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撃てよクソ野郎B03

 酷い説教会だった。


 まず、クランドが宣言どおりに軍人としてあるべき姿と、規則がいかにして機能し、必要とされるるのかという理論を展開。1時間くらい語る。


 俺たちはその間に直立して静聴。反論はもちろん、声を出すのも禁じられている。


 なんていう疲れる講義なのだろう。話の内容はわかる。クランドが軍の規則を俺たちでも理解しやすいように注釈してくれている。


 本来なら軍人としてなら有意義な時間になるはずが、俺は病み上がりだ。やっとウォーキングを本格的に始めたのに、1時間の直立不動はキツすぎる。


「デクスター。今の私の話は理解できたかね」


「理解した………で、あります」


 ハーモンは優秀な軍人を輩出する名家の出だ。上官に対する言葉遣いは幼少の頃から叩き込まれている。


 いくら反骨精神満載でも、仲間の前ならともかく俺たちを前に、クランドに暴言を吐くことはない。


「ではギグス。理解したなら、それを述べたまえ」


「え、今確認したのってハーモンなんじゃ………」


「きみの友人が理解できて、なぜきみが理解できない? きみは敵視する相手より知能が劣っているのか?」


「っ………つまり」


 ハーモンと比較されては、コウが対抗心を燃やさないはずがない。


 途中から気怠そうにしていから心配だったが───ああ、やっぱり。


「………10点未満。それがきみへの評価だ。まったく理解していないではないか。私の話が退屈なのは見ていてわかる。だがそれゆえに呆然とするのは許さない。話を聞く程度、子供でもできるぞ。ならばきみは子供以下だ。いっそのこと、母親の腹のなから人生をやり直したまえ」


「っ………」


 クランドのド正論パンチ。パワハラ風味。コウのメンタルを削る。


 そもそも1時間以上の説教の内容を覚えていられるはずがない。


 その学校を卒業したシドウや、幼少期から叩き込まれているハーモンならともかく、いくら座学や記憶力が優秀なユリンとてすべては無理だろう。


「よろしい。ならば最初からだ」


 うへぁ………説教会が最初からやり直しか。そろそろ足がプルプルしてきた。


 どうにかならないかな。………あ、そうだ。


《ハルモニ。俺の脳内チップで、神経を操作することってできるかな? 痛覚をある程度麻痺させてほしいんだけど》


《不可能ではありませんが推奨はできません》


《いいから、やってくれ。今は大切な時間なんだ。俺が倒れて中止なんてことになりかねないだろ》


《───イェス。メカニック・エース。痛覚の一部を麻痺させます》


 ハルモニに指示をすると、案外うまくいく。


 脳内チップで足に蓄積した疲労と痛みを和らげる。


 少し痺れた感覚になっているけど、この程度の不快感なら我慢できる範疇だ。今はみんなと揃ってクランドの有難いお言葉を拝聴する。………2回目は飽きてきたけど。


《ハルモニ。クランド艦長の発言を記録しておいてくれ。ドッグに映像を切り替えろ。作業の進捗が見たい》


《キャプテン・クランドの発言を聞くことが最優先事項です。その命令には従えません》


 チートを使って回避しようにも限度があるのか。さすがに艦長を無視するわけにもいかないか。


 痛覚が麻痺しただけでも儲け物だ。これは今後、使えるかもしれない。


 その後、なんとか現段階で可能な作業を探す。脳内チップに意識を集中させ、鹵獲したアークのタキオンの足の解析結果を隅から隅まで読み直したり。変な顔でもしてたからかな。クランドの質問を受けたけど、脳内チップに記録した文言どおりに詠唱すると許してもらえた。


 結局、説教会は3時間で終わった。


 2時間にも及ぶ軍規の説明。全員が理解するまで質問が続く。


 それが終わったら聴取だ。しかし全員に原因を尋ねても、誰が悪いだとかあれが気に入らないとか、要領の得ない意見ばかりが飛び交う。


 クランドは1時間耐えた。よく我慢した。子供のような───実際は子供なんだけど、幼稚な意見に、黙れと怒鳴りたかっただろうに。


 解散を命じると同時に、俺に視線を向けた。


 首肯する。申し訳なさげな瞳をしていたのが、せめてもの救いようのある点かもしれない。


 隊長と副隊長であるシドウと俺は、原因解明と反省点をレポートとして提出するよう命じられた。


「レポートはシドウ隊長が書くように。エース副隊長曰く、一瞬で書けてしまうらしいからな。それでは示しがつかん」


 バレてらぁ。


 けど痛覚を麻痺させたのは気付いていない。しめしめ。


「………」


 まるで葬列のような、酷く疲れ果てた顔をして艦長室から出る俺たち。


 歩き始める時に痛覚を戻すのは怖かったので、また脳内チップに命令し、強引に足を動かした。


 誰もなにも言わない。言う気力をも削り取られた。殴る体力もないだろう。


 けれどもなぁ。これで終わりではないんだよなぁ。


「えーと、じゃあ………まずはソータから、俺の部屋においで。事情聴取の時間だ」


「うん………」


「それから、メディカルルームも使えるよう申請しておいたから、シェリー、ユリン、コウの順番で行くように。俺ひとりじゃ無理だ。クスドにも協力を頼んでおいたから。呼ばれたら行きな。それまで自室で謹慎してるように………」


「わかりました………」


 まるでゾンビのような面持ち。あのシェリーでさえ、いつもの眼力を失っている。


 俺とソータ、シェリーは途中で別れて目的地まで向かう。他の連中は並んで部屋に戻っていく。もうクタクタになっている。寝ないか心配だな。


 部屋に入るなり、俺はソータとともにベッドにダイブした。


「疲れた………足がヤベェ」


「大丈夫? エー先輩。マッサージしようか?」


「悪い。ちょっと、頼む」


 ゆっくりと濾過するように痛覚を元に戻していく。ソータは慣れない手つきではあったが、しっかりと揉み込んでくれた。


「いてて………それにしても、お前まで感情的になってみんなを殴りに行くなんて意外だなぁ」


「ごめん。つい」


「なにがあった? 怒らないから。言ってみ?」


「うん………」


 ベッドにうつ伏せになって、マッサージさせながら事情聴取するという妙な構図。


 けれど俺とソータの仲だ。まさか薄暗い部屋で監禁同然に、カツ丼なんか差し出して詰問………なんてことはしない。


「あのね、実は………」


 ソータはゆっくりと語り出す。


5回目です!

少し用事ができてしまって外出することになりましたが、出先でも書いております! でもこれがヤバい。ちょくちょく書いておりますが7回目と8回目………間に合うか………でも皆様のご期待に応えるため、なんとしてでも書き続けます!

応援、よろしくお願いします!

次回は………そうですね。17時に更新しようと思います!


作者からのお願いです。

この作品は皆様の温かい応援で成り立っております。ブクマ、評価、感想、リアクションなどのありがたい応援を、ガソリンのごとく注入していただければ、作者は尻尾があれば全力でぶん回しつつ筆を加速させることでしょう。何卒よろしくお願いします!

誤字脱字報告、ご質問も大歓迎です!

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