撃てよクソ野郎B13
「シドウ隊長」
『遅いぞエース! お前がDタイプを引き受けてくれたのは助かったが、これは俺とギグスだけでは手の出しようがない! どうにかしろ! いや、頼むからどうにかしてくれ!』
いや、どうにかしろって、あんた………。
なにがあったのかは聞かずともわかるよ?
原作に準じて、3人が無謀にも敵陣に突っ込んだ挙句、ハーモンがソータにしたように、挑発してるんだって。
でもさ、あれって憂鬱になりかけているソータに発破をかけたからで、その時ソータは敵陣の外にいたからで、ソータも高い狙撃能力を有していたから成功したわけであって。
敵陣のなかで挑発し合ってても、意味がないと思うんだよなぁ。
こっちから手の出しようはあるけど、それがヒナたちの和解のためになるのかと言えば、別の話だから下手に梃入れができない。
「一応聞いておきますけど、なんでこうなったんです?」
『知るか! どうせ喧嘩の延長だろうが!』
「隊長権限でフレンドリーファイアを禁止って言わなかった………わけがないかぁ。とりあえず数を減らしましょ。あの3人が被弾したら、本当に話にならない。そのあとで俺が間に入ってみます」
『………それしかないか。よし。レビンス、デクスター、ギグスは各個に応戦! ナカダはレビンスのフォロー! エースは………まぁいつもどおりにやれ』
俺だけ適当じゃね? いいけどさぁ。
4機が散開してアンノウンを撃破する。外側にいるとはいえ、タイタンジャケット装備のガリウスが2機揃っているので突破力が違う。
前衛向けの4機だ。支援射撃は俺が担いつつ、機を伺う。
しかし、
「だぁ、くそっ………残弾が2割か。推進剤とバッテリーも少ない! 一旦下がります! おやっさん! 1、3、4番を戻すので5番を射出してください!」
『もうやってるぜ。けど1機だけで全機のフォローができるたぁ思えねえが』
「そこは腕の見せどころってね。なんとかします!」
ガンビッドはガリウスと違ってレイライトリアクターを搭載していない、制限時間のある機体だ。
ドローンカメラを改造したそれは2メートルほどの小型ながら、ガリウスFのライフルを懸架できる。無人無線兵器である。サイ◯ミュで操るファン◯ルみたいだ。
それらはすべて消耗品みたいな扱いゆえ、稼働時間も短いし、今回は悪魔狩りと称してDタイプを猛追し反撃もした。第2ラウンドを戦えるほどの余力がなかった。
ハルモニに3機を託し、グラディオスから射出された5番に意識をリンク。すぐに戦線に復帰した。
「まったく。タキオンが完成するまでの繋ぎや学習だってのに、ジリ貧じゃ反復練習もできやしねぇ」
ガンビッドはダイレクトサポートをアイリに託し、遠隔操作で戦闘によるサポートを目的としただけの機体ではない。これにはちゃんとした理由があった。
すべてタキオンに通じているのだ。俺はガンビッドを通して実戦のなかで感覚を掴むべくチャンスをものにしようと努力しているが、これではそこまで意味を見出せない。
『ヒナ。あんたは前から気に入らなかった! なんでエー先輩の周りをうろちょろするんだよ!』
『だってエー先輩が大好きなんだもん! 当然でしょ!?』
『だからって独占するのは良くないわねぇ』
『そういうユリンだって、昨日はエー先輩を独占してたじゃん! こそこそと出て行ったと思ったら一緒に
来たし! ふたりでなにやってたわけ!?』
『え、そうなのユリンちゃん!?』
『ええ、そうよぉ。エー先輩に相談に乗ってもらってたのぉ。でも、あららぁ? それのなにがいけないのかしらぁ? 別に、ふたりはエー先輩と交際しているわけじゃないものねぇ? 独占欲ってやつかしらぁ? だったら、私がエー先輩とふたりきりになっても問題はないはずよねぇ。ヒナみたく言えば、私だってエー先輩の強いところが好きだって気付いたものぉ』
『だ、だったら私だって………デーテル副艦長に服を脱がされて犯されそうになったところを助けてもらった! そのあとで私の悩みを聞いてくれて、体目的じゃないのに親身にしてくれる男って本当にいたんだって思って、それから………エー先輩で頭がいっぱいになった!』
『それなら負けないよ! エー先輩はアスクノーツから助けてもらった! 私の命が危ない時に助けに来てくれた! いつも一緒にいたんだよ! その時からずっとエー先輩が大好きだった! グラディオスクルーになってもっと大好きになった! だから大好きって伝えて、いっぱい触れ合いたかったのにエー先輩は不純異性交遊って嫌いみたいで苛つくくらい真面目だけど、いつか触れ合ってみせるもん!』
………………………
………………
………
帰るか。グラディオスに。
『待て。どこに行くエース』
チッ、聡いねぇ。レイシア絡みだとポンコツになるくせに。俺らの隊長様はよぅ。
現場に駆けつけた5番をその場でターンさせたら、回り込んだシドウの七号機が退路を塞いでいた。こりゃ酷い。
『エース。お前の立場になって考えれば、逃げたくなるのもわかる。大したものだ。その歳で禁欲をするなど並大抵の精神力ではない。そこは評価するし、尊敬もできる。だがな、お前は逃げてはいけない。もう一度言うぞ? あの3人をどうにかしろ』
違ぇよ。
あの3人に接近したら、俺が自戒によって切腹しなきゃいけないんだよ。
そりゃさ。ヒナだけでなくて、シェリーも、ユリンも助けたよ?
俺はグラディオスで唯一の転生者。「天破のグラディオス」の生粋のファン。始まりから終わりまで知る男。
ゆえにこれまで、みんなの命を助けるために体を張った。けど見返りなんていらなかった。ファンとしてお触り禁止を打ち立て、破れば切腹を誓い、自戒としたんだ。
それがなんの因果かは知らないけど、ネームドキャラたちは自分から接近してくる。
最初はよかった。頬に触れる程度だったし。手を握って、腕を掴んで。自暴自棄になった時は最推しのソータとアイリを抱きしめたけど、あれは例外として。
大好きと言ってくれるのは嬉しかった。これまでの俺の努力が報われる。けどさ、そこに恋慕の念が混じるとなると、俺の推し活に支障が出るから性欲を封印してたのにさぁ。
なんでこう………うまくいかないんだぁ?
あれか? もう諦めた方が早いってかぁ?
「………ハァ。わかりましたよ。行きます。行きますから。行きゃいいんでしょ!」
シドウの言うことも、少しだけ間違ってはいないのだ。あの3人の喧嘩を、早々にやめさせなければならない。
さもなくば、艦内で俺の敵が増え続けるだろうから。
ブクマ、リアクションありがとうございます!
先日、Xの方でビーツ・クノのイラストをアップしてみました。
ある程度こちらの作品の方を書くことができましたら、キャラクター詳細なども載せてみたいと思いまして。そこに参考程度に挿絵のようにアップするのもいいかもしれませんね。Xの方では挿絵みたいなものも作ってみたいとは思いますが、なにぶん書いているのが宇宙空間だったり宇宙船だったりロボットだったりするので、プロンプトが大変だったりイメージどおりにならなかったりと………地上での日常風景を書きたいのに!
本日の夜の更新にて、シェリーもアップしたいと思います。
作者からのお願いです。
この作品は皆様の温かい応援で成り立っております。ブクマ、評価、感想、リアクションなどのありがたい応援を、ガソリンのごとく注入していただければ、作者は尻尾があれば全力でぶん回しつつ筆を加速させることでしょう。何卒よろしくお願いします!
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