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もし、精霊が人間と出会わなかったら  作者: 檸檬セレナ
出会いと旅の始まり編
8/18

007. 怪しいのは誰か

(早く火を消さなきゃ ... !)

 フウは我にかえり、水を探し始めた。

 しかし、川は森の奥にあるため、川の水は使えない。

(それなら、水の力を持ってる精霊に手伝ってもらわないと ... 。)

 これほどの規模の火事だとたくさんの精霊を集める必要がある。

 しかし、突然の出来事で精霊たちはパニック状態。

 その中でたくさん集めるのは困難だ。

 どうしようかと悩んでいたとき、

「みなさん!水はここにあります!協力して火を消しましょう!」

 と、ソラが水が入った大量の桶を持って叫んでいた。

 フウはソラから水を受け取り、火にかけた。

(そういえば ... 火元はどこなんだろう。こんなに燃え広がるまで誰も気づかなかったなんてことある?)

 フウはいろんなことを考えつつも、水をかける手を止めなかった。

 しかし、いくらかけても火は消えず、むしろ火の勢いはどんどん増していった。

(なんで止まらないの?)

 そのとき、フウはふと、手紙と一緒に入っていた赤い石のことを思い出した。

(もしかして、あれが何か関係があったりして ... !)

 フウは急いで家に戻り、赤い石を探した。

 見つけるのは容易だった。

「 ... えっ?」

 赤い石は眩しい赤色の光を放っていた。

 そして、フウはこの石が「原因(ひもと)」なのだと悟った。

 石に、燃えている森の様子や、戸惑う精霊たちの様子、必死に火を消そうとするソラの様子などが映っていたからだ。

 フウは石をもってソラのもとに走り出した。


「ソラ!この石が関係してると思うんだけど ... 」

「これ ... かすかだけど、精霊力を感じない?」

 確かに石からは精霊力が漏れ出していた。

「ってことは ... この火事は"力"でつくられたものってこと?」

 もしそうなら、火はこの石に水の"力"をかけることで消えるのかもしれない。

 そう思い、水の精霊に水の"力"をかけてもらったが、

「全然消えてない ... ?」

 火の勢いは少し弱まったが、火は止められなかった。

(じゃあ ... どうすればいいの?)

 その時、

「 ... 石を割ってみたら?」

 とソラが言った。

「原因はこの石だってわかったんだから、これを壊せば術も解けるんじゃない?」

 他に方法がなかったため、フウは石を割った。

 すると、赤かった石は灰色になり、燃え盛っていた火も消えた。

 その様子を見ていた精霊たちは安堵した様子で、地面にへたりこんだ。


 フウの誕生日祭は中止となり、急遽(きゅうきょ)、この火事についての会議が開かれた。

「 ... この事件についての説明は以上です。」

 ユウヒはフウとソラから聞いた情報をまとめ、発表した。

 そこに精霊が入ってきて、ユウヒに何かを耳打ちした。

 ユウヒは頷き、私たちを見渡して言った。

「今、新たな情報が入りました。火事があった森の中にフウ殿の元に届いた石と似た、赤い石が埋められていたそうです。フウ殿が石を触った瞬間に自動的に術が発動したのでしょう。しかも、犯人はちょうど6時くらいにフウ殿が封筒を開けるとわかっていた。これらのことから、犯人はフウ殿と親しい精霊だと考えられます。」

「フウお嬢様と親しく、火の"力"を持つ精霊はユウヒさんだけです。あと、ご友人のソラ様は空の"力"を持っていますが、どんなものかは不明です。」

 それを聞いて、一人の精霊が、

「そういえば、ソラさんの今回の行動には少し不可解な点があると思いませんか?」

 と言った。

「不可解な点?どういうことですか?」

「急遽、水を用意するには、水の"力"を使うか、森にある川の水をくむしかありませんが、あの状況下ではどちらとも不可能だと思います。となると、ソラさんは火事が起きることを知っていたのではないでしょうか。」

(確かに ... 。)

 ソラが犯人なんて考えたくない。

(そういえば ... !)

 ソラと話した時、ソラの手には土がついていた。

 そして、森の奥には赤い石が()()()()()()()

(まさか本当にソラが犯人なの ... ?)

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