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どうせみんな死ぬC01

 ハルモニが操縦を担当している10番のドローンカメラの視点を共有すると───驚いた。


 もうすでに趨勢が変わっていた。


 ソータが覚醒の予兆を表していたのだ。単騎でありながらアンノウンを寄せ付けないマニューバ。2回目のアイリのダイレクトサポートで得たロングソードを左のマニュピレーターにも掴ませ、二刀流で宙域を駆け抜ける。


 一切の中・遠距離装備を持たないシンプルな戦い方。すれ違ったアンノウンは必ず斬られている。


 まさに覚醒。


 しかし、だ。原作ではソータは吐き気を催すデバフでじっくりコトコト煮込まれたスープみたいなメンタルゆえに、ストレスなどで様々なものが壊れて脳内のリミッターが外れたと考察されていたのが、安定したメンタルでリミッターを外せるのかが謎だ。


 戦況は終盤に近い。ソータの奮闘で8割が消滅している。影響されたシドウもグイグイと前に出る。


 それでいて連携がまったく崩れていない。


 嬉しくなるね。やっぱり俺は間違っていなかったんじゃないか。


『待たせたなぁ! お前らの副隊長様がエンゲージするぞぉ!』


『遅いよエー先輩。もう終わっちゃうところだよ』


『お前が速すぎるんだよ。シドウ隊長も慣れない機体なんだから振り回すなって。てなわけで隊長。ソータの面倒は俺が見ます。みんなのところに戻ってください』


『悪いが頼む。くっ………ガリウスGは凄まじいな。素体でこれとは』


 隙間だらけの敵陣を縦断してソータに追いつく。シドウの七号機が下がる。全体的な指揮を執るための体力は温存しておいてもらいたい。


 ガンビッドがソータの一号機に接近する。


 プロトタイプに搭乗した際、瓦解しない程度とはいえ殺人的な加速を体験したが、リモート操縦の無人機なら、ソータと同じ速度で飛翔することができる。宇宙という暗黒な海を高速で泳ぐ魚のように。俺とソータは意思疎通し、連携し、剣と銃でアンノウンの残党を撃破していく。


『は、はは………アハハハ!』


 通信機越しにソータの嬉しそうな笑い声が聞こえた。


 この広大な宇宙で果てのない殺し合いに心が疲弊し、壊れた───とは思えない。


 本当になにかを楽しんでいるような笑い方だった。


 やっているのは戦争なのにな。俺もつられて笑ってしまう。ふたりして異常者だと咎められても不思議ではない。


 されどもソータが楽しそうにするのは嬉しい。なんでだろうな。隣で飛んでいるからわかる。


 今のソータは、ある意味で覚醒の予兆が現れている。そして原作よりも、明らかに───強い。そして速いのだ。主人公補正と言ってしまえば簡単でそれまでだ。けど、今のソータは言葉などでは言い表せないなにかが宿っている。


 闇ではない。光だ。


 俺の知らないなにかが芽生え、育まれ、より高次元へ誘おうとしている?


 脳内チップで計算する。この頭になってから数学により詳しくなった。知りたかった計算の答えを一瞬で得られる。


 俺が知る原作の第8話のソータの動きを、様々な数式やデータとして入力し、現在の動きと比較した結果を算出。驚くべきことに、原作より5割増しで強化されているのだ。


『すごい………すごいよ、エー先輩………今なら、なんでも()()()()()


 これは、第2クールの台詞だ。原作とは少し異なるし、怒りを露わにしていたためニュアンスが異なる。それでもソータは、遠くない未来で再び迎えることになる覚醒の予兆よりも強い。


 いったい、どこまで伸びるんだこいつ───




『レーダーが後方より迫る艦影を捕捉! これは………()()()()()()です! アリスランドがペンタリブルより出港しました!』




 よりにもよって、こんな時にか!?


 視点の一部をグラディオスの艦外カメラと同期する。もう俺はいくつ眼球を持っているんだという視点に脳が混乱しそうになるが、目が回る前にすぐに戻した。


 オペレーターの女性が緊迫感のある声で通達するわけだ。グラディオスとアリスランドとの距離はそう遠くない。ざっと15キロメートルほど。そんなのガリウスならすぐ追いついてしまう。


『アリスランドより熱源が射出! データ照合………記録にない機体です!』


 ビーツの仕業か。


 こんな時に連合軍のデータベースに載っていない機体を放つとすれば、それはひとつしかない。


 アークが搭乗しているオリジナルガリウスの、タキオンだ。


『………ソータ・レビンス』


『え?』


『俺とお前、どちらが上なのかはっきりさせよう………』


『なに言って………誰だよお前』


 今の声は間違いなくアークだ。ソータと同様、実力のある男性声優をキャスティングした。少年としてのあどけなさのある声質に、クールな演技。それがアークに命を吹き込んだ。


 ソータとアーク。


 その関係は、涙なくして語れない。


 そして本編でも何度か衝突した。結果、アークはソータの完全覚醒を助長し、敗北する。


 けど今はまずい。ソータも覚醒の予兆があったとはいえ、まだ一度目なんだ。その感覚を掴めているわけでも実感があるわけでもない。完全覚醒は意識して使いこなせない分には意味がないのだ。


 同時に、第2クールで衝突した初戦は、ソータの完全敗北で終わる。


 ソータのスペックが一号機を上回ったのもあるが、最大の敗因は覚醒を使いこなせず思考が混乱したからだ。


『ソータ! あいつの声を聞くな! 勝負する必要はない!』


 俺は久しぶりに全力でソータに命じた。


 ソータはガリウスG一号機に搭乗して、まだ数ヶ月なのだ。それなのにアークと戦うなど自殺行為に等しい。


『なんだ、あんたは。気持ち悪い気配だな。邪魔だよ。僕とソータの時間を邪魔するな』


『悪いけど邪魔させてもらうわ。遊び相手が欲しいんだろ? 俺が相手になってやるよ』


『ふーん? 1分保てば褒めてやるよ』


 アークめ………リモート操縦越しでも、ビリビリとするような覇気を叩きつけてくれやがる。


 アークが駆る漆黒のタキオンは、敵陣にいるアンノウンの残党を、腕部のヒートナイフだけで切断して突撃していく。


 神経接続型ガリウス、タキオン。グラディオスでも同型を製造してはいるが、実際に敵対してみると、俺の予想より遥かにスペックが高い。


『ソータはシドウ隊長のところに戻れ! こいつの相手は俺がやる!』


『でも!』


『いいから早く! 今、お前を失うわけにはいかないんだよ!』


 第1クールには存在しない戦いだ。アンノウンも残り少ない。戦闘宙域はすっかり広々としていて、対峙したアークのタキオンと、俺のガンビッド4機は、ほぼ同時に加速した。


たくさんのブクマ、たくさんの評価、リアクションありがとうございます!

驚きました。先週は300くらいの総合評価が、たった数日で400になってました!

本当にテンション上がります。その記念というわけではありませんが、エースを化け物とぶつけてみます。ただの整備士が、どこまで化け物相手に戦えるのか。

主人公系統後継機ガン◯ムシリーズ1機を相手に、フルウェポンサイコ◯ール4機で挑むようなものです。フルウェポンでもボ◯ルじゃあねぇ………どう思いますガノタの同志諸君?


作者からのお願いです。

この作品は皆様の温かい応援で成り立っております。ブクマ、評価、感想、リアクションなどのありがたい応援を、ガソリンのごとく注入していただければ、作者は尻尾があれば全力でぶん回しつつ筆を加速させることでしょう。何卒よろしくお願いします!

誤字脱字報告、ご質問も大歓迎です!

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