撃てよクソ野郎C02
「あー、そうだな。どうせ無駄だろうが一応言っておく。お前たちに逃げ場はない。大人しく投降すれば厳罰だけは免除すると約束しよう」
遅すぎぃぃぃいいいいい!
あのポンコツ隊長、来るの遅すぎぃぃいいいいい!
「聞いているのかワルステッド! ダルシャナ! エフナール! 立てこもっていないで出て来い!」
こいつらが出て来いと言われて、素直に応答すると思いますか?
いいえ、絶対に有り得ません。
だってこいつら、無視してずっと俺だけを見てるんだもん。
遡ること5分前。
なにを勘違いしたか、俺に決めてもらおうとかいう意味不明な選択権を押し付けるべく、俺の部屋に押しかけたヒナ、シェリー、ユリンは、頭痛でうまく動けない俺をパッと拘束。そりゃもう見事な手際だった。
腕と足を左右ごとに縛られた状態でベッドに放り投げられ、3人に迫られる。
「ねぇエー先輩。私のこと好きだよね? 私のおっぱいも大好きだもんね? 知ってるよ?」
「私、ヒナみたいなものは持ってないですけど、それでも負けませんから」
「だからねぇ、エー先輩。このなかで一番を決めてほしいわぁ」
「お、おおお、お前ら、わ、わかっ、わかってんのか? こここ、これれ、これは、上官に対する不敬罪に該当するるる」
多分、幸せの拷問に遭ってる。
手足を縛られ拘束された俺に密着する3人。とんだラノベ系のハーレム主人公的展開!
おかしいよなぁ。
俺は本来、ソータとアイリを幸せにするために努力したんだ。笑顔が曇らないようにみんなを救済しようとした。そしたら勝手に人間関係が崩壊した。
そりゃあ、本編ではふたりが死んで、ひとりが生死不明になるけど。ストーリーの展開上、なにも問題はないのだろうけど!
「エーせんぱぁい」
俺の背後から抱きついてくるヒナが甘えた声を出す。
甘い囁きは、吐息さえも凶器となる。耳から侵入し、脳がヒナでいっぱいになりそうだ。背中の感触だってものすごい。デーテルの気持ちが少しだけわかる。
「我慢は毒だって知らないんですか? 理性なんて簡単に壊せるんですよ?」
うひぃ。なんて声が出そうになった。左手に抱きついてくるシェリーが危ないことを述べるからだ。
パイロットスーツを少しだけはだけているせいかな。普段の彼女とはまた違う色香と魅力を知った。あの狂気でしかない会議で俺の好物が胸と結論付け、見せつけてくるんだもんな。しかもすべては見せないというチラリズムによって、俺がぶち殺そうとしている煩悩どもが覚醒し始める。シェリーもなかなかのものをお持ちで………違うだろ。
仕方ない。ハルモニを使ってドアのロックを解除する───
「あらぁ? ドアのシステムにハッキングを仕掛けたお馬鹿さんがいるわねぇ。無駄よぉ。ほらぁ、ご覧になってエー先輩」
ユリンなんて見たことがないくらいリラックスしている。俺に密着して腕の端末のモニターを開示した。
パソコンとは違って片手のタイピングしかできないが、それでも指で立体投影されているキーボードを叩く速度は俺以上。ハッキングを阻止している。信じられない。こっちは脳内チップで人間のそれを超える速度で作業を行なっているというのに、ユリンは俺にもたれかかって、しかもたまに視線を外しながらハッキングをブロックしている。成績優秀だからできるとか、そういう次元ではない。
「誰にも邪魔はさせないわぁ。ほら、言ってみて? エー先輩。誰が一番好きなのぉ?」
「んひっ」
俺のものとは思えない声が漏れる。
カプリと首筋に甘噛みし、舌を添わせて耳を蹂躙された。
不幸なことに俺が座る対面側には暗転したモニターがあり、黒いそれにうっすらと俺の無様な姿と、酒池肉林を体現しようとしているイカれた使徒たちが体を添わせている。
なんていうか、酷い顔をしていた。
薄い本とかで、異性に蹂躙された時のような、それでも快楽に抗おうとするも徒労に終わるような。
気持ちいい。けど怖い。背徳感が半端ない。でも従いたくなる。
切腹を課した自戒が、ガラガラと音を立てて崩れていくようだ。
「1番を決めるって………わ、わかってんのか………」
「なにがぁ?」
「それって………2番と3番も決まるってこと、だぞ?」
「それって、正妻と側室みたいな?」
「俺は一夫多妻ができるほど、器用じゃ………うぁあ」
「知ってるわぁ。だから1番になりたいんじゃない」
おいおいおい。
どんなご都合的主義のハーレム主人公だ!
俺は! たったひとりの妻がいれば、それでいいのに!
好意を寄せてくれるなかからひとりを選ぶことはできる。
でも、それをやったら………選ばれなかった誰かたちが、なんだか気の毒になってきて………
本当にそれでいいのかと迷ってしまう。いや本当はそれでいいのだろうけど。
「俺には選ぶことなんてできな、あがががが」
戦闘による負荷も解消できていないのに、脳内チップをより酷使したせいか、発熱してきた。体が火が出るほど熱い。
それでもヒナたちは解放してくれる気配はない。
「それって、わたち3人と付き合いたいってことぉ?」
「やっぱり肉欲獣だったんですね。エー先輩って」
「ハーレムを築きたいひとって本当にいたのねぇ。………じゃあ、こういうのはどうかしら?」
ユリンが危うく首筋から下に這わせようとした舌を離して、ヒナとシェリーを見る。
「お試し期間みたいなぁ? 謂わば、ある程度の期間を決めて、私たちを知ってもらうの。今すぐって強制してしまったからエー先輩も選べなかったのかもしれないし。猶予期間を設けた方が、エー先輩だって覚悟が決まるわぁ」
「ふーん。お試し期間ねぇ」
「確かに焦って後悔するような結果になっても仕方ないか。なら………期間はどうする?」
「私たちが保ちそうにないし、2週間くらいでどうかしら?」
「うん。いいね」
「負けない」
「おいいい加減にしろ! なに勝手に話を進めてやがる! 俺はレースとかゲームの賞品じゃないんだぞ!」
「じゃ、2週間以内に誰がエー先輩の心を射止められるか勝負ってことで。それからぁ………」
無視された。
しかもユリンは、また俺の首筋に舌を這わせ、頬に口をつける。電流が走ったような衝撃。
「ここからはお詫びってことで。エー先輩、怒っちゃてるし」
「ん、そうだね。ごめんねエー先輩。今は私たち停戦協定を結んだところだから」
「だから機嫌を直してほしいです。ナデナデもしてほしいし、怒らないでほしいし、他人扱いはしないでください」
くそっ………こいつら美人だから、こんなに密着されると「絶対に嫌だ」って言えないじゃないか。
ただでさえも鼻の下が伸びないよう頑張ってるのに。なんでこいつらときたら、俺の努力を無駄にするんだか。
ああ………もう、切腹なんてしなくてもいいのかなぁ。
一夫多妻を本気で考える? 他の誰かに非難されようが。
ビーツと同じになる?
究極の選択だ。
明日からの俺の運命やいかに───!
明日は土曜日ということで、7回更新します!
やっとAIイラストにも着手して、熱も戻ってきたのでモチベも高いですが、やっぱり皆様からの応援があるのと無いのでは違います。
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次回の更新は0時頃を予定しております!
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