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撃てよクソ野郎B14

 アンノウンの数も半分ほどになった。喧嘩をしていても、互いに向け合った銃口だけは外さない3人。人間とは思えない、神がかった感覚。


 だって3人は、全周囲から迫るアンノウンをノールックで回避しながら喧嘩してるんだもんな。


 必要最低限の挙動で上下左右と踊るようにすべての攻撃を躱す3機。パピヨンジャケットを装着しているユリンの二号機ならともかく、ユラユラと揺れるダンスを踊っているような飛び方をするヒナとシェリー。


 なんだか少しだけ気になった。


「ハルモニ。ミチザネ隊副隊長の権限を行使。ヒナ・ワルステッド、シェリー・ダルシャナ、ユリン・エフナールのバイタルチェック。体調じゃないぞ。脳波とか、もっと内面的なものだ。なにかの結果が検出されるかもしれない」


『イェス。メカニック・エース』


 喧嘩は誉められないし、俺にとっては冗談にならないが、3人の行動にはとある可能性が浮上した。


 それはこの世界の上位に立てる人間であっても掴むこともままならない能力に類似していた。


 言い争いをしていても持続する神がかった回避。上下だろうが背後だろうが、3人とも相手しか見ていないのに、すべてを把握しているような動きを成立させている。とてもではないが訓練して身につくようなものではない。


 高い空間認識能力と反射。


 それらを操縦に反映させることで初めて真価を発揮する。例え中途半端な具体であっても、それが予兆としての表れならば、今後の展開を大きく変えかねない。


 希望か絶望か。いや、それを希望にしてみせることこそ、俺の存在意義のひとつならば。俺が導くのもまた道理。


『分析結果、出ました。3名の脳波パターンが、ソータ・レビンスと類似しております』


「いつのだ?」


『ペンタリブルを脱する最の戦闘です』


「よしっ!」


 こりゃあ、なんとも………俺をも驚かせてくれた結果になったもんだ。


 もう原作にはない展開だ。その分、期待が大きく膨らむ。




 ヒナとシェリーとユリンが、3人同時覚醒しようとしているだなんて。




 けれど、遺憾なんだけど、残念なんだけど、そろそろ止めなければならない。


『エー先輩はおっぱいが大好きなの! ローションさえあればメロメロなんだから!』


『あんたに限った話しじゃないでしょ! そんなの、私だって………っ!』


『どこでそんな知識を付けたのかしらぁ? ああ、そう。そういうレクチャーを受けられるところがあるのねぇ』


 ヒナたちの暴走で、俺の事実無根だったはずの噂話が、より醜悪になっていく。


 ただの噂話だったならば、まだ収集は付けられただろうよ。けどヒナが自分で証言してしまっては、これから俺がどう努力しようが、否定できない事実となってしまう。


 シェリーもなんだよ。お前まで「赤ちゃんプレイ風オイルエステ」とやらを俺にやるつもりか? ヒナのあれは理性をゴリッゴリと削ってきただけあって、シェリーからもとなると、もう我慢できなくなるかもしれない。


 あとユリンはなんなんだ? ニュータ◯プなのか? 精神の感応だけでヒナから情報を抜き取り、レイシアの極悪教室の存在を見抜いたとでも? ふざけんな。ユリンまで参加したら、俺が明日生きていられるかどうかさえもわからなくなる。


「お前たちさぁ………ちょっと………いい加減にしようぜぇ?」


 覚醒の予兆に興奮したのも事実だが、絶え間なく聞こえる生々しい会話に、俺の数分後の未来が見えてしまい、どうしても声のトーンが落ちる。


 しかしそれでも3人の喧嘩を止めないわけにはいかず、とりあえず上昇してからの急降下。敵陣に薄みが生じたところに飛び込んで、カラフルなナンバーズの間に灰色の小さなガンビッドを割り込ませた。


『止めないでエー先輩! これは私たちの真剣勝負なの!』


「う、うん。真剣勝負ね。でもさ、一回冷静になって思い出してみ? 俺ら接触してないのに通信で会話できてるじゃん? 昨日はシミュレーションルームだけでやったから予備パイロットどもが噂として拡散しやがった。でもさ、オープンチャンネルも同然で喧嘩すんなよ! お前らのやりとり、グラディオスに筒抜けなんだよ! ふざけんな! お前ら、俺がそんな鬼畜な人間なんだって誤解させたいのかよ! 違うだろ!? 俺はヒナに手を出したことなんて一度もねぇぞ!? そ、それなのにお前たちときたら………そんなに俺の居場所を奪いたいってかぁっ! お陰で明日から全員に白い目で見られる! お前たちのせいでな! 俺は悪くないのにな! そうか、そうかよ。お前たちがそんなに俺を陥れたいっていうなら、俺にだって考えがあるからな! 頭を撫でないし誉めないし他人のように扱う! 俺に嫌われるのが嬉しいってんなら、続けろよ、ほら! やれよ!」


 ………我ながら情けなく、女々しい泣き言になっていた。どうしてこうなったんだろう。


 泣き叫ぶと、3機の動きがピタッと停止する。


『メカニック・エース。3名の脳波が正常に戻りました』


「あ、やべっ! 動きを止めるんじゃねぇ! 狙われるぞ! この続きはアンノウンを撃破してからだ! 言っとくけど俺、今回ばかりはかなり頭来てるからな!」


『ひ、ひぇ………頭撫でてくれないのぉ?』


『褒めてもくれない………』


『他人のふり………酷い拷問だわ』


 3人の声のトーンが落ちる。涙声にもなっている。


 やり過ぎたか? と不安になったその時。


『3名の脳波が再活性化しました』


「は!?」


『なお、活性化数は先程よりも増しています』


「はぁ!?」


 動きが停止して狙われると思いきや、3機の姿がガンビッドのカメラから消えた。


 一斉に動き出す。覚醒の兆しを再度見せながら。


 戦闘はその一瞬で終わった。


 ユリンはパピヨンジャケットの揚力を別ベクトルで操って周囲のアンノウンを巻き混んでひとつに纏める。ほんの一度の羽ばたきで。そこにシェリーとヒナが高速で動いて掃射。くまなくアンノウンを撃ち抜いていく。


 自室でリモート操縦をしていた、俺の額からツーと冷や汗が流れる。


 こいつら、本気を出したらこんなに強くなるっていうことなのか。


ブクマ、感想ありがとうございます!

このあとXの方でシェリーをアップしようと思いますが、名前のわりには日本人要素が強く、もしかしたら髪の色を変更するかもしれません。キャラデザって難しいですよね。あ、私の絵心がないだけなのですが…


作者からのお願いです。

この作品は皆様の温かい応援で成り立っております。ブクマ、評価、感想、リアクションなどのありがたい応援を、ガソリンのごとく注入していただければ、作者は尻尾があれば全力でぶん回しつつ筆を加速させることでしょう。何卒よろしくお願いします!

誤字脱字報告、ご質問も大歓迎です!

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