表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

15/139

グラディオスA01

 翌日早朝。


 アラームで全員が起床。学生だから時間管理などお手の物。


 窓のないワンルームに4人がすし詰めになって活動する共同生活。


 瞬時に間仕切りを開け「おはよう」と挨拶し、事前に配られた新品のジャージに袖を通す。新兵に配布される服のひとつだ。ただし徴兵もされていないので、軍服は無し。


 やることはひとつ。AとBに分けられたチームで食堂に入る。俺はAチームで、最初に食堂に入り食事を迅速に行った。それが終わるとBチームと交代するように席を代わる。


 食堂は学園のものとは違って、大勢を収容はできない。艦内という限られたスペースを有効に活用するためローテーションを組まなければならない。


 全員が理解しているから、そこに文句はない。あのハーモンでも。


 それにしても味が………いや、贅沢は言っていられないのだけど。


 せめて塩をもうひと、いやふた振りくらいはしてもいいと思う。


 もしかして備蓄に問題があるのだろうか。補給船が訪れた描写はなかったし、もしかしたらカツカツの状態なのかもしれない。


 全員の食事が終わったところで、全員がミーティングルームに集められる。ここは作戦の概要説明を大勢に行うための場所なだけあって広域があった。俺たちが集まっても、まだ席に余裕がある。


「おはよ、エー先輩」


「おはようソータ。よく眠れたか?」


「うん」


「よかったな」


 俺たちAチームは早めに来ただけあって、特に指定もなかったため好きに着席して後続を待っていると、到着するなり俺の右隣に座ったBチームだったソータが声をかけてくれた。


 寝起きのソータ可愛ぇ。ぐへへ………違う。顔に出しちゃいけない。


 ソータの特技と趣味は睡眠だ。昼寝はとくに好きで、よく講義をサボってはあの中庭で寝ていた。


 それにしたって、昨日のあの大立ち回りをした後だってのに、よく眠れたものだ。


 軍に志願した新兵は、初陣を飾ったあとは興奮して眠れなくなり、不眠症に陥る話しをどこかで聞いたことがある。PTSDなどにもなりがちだとか。


 しかしソータは初陣で大勝を収めてもなお、睡魔が勝ったと。


 本当に大物だ。もしかして主人公補正などだろうか。


 ………油断しちゃいけない。


 ソータの試練は始まったばかりだ。


 ソータが壊れていくのは、()()()()なのだから。


 俺がうまくケアしてやらないで、どうする。


「同室になったコウが言ってたわよ。死んだように寝てたって。大丈夫?」


 おっと。しれっとソータの隣に座りましたな。これでソータを挟み込むわけですな。わかります。


 正妻アピールおいしいですアイリ様。


 俺にとってはご褒美です。ありがたや。推し活最高ッ。


「大丈夫だよ。ベッドも柔らかかったし。芝生とは違って、いいよね」


「私なんて眠れなかったわよ。………こんな環境じゃ、ね」


「アイリちゃん、寝返りの音がすごかったよ」


「そういうあんたは(うな)されてたわよ。ヒナ」


「ぅえっ!? ご、ごめんね。うるさかったよね」


 おっとぉ?


 なんということでしょう。


 こちらもしれっと座りましたな。


 我々、天破のグラディオスファン古参勢が、最初期に注目したヒナ・ワルステッドさんが、俺たちの会話に入った途端に、自然に俺の左隣に腰を下ろしたではありませぬか!


 え、待って?


 超嬉しいんだけど。


 クソッ………舐めんなよヒナちゃんめ。


 こちとら万年、彼女いない歴が年齢と同等の、プロの童貞ぞ?


 え? つまりなにか?


 勘違いしてほしいのか?


 そりゃ女子からすれば、ただ隣に座られただけで惚れられるのは「キモい」ことなんだろうけどさ。


 万年こじらせてる俺からしちゃ、全国のモテない男子同志諸君が憧れるであろう「美少女が隣に座ってくれた」行為にッ、ときめかずにゃッ、いられねぇのよォッ!!


 ………よし。落ち着いた。顔に出しちゃいけない。


 ここで心の裡を知られた瞬間に、ヒナに「うわ………エー先輩キモ」なんて宣告され、牛乳を拭いて二週間くらい放置された雑巾を見るような目で見られたら、俺は多分、この艦で起きるあの悲劇よりも早く、精神が崩壊する。立ち直れなくなる。


「ぬふ………まぁ、初日だからな。昨日はあんなことがあったんだ。うまく眠れなくて当然だろ。俺だってうまく寝付けなかったさ」


()()?」


「ちょっと咽ただけ。そこ気にされるとショックだから気にしない。わかったな? ソータ」


「い、いひゃい」


 ソータに指摘されたが、先輩風を吹かせて強引にねじ伏せる。ソータの顎を右手で掴んでグリグリする。


 そうだ。こういうのはどうだ?


 指向性を変えてやろう。


 手っ取り早くな。


「あー、ソータのほっぺは気持ちいいなぁ。ごめんなぁ、アイリ。ソータのほっぺは俺のものだ」


「………別に、いいですけど」


「本当かぁ? こーんなモチモチスベスベなほっぺを独占してる俺って、なんて罪作りなんだろうなぁ? 食っちまいたいくらいだなぁ。アーン」


「ちょっ、エーひぇんぱい!?」


「た、食べないでくださいっ」


 よしよし、うまくいった。


 アイリは昔からソータにべったりだからな。


 幼馴染ポジとしては、急に顎をクイッとやられてキスするような仕草をされちゃ、たまらないだろう。


 嫉妬と独占欲を駆り立てる作戦大成功。赤くなるアイリもマジ可愛い。


 ああ、ふたりの先輩に転生してよかった。初めて感謝したわ。


作者からのお願いです。

皆様の温かい応援が頼りです。ブクマ、評価、感想、いいねなど思いつく限りの応援を、ガソリンのごとく注入していただければ、作者は尻尾があれば全力でぶん回しつつ筆を加速させることでしょう。何卒よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ