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2度目の人生

嘘でしょ……。

なんでよりによって少女漫画なのだろう。

私は佐藤恵梨奈さとうえりなだった。華のJKを卒業し、美容専門学校に入学する予定だった……にも関わらず、不慮の事故で死んでしまった。


この世界は、ある少女漫画の世界で死ぬ前の私に同級生が勧めてくれた漫画だった。

 あらすじを説明するなら、ひょんなことから名門校である幼・小・中・高一貫の学院に編入した高校1年生の主人公――姫川ひまりと、ヒーロー役である由緒ある血統――有名企業の御曹司である早乙女聖也さおとめせいやとの恋愛模様を描いた漫画だ。

 私の役割は、主人公に学院の事や様々なことを教える、いわゆるサポート――主人公ヒロインの親友役だ。


「あぁ〜転生するならもっとあるでしょ」

例えば、最近流行ってる悪役令嬢とか……そもそも転生するなら、魔法とか使える異世界が良かった……。

なんでよりによって、少女漫画で……しかも、現実世界と変わらない世界に転生してしまったのだろう。


「はぁ……」

「お嬢様、朝からそんな大きなため息をつかないでください」

「うわぁっ!」

 驚きのあまり思ったよりも野太い声が出てしまった。

 私の背後にはいつの間にか専属メイドであるかがりが立っていた。

「今日から高校に進学されると言うのに……」

 そう呟きながら、篝は私をドレッサーに座らせ、身支度を初めようとしていた。私の髪の毛を手際よくとかし始めた。私は、鏡越しに自身の顔をぼーっと眺めていた。そして、私はふとした事に気づいた。

「……ねぇ、篝」

「どうしました?お嬢様」

「……身支度、自分でやってもいい?」

「えっと……?」

 篝は困惑していた。そう感じてしまうのも仕方ない。彼女は私の見の回りのお世話をする為に雇われている身……自身の仕事をとられるのは、立場としてあまりいい気はしないだろう。

「お嬢様……」

「はい……」

「……大人になられたのですね!」

「……は?」

「奥様!!旦那様ー!!」

 篝は勢い良く私の部屋を飛び出した。

「……はぁあー!?」

 部屋の廊下の奥からバタバタと大きな音をたてながら勢い良く3人が現れた。

「桜花ちゃん!!大きくなったのねー!」

「おぉ!桜花!こんな成長を見られるなんて!」

「ほんとですよ!お嬢様が……!」

 お母様にお父様……そして篝まで……

身を乗り出しながら、そんな事をペラペラと言ってきた。

「今日は進学も兼ねてパーティーしましょ!」

「ああ!なんて素晴らしい考えなんだ!」

「さすが旦那様と奥様です。名案です!!」

「…………お父様、お母様……それに篝」

私は、肩と手を震わせながら

「もう、出ってってー!!!」

 思いっきり、3人を部屋の外に出した。

 気を取り直して私はドレッサーに座って身支度を始めた――。


 今日、この物語の舞台が始まる――。

「お待ちしておりました。お嬢さっま!?」

 ドアマンが素っ頓狂な声を出した。私はドアマンには気にもとめずに、車に乗りこんだ。


 私は絶対に幸せになる――。せっかく2度目の人生を歩んでるんだから。そのためにも絶対にヒロインの親友にはならないし、自身の役目を放棄してみせる――。


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