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公爵令嬢は目が死んでいる

作者: ののめの

夢で見たシチュエーションが面白かったので書いてみただけの話です。

あまり深く考えずにお読みください。

「クローディア! クローディア・マクラリーはいるか!」

 

 卒業パーティーの最中に響いた刺々しい声に、会場の視線がおのずと一ヶ所に集まる。

 声を張り上げたのは第一王子ブラムウェル・エイデン。エルセスタ王国の王位継承権一位を有する貴人であり、貴族学院の卒業生としてこのパーティーに参列していた。

 その傍らにパートナーとして侍らせているのは婚約者のクローディア・マクラリー公爵令嬢ではなく、在学中から親密にしていたミリアーデ・カーヴェイ伯爵令嬢である。

 

「お呼びでしょうか」

 

 凛とした声と共に姿を現したクローディアに、会場がにわかに騒がしくなる。本来第一王子のパートナーとして共に入場するはずのクローディアが先んじて一人で入場していたことへの驚きで、ではない。

 

 淑女の鑑としていついかなる時であってもたおやかな笑みを欠かさないはずのクローディアが、全く意思の読み取れない無表情を浮かべていたからである。

 

「クローディア……? お前、どうした……?」

 

 あまりの異変に、呼びつけたはずのブラムウェルさえも動揺している。目を白黒させるブラムウェルに、しかしクローディアは仏頂面のまま「どうもしておりませんわ」と答えた。

 

「私に、何か御用があるのではございませんか? 殿下」

 

 生気の薄い瞳にまっすぐに見つめられて、ブラムウェルの背筋が凍りつく。美人の真顔は怖いと言うが、なるほど確かに彫刻の如く完璧なバランスで整ったクローディアの美貌は無表情になると有無を言わせぬ圧がある。普段は慈愛に満ちた笑みをたたえている分、ギャップで余計に恐ろしさが増している。

 だがしかし、一度口火を切った以上ここで退いては示しがつかない。ブラムウェルは己を奮い立たせ、きっとクローディアを睨んで指を突きつけた。

 

「クローディア・マクラリー。お前との婚約は今日限りで破棄する!」

 

 ざわ、と会場に動揺が走る。それは思いもよらぬ婚約破棄宣言への驚愕ではなく、「こいつマジでやりやがった」という困惑に近い反応であった。

 

 四年間の在学期間中、ブラムウェルが婚約者のクローディアを冷遇しミリアーデと恋人のように仲睦まじくしていたことは貴族学院に通う者なら誰もが知っている。

 周囲の冷めた視線もそっちのけでアツアツの熱愛ぶりを見せるブラムウェルとミリアーデに、そのうちクローディアを捨ててミリアーデを妃になどと言い出すのではないか、いやさすがにそこまではしないだろ、などとあちこちで囁かれていたのだが、その懸念は現実のものになってしまったようだ。

 

「理由を聞かせていただいても構いませんか?」

 

 婚約破棄を突きつけられても、クローディアはあくまで冷静だった。動揺のかけらすら浮かべない氷のかんばせに、会場にさらなる激震が走る。

 

 クローディアがブラムウェルの冷たい態度に心を痛めているのは、ブラムウェルの浮気と同じくらい有名な話だった。ブラムウェルの心が自身に向いていないとわかっていてもなお慕う気持ちを捨てきれないクローディアに、彼女と親しい令嬢達はお可哀想にと常々悲嘆していたものだ。

 

 ——マクラリー公女様は一体どうなされたのかしら?

 ——よもや、殿下を見放された?

 ——無理もない、日頃からあの態度では……


 観衆が囁き合う声にブラムウェルはひくりとこめかみに青筋を浮かべたが、クローディアはどこ吹く風といった様子で澄ましていた。


「……理由などお前自身がよくわかっているはずだ。お前は将来の王妃としての責務を放棄し、嫉妬からミリアーデを虐げた。私の気を引きたいがために他者を貶めるなど言語道断だ! お前のように性根の腐った女は国母に相応しくない!」


 啖呵を切るブラムウェルに、観衆は一様に「何言ってんだコイツ」と呆れを表情の端に滲ませる。


 クローディアが将来の王妃としての責務を放棄したなどとのたまっているが、クローディアが学業の合間に王妃教育を受けていたことは周知の事実である。午前のみ授業を受けて午後は王妃教育というスケジュールで動き、受け損ねた授業は自習でカバーして常に上位の成績をキープしていたクローディアは誰から見ても立派な王妃候補だ。


 むしろ責められるべきは、婚約者をほっぽって恋人を作り人目もはばからずイチャコラしていたブラムウェルのほうだろう。愛妾を囲う貴族や王は少なくないとはいえ、学業に支障をきたすほど遊ぶのはやりすぎだ。

 帝王教育の成果も芳しくなく、ブラムウェルの次代の王としての資質を疑う国王陛下に「私が誠心誠意殿下をお支えします」とクローディアが訴えていることでかろうじて継承権一位をキープできている現状は王宮勤めの家族を持つ生徒を経由して学園にも知れ渡っている。


 なればこその「何言ってんだコイツ」なのだが、観衆の一部は「王冠を投げ捨ててでもミリアーデと結ばれたいとはなんて一途なんだ」と一周回って感心すらしていた。

 もっとも、婚約破棄を宣言している当人がそこまで頭が回っているかは疑わしいところではあるが。


「身に覚えがありませんわ。私は殿下の婚約者として務めを果たすべく日々邁進しておりました。カーヴェイ伯爵令嬢を虐げたこともありません」

「しらを切っても無駄だ。ミリアーデに嫌がらせをしていた令嬢達がお前の差金だったと白状している! ミリアーデ自身もお前に嫌味を言われたと話してくれた。これだけ証拠が揃っているのにまだ口答えをする気か!」

「証拠、ですか。では証言以外の物証はあるのですか? 言葉でならいくらでも嘘をつけます。今私の言葉を疑っているように、証言も疑うべきなのではありませんか」


 冷静沈着なクローディアの主張に、観衆がそうだそうだと胸の内で頷く。


 ブラムウェルの持ち出した証言には裏付けがない。それどころかミリアーデ以外の証人の登壇さえないのだ。

 裁判で証人を入廷させる場合、証人は己の証言に一切の虚偽は含まれないという宣誓をし、意図して誤った証言をした場合は偽証の罪に問われる。そういう責任があるからこそ証言は証拠として認められる。

 たとえ法廷にあらずとも罪の告発をするのであれば、証言の公正さは確保しなければならないのだが——それを欠いた以上、ブラムウェルの主張はただの言いがかりに過ぎない。

 にも関わらず、ブラムウェルが「素直に認めれば婚約破棄のみで許してやる」などとまるで己に裁く権利があるかの如く傲慢に振る舞うものだから観衆の間ではどんどん失望が広がっていく。


 ああ、こんな愚か者が正妃の第一子というだけで王位継承権一位を有しているのか——と、ある者は額に手を当てて溜め息を吐き、ある者は隣国への移住を考え、ある者はクローディアのこれまでの苦労を慮って(かぶり)を振る。

 失意に暮れる会場の空気を肌身で感じ取ったのか、スッと絡めていた腕を解いて逃げようとするミリアーデの手を必死に掴んで止めるブラムウェルを絶対零度の眼差しで見つめて、クローディアはふぅと小さな吐息をこぼした。

 

「謂れのない罪を着るわけにはまいりませんが、婚約解消をお望みでしたら謹んでお受けいたします。私も殿下にはほとほと愛想が尽きておりますから」

 

 クローディアの言葉に、ブラムウェルが「へっ」と目を丸くする。ブラムウェルが呆気に取られているうちに、ミリアーデはするりと手を解いて群衆の中へ紛れていった。

 

 ブラムウェルがわざわざこのような場で、傍目からはあるかどうかも怪しい罪をごり押してまでクローディアとの婚約破棄を叫んだのは自分はクローディアに片想いされているという自覚があるからだった。

 好意を寄せていても、貞淑であるが故に手を握る以上のことはさせてくれないクローディアにブラムウェルは日頃からもどかしさを感じていた。そこにクローディアに負けないくらいの美人でスタイルも良く、望めばいくらでも肌に触れさせてくれるミリアーデが現れたものだから思春期の欲を持て余したブラムウェルはあっさりそっちに流れてしまった。

 となればもうクローディアの好意は鬱陶しいだけだが、婚約解消を願い出たところで両親の覚えがめでたいクローディアが嫌だと言い張ればそっちの意見が通ってしまうだろう。

 だからこの場でクローディアの心を完膚なきまでに折り、婚約解消に頷かせようとしたのだが——そのクローディアがこうもあっさりと婚約解消を受け入れるのは、それはそれでブラムウェルには面白くない。

 

「ほ、本気かクローディア? 今さらそのようなことを言って気を引こうとしても無駄だ。私の心はすでにミリアーデに……」

「ええ、存じておりますわ。何せ殿下は在学中、私を捨て置いて四六時中カーヴェイ伯爵令嬢と睦み合っておられましたものね。学業にも身が入らないほどにお熱くなって」

「そ、そうだ! だからお前はミリアーデに嫉妬して虐げたのだろう!」

「いいえ。そのようなはしたない真似はいたしません。私は淑女として恥ずかしくない振る舞いを常に心がけておりましたから。幼少のみぎりからご縁を結ばせていただいている殿下ならば私がそのように見苦しい真似などするわけがないとわかっていただけるはずなのですけれど」

 

 ド直球の嫌味に、ブラムウェルはうっと言葉を詰まらせた。

 

 生真面目で心優しく少し弱気なところのあるクローディアに嫌がらせなどできるはずがない、とブラムウェルもよくわかっている。むしろクローディアが控えめな態度でいるから堂々と学内で浮気ができたくらいだ。

 自分を差し置いてミリアーデと恋人のように振る舞わないでほしい、と咎められたことも過去にはあったが、頭ごなしに怒鳴りつければ怯えて二度と言わなくなった。そのくらい気が小さいから公衆の面前で辱めてやればあっさりと心が折れるだろうと踏んでいたのだ。

 

 それが今はどうだ。気弱どころか何を言われてもまるで動じず、常のやわらかな笑みを消した顔貌は石の如く冷たく無機質だ。かつてはブラムウェルを切なげに見つめてきたはずの瞳も、光が消えて暗く濁っている。

 

「おま、え……いったい、どうして……」

「決まっておりますわ。殿下が私の心を蔑ろになさったからです」

 

 力無く呟くブラムウェルに、クローディアが告げる。

 心当たりは、痛いほどにあった。それこそミリアーデとの交際以外にも、クローディアからの誘いをすげなく蹴ったり夜会でダンスも踊ってやらず放置したり自身より成績の良いことに嫌味を言ったりと、ブラムウェルは散々クローディアを足蹴にしてきた。


 それでもクローディアはブラムウェルを慕っていた。慕われているはずだった。それが当たり前なのだと、ブラムウェルは根拠もなく信じ切っていた。


「殿下を想う私の恋心を殺したのは、ほかでもない殿下ご自身です。それだけはゆめゆめ、お忘れなきよう」


 がつん、とブラムウェルの脳内に重い鈍器で殴られたような衝撃が走る。

 つまらない女だと内心馬鹿にしていても、愛されていて当然だという自負がブラムウェルの根底にはあった。そのクローディアから見放された事実はブラムウェルの足をすくい、冷たい奈落の底へ突き落とした。


 自分の愛を乞わねば生きられない弱い女だと思っていたから、ブラムウェルはこれまでクローディアを見下しいいように扱えてきたのだ。だがクローディアがブラムウェルの愛を必要としなくなれば、ブラムウェルの優位は一気に崩れてしまう。

 第一王子という立場を除けば、ブラムウェルがクローディアに優っている点など何一つない。成績も、周囲からの評価も、容姿さえも、何もかも。


「ま、待て、クローディア! 私は王太子だぞ! 王太子妃の立場を捨ててもいいのか!」

「それ以上は僭称になりましてよ、殿下。“暫定”で王位継承権が一位というだけですから。私の支えなくして王になることは難しかろうと陛下は仰せでした」


 ——私も、次代の王位も。捨てたのはご自身の意思でしょう、と。

 冷徹にとどめの一言を見舞われて、ブラムウェルが膝から崩れ落ちる。弱々しくうなだれたブラムウェルを一瞥すると、クローディアは「お騒がせをいたしました」とカーテシーをして踵を返した。

 コツ、コツ、とクローディアのヒールが大理石を踏む音だけが会場に響く。クローディアを失ったブラムウェルを支えるはずのミリアーデも、とうに彼を見限ったのか会場のいずこかに消えたままで姿を現さない。

「待ってくれ」という消え入りそうなブラムウェルの声を振り切るかのように、クローディアは足早にホールから退出した。


 ◇◆◇◆◇◆


「こんなもんでよかったのか?」


 ホールから出て、馬車を待たせている広場まで歩く道すがらクローディアが呟く。声にせず頭の中で響かせたその独り言に、応じるように「ええ」と声がした。


「あまりに強い言葉遣いをするから、少しはらはらしたけれど……でも胸がすっとしたわ。自分の正直な気持ちを伝えるのってこんなに気持ちがいいのね」

「そっか。そりゃあよかった」


 どこか弾んだ少女の声を聞いて、クローディアの代理人(・・・)はふっと満足げな笑みを浮かべる。

 卒業パーティーで発言したクローディアは肉体こそクローディア・マクラリー本人であったが、人格はクローディアのそれではなく全くの別人だった。


 彼の名前は恩田清治。日本在住のごく普通の会社員だった彼は、ある日目が覚めると見知らぬ小綺麗な部屋で豪華なベッドに寝ていた。

 なんだこりゃあと思っているうちに身体は勝手に起き上がり、「誰かいるの?」と緊張したような少女の声が聞こえた。

 しばらくして混乱がおさまると、清治は自分がクローディア・マクラリーという少女の身体に入ってしまったのだと理解した。


 クローディアとは頭の中で会話ができたため、ここがエルセスタという国であること、クローディアがそこの王族の血を引く貴族令嬢であること、王家の尊い血を保つために第一王子との婚約が組まれていることなど、色々な話を聞いた。

 また会話を交わす中で、互いに同意があれば身体の主導権を交代して自らがクローディアとして振る舞えることもわかった。


 それから、クローディアと清治の奇妙な共同生活が始まった。

 清治はクローディアの着替えや入浴を覗かぬようそういう時は意識を閉ざし、クローディアのプライベートを守るように努めた。

 クローディアは清治から日本の話を聞きたがり、毎晩ベッドの中で清治の寝物語に目を輝かせた。


 清治とクローディアは良好な関係を築き、清治がこの奇妙な生活にもすっかり慣れた頃、クローディアは貴族学院の卒業の日を迎えた。

 卒業パーティーで友人に囲まれて和やかに過ごしていたクローディアは、入場してきたブラムウェルの声を聞いてひどく怯えた。また心ない言葉を投げかけられるのではないか、と不安がるクローディアに、清治は「俺が何とかする」と申し出た。

 これまでにも清治は、クローディアが失神した時に短い間ながらも代理としてクローディアのように振る舞ったことがあった。クローディアは清治の手腕を任せ、清治に身体の主導権を委ねた。


 そこからは見ての通りである。清治はクローディアの身体の中でブラムウェルの傍若無人な振る舞いを見て、クローディアが心を痛める様を最も近くで感じていたために、ブラムウェルのことが嫌いだった。

 どうせろくなことをされないだろう、と考えた清治はあえていつものクローディアのふりをせず、日本で「何を考えているかわからない」「愛想が悪い」とボロクソに言われまくった生まれもっての仏頂面を使ってブラムウェルを威圧する方向に決めた。

 そしてブラムウェルが予想通りろくでもないことをぬかしてきたので、クローディアの意思をかなりキツめの言葉に包んでぶん投げて、反対にブラムウェルの心をぽっきり折ってやったのだ。

 

「クローディアじゃないってことにも気付かないなんて婚約者失格だよな。やっぱダメだわあのバカ王子」

「仕方ないわ、私の中にキヨハルがいるなんて誰も思わないもの。……期待しなかったわけではないけれどね」

「幻滅したぶん諦めもついたか?」

「ええ。おかげで目が覚めたわ。ああまでして私と別れようとするだなんて……がっかりだわ」


 クローディアの声と共に、どこか残念がるような、呆れ果てたような彼女の感情が清治に伝わる。

 クローディアはブラムウェルの至らなさやどうしようもなさを知りながら、それでも尽くしていればいつかは自分の大切さがわかって振り向いてくれるかもしれない、とわずかな希望に縋っていた。その希望を真っ向から打ち砕いたブラムウェルの蛮行には、やはり深く傷付いているのだろう。


「あんなダメ男よりも、クローディアの良さをわかってくれる人は絶対にいるさ。こんなことがあったんだから両親もいい縁を探してくれるだろうし、自分を大事にしてくれる優しい婚約者を見つけようぜ」

「それならキヨハルがいいわ。キヨハルほど優しくて私を大事にしてくれる人はいないもの」

「やめとけよ。ダメ男に続いて俺なんて見る目がないって思われるぜ。第一同じ身体なんだから付き合えないって、身分の差もあるし」

「あら、キヨハルの誠実さなら誰よりわかってるわよ。何より近くにいるもの。それに身体や身分の差だって何とかしてみせるわ」

「無理だろ」

「やってみなければわからないわ。それにあてならあるのよ」

「なんだって?」

 

 思わず声を出した清治に、警邏をしていた兵士がぎょっとした顔でこちらを見る。ごめんなさい何でもないのよ、とクローディアのよそ行きスマイルを浮かべながらその場を取り繕って、清治はどういう意味だとクローディアに尋ねた。

 

「東国では『魂』の研究が盛んなのですって。死者の魂を呼び寄せて人形に宿らせる術もあるそうよ。だから東国に行けばキヨハルに新しい身体を与えられるかもしれないわ」

「俺は死人じゃないと思うけど……そもそも身体ができたって身分の差はどうにもならないだろ。俺はこっちでは戸籍も何にもない、存在しない人間だし」

「そこは何とかするわ。私だって王族の端くれなのよ? あなたの身分は公爵家で保障するから、大船に乗ったつもりでいてくれていいわ」

 

 まずは東国に行かなきゃね、とやる気をみなぎらせるクローディアに、清治はやれやれと頭を振った。

 

 それから数年後。東国への留学を終えてエルセスタ王国に帰還したクローディア・マクラリーの傍らには、キヨハルと呼ばれる黒髪の青年の姿があったという。

目が死んだ社畜男が令嬢に憑依して婚約破棄される夢を見たので書いただけの話でした。


◆恩田清治


日本人。三十路。

気が付いたらクローディアに憑依していた。

死んだ魚の目と感情に乏しい声音が標準装備。クローディアが失神などをして代理を務める時は頑張って愛想良く振る舞っていたが、やけにぎこちないので「具合が悪いのかな」と周囲には思われていたそうな。



◆クローディア・マクラリー


公爵令嬢。

元々気弱な性格でブラムウェルにいいようにされていたが、清治と出会ってからは少し前向きになった。

ブラムウェルへの思いを断ち切った後は東国へ旅立ち、清治に新しい肉体を与えた上で伴侶に迎えた。

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