にしなければならないのが現状ではあるが………本来なら、あってはならないことだ。今回は特例で搭乗の許可が下っただけのこと。選ばれたからと言って特別扱いはしない。調子に乗るなよ」
あーあ。
好き勝手言ってくれやがって、こいつぅ。
ほら、見てみなよ。
ソータのやつ、シドウを無視してる。目を伏せてるけど、内心はビビりまくり。可愛いなぁ。こんなのが天才的な操縦でエースパイロットに君臨するんだからなあ。不思議な世界だよ。
じゃ、ここらで俺の仕事ってやつも、始めるとしますか。
「もちろん承知していますよ、少尉殿。俺たちは民間人だ。ガリウスに乗れるからって、周りに吹聴すれば不安を煽るだけ。少尉殿は、俺たちだけじゃなくて、保護したみんなが不安にならないように厳しく言っていることも、重々承知してます」
「………貴様」
「先輩………?」
円滑に進むなら、媚び諂ってやろうじゃない。
シドウだって好きなキャラさ。あの子と結ばれるなら、頭だって何度も下げてやる。
ついでにシドウの真意を知れたソータは、とても意外だと言いたげな目をして、視線を往復させた。
エースは変態です。
評価の訂正、ありがとうございます!
やる気に満ちてきました。本日は先日の倍以上はぶち込みたいですね!
作者からのお願いです。
皆様の温かい応援で成り立っておりまし。ブクマ、評価、感想、いいねなど思いつく限りの応援を、ガソリンのごとく注入していただければ、作者は尻尾があれば全力でぶん回しつつ筆を加速させることでしょう。何卒よろしくお願いします!
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