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主砲を撃てB07

 戦闘は快勝で終了する。自軍に損害はない。ドローンカメラも全機無傷。カイドウ曰く、日に日に推進剤の消耗が抑えられていて助かる。らしい。俺としてはそこまで意識したことはないのだが。


「エー先輩。質問いいですか?」


「ちゃんと100個くらい用意したか?」


「そんな時間なかったですよ。でもいつか100回以上は聞きます」


「その調子だ。で、なにが聞きたいって?」


 ドローンカメラを先にグラディオスに収容して、ガリウスGが懸架されて艦内に戻るのを、コクピットブロックから這い出てアイリとともに見上げる。


「カメラで戦況を観察するのはできそうなんです。でも、ビーム機銃というのが、どうしても」


「撃てないか?」


「いえ、撃てることは撃てます。操縦桿のトリガーを引くだけですし。でもエー先輩みたいに、なんの躊躇いもなく引けるかと言われたら、多分迷うと思います。コツってありますか?」


 アイリはアンノウンに容赦をしているわけではない。


 俺たちは戦争をしている。軍に志願したなら銃を持つしかない。それのサイズが違うだけのこと。


 アイリの悩みは、敵に同情しているのではなく、乱戦時に誤射をせず敵を撃ち抜けるのかという技術的な内容だ。


「うーん。慣れかな」


「………やっぱり?」


「半分はね。もう半分は、その慣れから的確なタイミングを見抜くこと。フルオートは絶対にダメ。3発ずつ発砲するんだ。タタタッて。ソータたちなんてもっとすごいことしてるからな。判断する時間なんて一瞬もないかも。コンマ1秒で選ぶんだ。多分、俺の援護射撃が来るってわかってるんじゃないかな? ソータとユリンとヒナは特に」


「確かに、あの3人は特に操縦がうまいですもんね」


 シミュレーションのスコアが、そのまま操縦技術を反映したように物語る。ソータがSSでユリンとヒナがSであるように。


「むしろあの3人、俺に「撃て」って言ってるんじゃないかな」


「通信はなかったですけど」


「なんか、機体のリアがそう語ってるように思えてさ。だって、あえて射線作ってくれるし。アイリはどう見えた?」


「あ、なんかわかります。ソータなんてそうでした。どのドローンカメラがどこにいるのかわかってるみたいで、接近戦になると、いつもどこかに射線を………敵に隙を作ってるような、うーん。ごめんなさい。結局自分でもなにが言いたいのか、わからなくなってきました」


「言わんとしてることはわかるよ。いい線いってる。多分、それが正解だ」


「よかった」


 うん。よかった。これでアイリが俺の補佐とかになれば、有事の際に………ドローンカメラの操縦を任せられるかもしれない。


 イレイザーは諦めることにした。その穴を、どれだけ埋められるかはわからないが、俺が動いて埋めてやる。


「よし、アイリ。今の戦闘データはすでに反映されて、シミュレーションが作られてる頃だ。ひとりでやってみな。納得するまで繰り返し挑戦していいから。おやっさんには俺から言っておくよ」


「………わかりました。やってみます!」


 アイリの瞳に、活力が漲る。


 理由はわかっている。アイリの葛藤が、これで少しは解消されているはずで、しかも成果さえ出せれば、ソータの役に立てるかもしれない希望が生じ、モチベーションに繋がっているのだ。


 アイリは学園ではパイロット科だったがグラディオスでは整備科に配属されたことを悔やんでいた。ソータたちと一緒に戦えないことが負い目になっていた。


 ドローンカメラは実際に搭乗するわけではない。リモート操縦での出撃だ。しかし、それでも、そうだとしても。俺の働きがソータたちにとって有効で、有利に運べていると知ったなら、是非とも俺の代わりにソータたちとともに飛びたいと憧憬を抱くだろう。


 すぐにコクピットブロックに潜る。カイドウが首を傾げていたので事情を説明すると、承諾してくれた。


「あれ? エー先輩。アイリがいないけど、なにか知ってる?」


 ソータが真っ直ぐに俺のところまで降下する。ロッカーのなかでイチャイチャさせた甲斐あって、ソータはアイリとの誤解が解けて、よく話すようになっただけあって、戦闘後はアイリに迎えられるのが習慣になりつつあった。そのアイリが不在じゃ、気になるよな。今日はドローンカメラの演習も兼ねてサブシートにいるって知ってたら余計に。


 どうやらロッカー監禁の刑以降、ふたりの初々しい反応を見る限り、未だ肉体的接触がないというか、レイシアから処方された避妊具を、アイリは使っていないようだ。


 そりゃこのアニメは深夜アニメ枠だけど、ベッドの上でおっ始めるシーンはなかったもんね。未経験のふたりがぎこちなく会話しながら、徐々に距離を詰めていくのがおいしいんです。


「ドローンカメラのシミュレーションしてる。なかにいるよ」


「ありがと。見てくる」


 ガリウスのシミュレーションとは違い、プロトタイプガリウスGのコクピットブロックは強引に複座になったから、ソータが途中で入っても問題にはならない。むしろ隙間はあれどほぼ密室で会話するふたりが可愛すぎて、つい聞き耳を立てたくなる。


「お疲れ、アイリ。どんな感じ?」


「お帰り。うーん。エー先輩みたいにはいかな、くっ………切り替えが難しいよ、これ。アンノウンに捕捉されたら逃げないといけないし。それでいていつまでも1機に集中して操縦してられないし。あ、まずい!」


「………あちゃー」


 どうやら言っている側から、アンノウンにロックオンされて1機が落とされたようだ。シミュレーションだから何度でも落とされてもいいし、残機がまだあるなら継続は可能だ。


「………でも、アイリの目はいいね。なにをすべきか、ちゃんとわかってる」


「落とされちゃ意味な………あっ! ソータからロングソード要求された! ユリンとヒナから銃弾で、ハーモンとコウは冷却剤、シェリーからはライフル………一度に大量に要求しないで………ああ、もう! これでどうよ!」


「すごくいいよ」


「お世辞ならいらない!」


「お世辞じゃないよ。怒ってても正確なポイントにコンテナを発射したし、オーダー漏れはない。俺、同じことできるかな………すごいよアイリ」


「ぅえっ!? あ、ああ!」


「あ、ごめん。気が散っちゃったか」


 良い会話ですねぇ。ソーアイソムリエ的に満点ですぞ。ぬふふへへぇ。今すぐにでも首を突っ込んで至近距離から堪能したいのを、グッと我慢する。


 ソータは滅多に誰かを評価しないからな。アイリにも例外ではなかったが、ソータなりに最大の賛辞を送ると、幼馴染ゆえ珍しさを熟知したアイリは驚愕し、つい振り返って操縦桿を手放し、3機同時に撃墜か衝突。シミュレーションスコアはFという散々な結果。


「ソータ」


「だから、ごめんって」


「い、今の………もう一回」


「は? なにが?」


「今のもう一回言って。聞き間違いかもしれないから」


「え、えぇ? ………えーと、怒ってても正確なポイントにコンテナを」


「そうじゃない! そのあと!」


「オーダー漏れはない。俺にはできない」


「そうじゃない! もっとあと!」


「あ、アイリが怖い………助けてエー先輩!」


 この野郎。男を見せずに逃げの一手か。


 そうはさせないぞ。コクピットブロックの臨時出入り口である後付けのハッチを閉めてソータを監禁する。


「あ、開かない!? エー先輩そこにいるんでしょ!? 開けて! 開けてよ!」


「ソータ! さっきの聞かせてよ。ねぇ、一回でいいから!」


「アイリの目が怖いんだ! 俺、まだなにもしてないのに! エー先輩みたいなミスしてないのに!」


 言いやがったな、こんにゃろう。


 あれか。本格的に、ふたりを俺の部屋に閉じ込めた方がいいのかな?


 すでに原作にはない会話が飛び交っている。そんななかで、ソータをどう教育してやろうかと悩み続けた。


 カイドウたちには不審がる目で睨まれた。ヒナたちには呆れられた。


リアクションありがとうございます!

ラストです!

明日もできれば7回更新したいところですね。

ということで次回は明日の0時頃を予定しております!


作者からのお願いです。

この作品は皆様の温かい応援で成り立っております。ブクマ、評価、感想、リアクションなどのありがたい応援を、ガソリンのごとく注入していただければ、作者は尻尾があれば全力でぶん回しつつ筆を加速させることでしょう。何卒よろしくお願いします!

誤字脱字報告、ご質問も大歓迎です!

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