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主砲を撃てA07

「コンテナはいい! ドローンカメラの7番と8番を先に出せ! 今すぐにだ!」


「そ、そんな! 無茶言わないでくださいおやっさん! 俺には無理です!」


 カイドウのオーダーに、イリスはたまらず悲鳴を上げた。


「大丈夫だよ」


「え?」


「よく頑張ったじゃんか、イリス。代わるよ。ここからは俺がやる」


「エースッ!?」


「エー先輩!? なんでここにいるんですか!? まだ怪我が治ったわけじゃないのに!」


『なに? ノギだと!?』


『エー先輩!?』


『なに出て来てんすかエー先輩!』


『怪我人は無茶をしないでほしいわね』


 イリスとアイリが叫ぶと、無線で声を拾ったのか、シドウとソータ、ハーモンとユリンが反応する。


 あとで説教されるにせよ、この戦況だ。ダイレクトサポートが遅れるのは彼らにとっても厳しいだろう。


 7番と8番のドローンカメラが射出される。イリスはもうダメだと諦めて、飛び跳ねるようにシートから退いた。そこに捩じ込むように上半身を滑り込ませる。


「ぐっ」


「エー先輩っ!」


「お前、やっぱりまだ………」


「大丈夫。変な体勢だったからだよ。もう痛くない」


 無重力とはいえ無茶をした。脇腹の傷を忘れてはいないし、コンディションは最悪に等しい状態で、急な運動をしたから塞がって間もない傷口を刺激してしまった。まだ骨も完全に繋がってはいないのにな。


 けど、泣き言などほざいていられるはずもない。


「ハルモニ!」


『イェス。メカニック・エース』


「お前が担当している6番の操縦も俺に寄越せ。撮影を優先。空いている空間をピックアップ。機体のポジションと、そこからの動きを予想して報告しろ。ドローンに接近するアンノウンの報告も怠るな」


『イェス』


 高性能AIっていうのは、こうやって使うんだ。とイリスに教える。


「待たせたな、みんな!」


『本当、堪え性がないよね。エー先輩って』


「そう言うなって、ヒナ。お前たちが必死に戦ってるんだ。副隊長の俺だけ呑気にいびきかいて寝てられる状況じゃないだろ」


『へへ。そうだね。エー先輩はそういうひとだもんね!』


『無茶をする困った先輩だな』


『でも、だから私たちの副隊長になれたんだよね。エー先輩は』


 ヒナだけではない。コウとシェリーにも、応えに活力が漲る。


 4機のドローンカメラの操縦をコンマ単位で切り分ける。中央の真新しい外付けのメインモニターには、4つに分割された映像が投影された。


「すごい………なんて速さだ」


「こんなもんじゃねぇよ、イリス。まだまだ、これから!」


 防衛線の後ろに2機を配置、固定し、2機を戦場に突撃させる。


「そういえはイリス。ドローンカメラに、機銃が装着されたんだっけ?」


「あ、ああ。パイロットを補助するために………でも俺は、使えなかった。どういうタイミングで撃てばいいのか、わからなかった」


「それでいいよ。タイミングなんざ簡単に掴めてたまるか。俺の役目がなくなっちまう。………でもそうだな。試しにやってみるか。───ユリン!」


 無線で二号機にコールする。


『なにかしら? 病み上がり副隊長サマ?』


 すぐに応答。間髪入れぬ嫌味。さすがだ。


「お前、残弾が2割くらいだろ。下がっていいぞ。ある程度持ってるコウから受け取れ」


『私が維持している戦線を下げられるとは思えないのだけれども?』


「穴は埋める。出ろ、ヒナ!」


『はい!』


 副隊長権限をフル行使。シドウも指揮を執るが、物量差で押し切られそうな戦況で、自分の戦闘を疎かにできず、どうしても間に合わない。ゆえに俺が代行する。そのための副隊長だ。


 ユリンが下がると8番のドローンカメラが追い抜く。ユリンが交戦していたBタイプが接近するも、操縦桿のレバーを押し込むと、なんとビーム機銃が火を噴いた。思わず「おっほ」と変な声が出そうになる。


 ビーム機銃がBタイプの頭部にヒット。大したダメージにはならないが、その動きを制限できた。


 そこにヒナの六号機が肉薄。ロングソードを一閃。隙をついた会心の一撃。


「使えるじゃん。これ」


「実装後、すぐに使い慣れようとしてるエースが怖い………」


「エー先輩って本当に私たちと同じ人間なんですか?」


「ひとを怪物みたく言うんじゃないよ。………ヒナ、しばらく保たせろ。すぐに戦線を立て直す!」


『はい!』


 面白くなってきた。


 無線兵器じゃん、これ。機体に搭乗してない分、操縦を同時に行わないから余計なことに気を取られなくていい。


「なら………」


 後ろに控えさせていた5番と6番を出す。


 グンと景色が加速して、すぐに戦場に4つのドローンカメラが乱入した。


「ここだ!」


 Bタイプが1匹、移動を開始したところに3機のビーム機銃を掃射。やはり倒せはしないが、動きは止められる。


 シェリーの狙撃で倒すと、4機が拡散する。


「敵は前線のソータとシドウ少尉に密集しつつある。ハーモンもそろそろ冷却のインターバルが必要。さっきの補給で弾薬が届いた。必要なのは残りの弾薬とロングソード類。なら………おやっさん! ドローンカメラ9番追加!」


「9番だあっ!? お、お前………5機を同時に操縦しようってか!?」


「操縦はハルモニにやらせます。今リストアップした装備をコンテナに詰めて、9番に懸架させてください! ドローンカメラで直接運んだ方が早い!」


「おま………ついに頭イカれたか!? どうやったらそんな発想になるんだよ、ったく………ああ、くそ! テメェら、9番を出せ! コンテナの接続作業とオーダーの装填、1分で終わらせるぞぁっ!」


「おう! おやっさん!」


 さすがは天才メカニック。俺の無茶振りに応えてくれる。


 最短で作業を終わらせて、9番をハルモニに操縦させ、グラディオスから射出する。


 もちろん敵も反応する。ドローンカメラよりも巨大なコンテナを強引に取り付けた9番の動きは愚鈍そのもので、狙われたらひとたまりもない。


「シェリー! 俺のドローンカメラの動きを追え!」


『はい!』


「ハルモニ! ランダム回避運動。多少の無茶は構わない! 最短で飛べ!」


『イェス。メカニック・エース』


 最低限のプロンプトでどこまでやれるかと不安になるが、高性能AIが導き出した答えは、確かに最短かつ回避運動で敵の突撃を回避した。


 囲まれそうになるとどうしようもない。そこで4機すべてで9番をフォロー。注意を引き、アンノウンが本能で停止するとシェリーが狙撃。ルートを確保すると、ついにユリンの手元にコンテナが渡る。切り離された9番はハルモニがグラディオスへ返した。


『………さすがはエース先輩。見直しました』


『的確な支援があると違うな』


 ユリンが認めてくれるのは嬉しいが、それにデレている場合ではない。4機すべてを再び前線に突撃させる。


「褒めるのはあとにして、前線とスイッチ! ヒナとハーモンを休ませてやってくれ。コウは途中でシェリーに弾丸を。ユリンはもっと前に出てソータとシドウ少尉にロングソードを届けるんだ!」


『了解!』


 この日の戦闘も、途中から挽回する。


 俺のドローンカメラ4機をすぐ追い抜いた二号機と四号機が、仲間の支援のために宙域を飛翔する。


「根性見せろ! ここからが正念場だ! 敵を押し返すぞ!」


『やっぱりエー先輩がいると違うね』


『了解!』


『ウス!』


『支援と指揮代行に感謝する。正直人手が足りなかった』


 なかなか、いい感じじゃないか。


リアクションありがとうございます!

エースがやっているのは、つまるところファン◯ルです。

俺がファ◯ネルになるしかねぇっ!


作者からのお願いです。

この作品は皆様の温かい応援で成り立っております。ブクマ、評価、感想、リアクションなどのありがたい応援を、ガソリンのごとく注入していただければ、作者は尻尾があれば全力でぶん回しつつ筆を加速させることでしょう。何卒よろしくお願いします!

誤字脱字報告、ご質問も大歓迎です!

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