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どうせみんな死ぬB09

《テメェと一緒にすんじゃねぇ!》


 なにが王者だ。そんな器でもないくせに。アリスランドを支配した末に、男を奴隷に、女を愛人にした勘違い野郎だ。


 そんなハーレム王の存在していいはずがない。


 壊れているのは、間違いなくビーツだ。いったいなにを間違えば、バイキング気分で女を愛でられるというのだろう。


 薄い本や商業誌くらいでしか見たことがない王様ハーレムプレイに、吐き気を覚えた。ビーツがアリスランドにとって、それほどの支配統制を敷ける人物であったとしてもだ。


《信じるか信じないかはお前の自由だ。好きにしろ。それから、その画像は無修正だ。アリスランドはすでに俺の手中にある。前艦長には早々に御退場いただいたがな》


 映像が切り替わる。


 アリスランドの艦長はテンプスというクランドの同期で、かなり酷い人物という記憶があり、結局はアリスランドのクルーから裏切られて悲惨な末路となった。しかし今回もかなり酷い。ビーツが扇動したクルーが反旗を翻し、殴殺したのだ。


 そしてビーツの独裁が始まる。俺以上の手回しで全員を洗脳し、男性も女性も手中に収めるとは。誰もがテンプス殴殺の罪に震え、苦悩しているところに付け入った。洗脳した全員から推奨を受け艦長代理に就任すると、罪に怯える男たちを奴隷のように働かせ、女たちを愛玩具とした。


《連合軍本部に密告して俺を更迭させようと考えても無駄だ。アリスランドを手中に収めたいという一派とコンタクトを取り、俺の行動を認可させている。本編を見ているお前なら、それがわかるはずだ》


 第2クールのことか。


 グラディオスと衝突することになるアリスランド。原因は、クランドが本部の命令の一部を無視したことにある。人道と命を重んじた結果だ。


 それを面白く思わない一派がいて、アリスランドを差し向けた。太平洋のど真ん中で、ふたつの最新鋭艦が衝突する迫力のあるアニメーションだった。


 ビーツめ。テンプスを処理したあと、その一派の飼い犬になってやるとでも進言したか。実際には利用関係にあり、いつでも裏切れるだろうけど。


 ビーツが一方的に送ってきた映像を保存し、リークしたところで握り潰されるのが関の山。連合軍の威信にかけて製造した最新鋭艦が内部で不祥事をやらかしたと知れば、連合軍の名は地に落ちる。それだけは避けたいだろうし、例の一派がアリスランドを擁護する。各メディアに送ったとしても報道する前に潰されるのだろう。


《お前のやり方ではグラディオスしか守れない。真の守護者となるのは俺だ。女は抱き足りているが、多くても困るものではないからな。そうだ。お前が死んだら、グラディオスを解体して人員を再編成しよう。お前が気にかけている女たちを、俺の奴隷にするとか、どうかな?》


《………テメェ)


《いい顔をするじゃないか。しかしお前はなにもできない。この程度で死にかけている無能だ。変革を起こせるとは思えない。精々、あの世で指を咥えて見ていろ。お前はひとつだけ俺に貢献したことがある。よく女たちの純潔を奪わず保存しておいたではないか。処女は好きだぞ? 痛みで喘ぐ姿は最高に唆るからなぁっ》


《テメェェェェエエエエ!!》


「ぶ………ころ、す………っ!」


「ハハハハ。やれるものなら、やってみるといい。アリスランドは補給のため、しばらくここに滞在する。その期間で私に一矢報いれればいいなぁ!」


 立場を盤石にしていたゆえに、この自信か。クランドに対しても強気に出れるわけだ。


 例えば、この場で事故を装って、ドローンカメラに搭載しているビーム機銃で、ビーツ諸共アリスランドクルーを蜂の巣にしてやったとしよう。


 スカッとはするが言い逃れはできない。


 クランドは全責任を取らされ更迭。刑務所送り。関連していたカイドウや俺もそうなる。


 この場でビーツを処理することは、どうしてもできない。


 そのビーツは高らかに笑いながら「それではグラディオスの諸君。ご機嫌よう」なんて優雅にほざきながら去っていく。


 アークと男たちはビーツに続く。


 俺たちはただ、勝利の愉悦に浸るビーツを無言で見送るしかできなかった。


「胸糞、野郎が………んがっ!?」


 隔壁が降りた時、張り詰めた緊張が消えると、俺にも強いていた負担が苦痛となって反射した。ビクンと体が跳ねる。


 鼻と口から出血し、ヒナとシェリーが泣き叫びながら抑える。


「もういい! 今度は拒否するなよ!? それ以上は本当に脳細胞が死滅するぞ! ハルモニ、エースの意識をカット! レイシア、このままメディカルルームに運ぶぞ! 治療ポッドにぶち込む! すでに脳内チップの処理限界を超過してやがる!」


「了解! ドクターに連絡して、すぐに準備を始めます。シドウ! ここにある担架を出して!」


 カイドウとレイシアが中心になって俺の応急処置を始める。


 視界がブツリと音を立てて遮断され、意識がうちに潜っていく。ノイズが酷い。処理しようにもハルモニが回復を優先させているせいで思考がままならない。


 最悪の気分ではあるが、仕方ないと諦めて、ハルモニにメッセージを託した。カイドウに届いてくれと祈る。


 俺の回復まで24時間を要するらしい。


 また、長い1日となりそうだ。






 様々な出来事があった。


 半日後。カイドウはクランドと数名を連れて、ドッグを訪れる。


「悪いな。いきなり呼び出しちまってよ」


「構わん。急を要したのだろう?」


「俺もだ。正直、パイロットはやることが少ないからな」


「あとは寝るだけですし」


 カイドウが集めたのは、クランドとシドウ。それからソータだった。他にもアイリとユリン、クスドがいる。他のパイロットは治療ポッドに漬物がごとく放り込まれ、黄緑色の液体のなかで再生治療中のエースの見舞いをしていた。


 なぜパイロットや予備パイロット、整備士見習いまで呼んだのか。それはペンタリブルでエースに近い場所にいて、忌憚ない意見を述べられる能力を有しているからだ。


「エースがメッセージを送ってきたのだろう?」


 クランドが問う。


「ああ。色々とな。ガキどもにゃ見せられねぇもんまであった。だが………そんなかでも最優先でやってるのが、今あいつらにやらせてる、あれよ」


 親指でそれを示すカイドウ。


 ソータたちの愛機たるガリウスGのナンバーズ一号から十三号機まで、シドウのガリウスF、ドローンカメラ、大破したプロトタイプガリウスG。そこに優先順位はなく、整備士に与えるはずだった休暇を返上させてまで作業に当たらせる必要があった。


 その機械のどれもが装甲を外され、コンソールに繋がれていた。

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この作品は皆様の温かい応援で成り立っております。ブクマ、評価、感想、リアクションなどのありがたい応援を、ガソリンのごとく注入していただければ、作者は尻尾があれば全力でぶん回しつつ筆を加速させることでしょう。何卒よろしくお願いします!

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