撃てよクソ野郎B11
紆余曲折があったが、なんとか第9話の終盤にたどり着くことができた。
原作でも回復の兆しがあったり、チーム内での喧嘩があったりと、似たようなイベントを通過する。
けれども、ヒナの「赤ちゃんプレイ風オイルエステ」とかいうマジキチな偏見を植え付ける暴挙は予想外だ。
ミーティングをボイコットすることで「俺、マジで怒ってます」とアピールはできた。けれども効果は薄いし、別の場所で被弾した。シドウがあんなに焦るとは思わなかった。
面白いものは見れた。まさかレイシアに泣きつくとはね。順調にレイシアはシドウの手綱を握り、尻に敷こうとしているじゃないの。
けれどそれが本来の目的ではない。
どうやって誤解を解くかが重要だ。ヒナには罰を与えるとして、その罰もいきすぎると本格的に整備士連中を敵に回しそうだし。
難しい問題だ。
『エー先輩。その………ゴメンナサイ』
「どうしたアイリ。変な口調だな」
自室の椅子に座って、意識だけを飛ばしていると、追いついたドローンカメラから通信が入る。ハンガーにいるアイリからだ。
『だって、私だってあの場にいたのに。止められませんでした』
「止めようとして止められるものでもないだろ。それにあいつら喧嘩中だったし。なんで俺のこと………いや、ペアとかポジションのことじゃなくて、ヒナが絶対言わなさそうなこと口走ったのかは知らないけど、まぁお前は悪くないよ」
『最初はエー先輩のお見舞いに行こうってなったんです。大好物を差し入れしようって、ユリンとシェリーと競うように言ってて』
「………それでなんで、あんなことを言っちまったんだか………ユリンとシェリーと競うようにって、え、なんでだ?」
『エー先輩、本当にわからないんですか?』
「………俺、またなんかやっちまった?」
『まぁ、ある意味で』
「マジかぁ………」
けれどもアイリの口調は、俺を咎めるより同情的なトーンだ。ヒナが俺を「ノギ先輩」と呼び始めた頃とは違って、俺にあまり非がないということだろう。
ガンビッドとドローンカメラのカメラが敵影を捉える。まだ距離がある宙域が光って、アンノウンの軍勢が出現した。
「Bタイプ10、Cタイプ7、Aタイプもうじゃうじゃと………避けろアイリ!!」
『え、あっ!?』
瞬時に対応できた俺はガンビッドを散開させるが、アイリは遅れた。次の瞬間、1機がバラバラになり、残骸が飛び散る。
「チッ………ここで来るか! Dタイプ!」
原作にはない展開だ。第9話でDタイプが出現するなど、まだ有り得ない。第6話に1回と、第12話に数回。そもそも個体数が少ないのだろう。作中でも登場回数が滅多にない個体だ。
「おやっさん! Dタイプ出現! 斥候は無理です。Dタイプは俺が追います!」
『チッ。こんなところで出るのかよ。わかった。シドウたちの発進を急がせる!』
ガンビッドが一斉に反転。あっという間に俺たちから距離を取った、ドリル状の形状をしている長細い1体を追う。
「アイリはダイレクトサポートを優先! 2機はまだ動けるか?」
『は、はい! やれます!』
「よし………久しぶりに悪魔狩りといくかぁっ!」
ヒナを殺したDタイプとの会敵は覚悟していた。原作破壊行為のツケとして、いついかなる戦闘であっても、自機を盾にしてでも全員を守るつもりだった。
パイロット9人対、敵の数40程度。
原作ではパイロットは5人で、敵の数は30だった。ただしジャケットはない。素体のまま出撃を余儀なくされるがゆえ、パイロットの力量をダイレクトで表現することができる。
だが今回は、敵も数ばかりではなく質も備えてきた。その最たる相手が、このDタイプである。
ガンビッドがフルスロットルでDタイプを追跡する。追いつけるかはわからないが、牽制しつつ、もしチャンスがあればシェリーに狙撃させるか、ソータに切断させればいい。傷でも付けることができれば、動きが鈍る可能性は大いにある。
しかし、
「うっ!?」
シートの上でビクンと体が跳ねた。
一瞬だけ感覚をフルにするしかなかった。Dタイプはいつ反転したのか、迎撃するべく猛追したガンビッドを、逆に真正面から迎撃したのだ。
狙われたのは2番のガンビッドだ。メインスラスターの出力を下げて、サブスラスターに回す。同時に機体もの先端からビームナイフを出現させることで反撃を試みる。
「………質量が違いすぎる。ガンビッドじゃ無理か」
回避重視かつ反撃をしてみたが、速度と質量の違いから、ガンビッドのビーツナイフはDタイプに突き立つことはなく、弾かれてしまう。直接触れてはいないが衝撃波と熱で2番は中破した。
「なら、撃つしかない!」
Dタイプが通過して見えなくなる前に猛追し、発砲する。
2番を欠いた3機でDタイプに迫る。しかしすぐに見えなくなったが、またもや反転されて反撃を受ける。
「どうなってやがる………スパンが短すぎる!」
二度目の反撃は予想できたし、感覚を鋭敏化させることで反射速度を上げる。ただし長続きはしない。使えて数秒。
3機は辛うじてDタイプの攻撃を回避する。反転しようにも、おそらく敵の反転速度の方が早いと判断。そこで2番を帰投させ、残りの3機を分散させてみた。
すると、すぐにDタイプの攻撃。狙いは1番。
「くっ………調子に乗りやがって………っ!」
1番のスラスターを操り、ドリフトのような旋回で回避する。しかしその途中で、とあることに気がついた。
「無傷?」
2番のビームナイフは通用しなかったが手応えはあった。確実にどこかに傷を付けていたのだ。
感覚をフルにして、ガンビッドのカメラに集中。高速回転していても高性能カメラならスロー再生はできる。結果、ビームナイフで付けたはずの傷はどこにもないことが判明した。
「つまりこのDタイプは最初から………」
『エー先輩!』
「いいとこに来るじゃねぇか。ソータとハーモンはこっちに来い! 悪魔狩りの時間だ!」
『了解!』
『っしゃあ!』
隊列を離れてガンビッドがいるポイントに集結する一号機と三号機。
「いいか、こいつらどうにも旋回速度が早くてこっちの反撃が間に合わないと思ったが、どうやら仕掛けがあったみたいだ。次、すぐに来るぞ。ハーモン。タイタンジャケットにビームシールドはついているな? 併用して止めろ!」
『わかったぜ! っとぉ、来やがったなぁっ!』
第6話の時とは違う。Dタイプの具体は知れている。遠くで光ったと思えば高速で移動するそれは、もう眼前だ。しかしこちらに備えがあれば別だ。
三号機は両腕にビームシールドを装着しており、拳を合わせるように両方を展開。二重のビームシールドにDタイプが突き立つ。
「ソータはそのまま! ポイントを維持したまま後ろ見てろ! 絶対に離すんじゃねえぞハーモン!」
Dタイプの脅威は放熱もさることながら、恐るべき回転力と貫通力だ。
しかしタイタンジャケットの膂力も合わさり、多重構造の装甲によって冷却が働けば、熱は当然、回転と貫通のどちらも封じることができる。
それでも回転が止まらないことを利用し、3機のビームナイフを這わせる。先端から後方にかけて斜めに逆回転するよう前進させれば、Dタイプの回転を利用してビームナイフをより深く食い込ませることができる。
結果、ハーモンが止めたDタイプを三分割することに成功した。
『遠隔操作って便利なんだね。あと………ああ、そういうことか。だからガンビッドの反転が間に合わなかったんだ』
ソータの一号機が動く。ハーモンの背後へ。
「そうだ。Dタイプは複数いやがった。索敵範囲の外に移動してバトンタッチして、理論上は不可能な速度でターンしているように見せてたんだよ」
一号機がロングソードを振り抜く。
以前より操縦に無駄がなく、洗練されていた。
巨大なドリルを一振りの剣で先端から両断するほどに。
ブクマ、たくさんのリアクションありがとうございます!
今日も書いて書いて書きまくります!
作者からのお願いです。
この作品は皆様の温かい応援で成り立っております。ブクマ、評価、感想、リアクションなどのありがたい応援を、ガソリンのごとく注入していただければ、作者は尻尾があれば全力でぶん回しつつ筆を加速させることでしょう。何卒よろしくお願いします!
誤字脱字報告、ご質問も大歓迎です!




