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もし、精霊が人間と出会わなかったら  作者: 檸檬セレナ
出会いと旅の始まり編
5/18

決意

「私は ... !」

 フウはそれでも行きたい、と言いかけて、やめた。

 人間の世界に行って後悔することはないか。

 もしひどい目にあったら、父はどう思うだろう。

 ソラは悲しむかもしれない。

 考えているうちに、不安がフウの心の中で膨らんでいった。

(行くのは、やめようかな ... 。)

 そう思った時、

「さっきの話はあくまでソウの体験であって、お前が絶対にそうなるというわけではないよ。」

 と祖母が言った。

「もしかしたら、お前はソウとはまったく違う体験をするかもしれない。そのこともふまえてよく考えるんだよ。」

 それを聞いて、フウの心の中にかすかな希望があらわれた。

(もし人間に危害を加えられなかったら、人間は安全だって証明できるんじゃ ... !)

 その希望は不安をいつのまにか消し去っていた。

(そうだよ。危険な目に会いそうになっても"力"を強化して強くなればいいんだ!)


 ここで言う「力」とは、非科学的な力のことを指す。

「力」には二種類あり、精霊が生まれつきもっている「精霊力」と、「精霊力」を利用して元々「力」を持っていない生物でも使えるようにした「魔力」があり、父は「魔力」は精霊を苦しめると信じているため、それを持つ人間を特に敵視している。

 また、「精霊力」を使っていろんなことをすることができ、それにはいくつかの「(タイプ)」がある。

 基本となる「型」は水、火、風、土、雷の五つあり、だいたいの精霊がそれらのどれかを持って生まれる。

 ちなみに、フウは名前の通り、「風型」である。

 しかし、たまに五つのどれでもない「型」を持つ者もおり、そういう場合、同じ「型」を持つ者が極わずかなため、「力」の内容を知らないものが多い。

 ソラもそのうちの一人で、「空型」の「精霊力」を持っているらしいが、「空型」は今はソラしかいないため、本人しか内容を知らない。


「力」は使い方によって効果がまったく違う。

 恵みを与えたり、身を守ることができる一方で、他者を攻撃することもできる。

 特に、「魔力」は攻撃に特化しているため、人間の世界に行くためには、とりあえず防御力を上げなければならないのだ。


「おばあさま、私、人間の世界に行くよ。」

 祖母はそれを聞いて少し驚いた様子だったが、苦笑して言った。

「お前ならそう言うと思ったよ。」

 そして、

「お前の生き方はお前が決めればいい。」

 と言った。

「うん。」

 フウは覚悟を決めた顔で頷いた。


 次の日、アスカと約束した場所で会った。

「アスカ、私、人間の世界に行ってみることにしたの。」

「本当に ... ?」

「うん。前から、いつか人間の世界に行ってみたいなと思ってたの。」

「そっか ... 。」

 アスカは少し考え込んだ様子でしばらく黙っていたが、

「 ... いいよ。連れていってあげる。」

 と言った。

「本当に?!」

 フウは本当に喜んだ。

 二人がはしゃいでいると、

「人間の世界に行くの?」

 と、言いながらソラが近寄ってきた。

「なんでここがわかったの?!」

「知ってたから。」

「え?」

(知ってたって ... 昨日、また顔にでていたのだろうか?)

「っていうか、いつからいたの?」

「ついさっきだよ。それより、人間の世界に行くって本当?」

「うん。もう決めたの。」

「そっか ... 。いつ行くの?」

「う~ん。アスカ、いつなら行ける?」

「 ... 一週間後とかは?」

「じゃあ、そうしよう!」

 フウとアスカの会話を聞いて、ソラは、

「一週間後か ... 。アスカさん、一週間後じゃなくて、八日後でもいいですか?」

 と言った。

「いいけど、なんで?」

「一週間後はフウちゃんの誕生日なので ... 。せめて誕生日だけでもお祝いしたいから。」

 フウはとても嬉しくなった。

「ソラ、ありがとう!」

 ソラは

「ううん。」

 と言って笑った。

「じゃあ、フウちゃん。八日後に黒髪の女の子を遣いに出すから、その子に付いてきてね。」

 とアスカは言った。

「え、アスカは?」

「少し用があるの。ごめんね。」

「そっか。じゃあよろしくね。」

 アスカはフウたちに手を振って別れた。


「フウちゃん、ついに決意したんだね。」

「うん。夢を現実にするって決めたの。」

「そっか、じゃあ私も夢を現実にするために頑張ろっかな~。」

「そういえば、ソラの夢はなに?」

「 ... ふふふ。内緒~!」

「え~!教えてよ~!」

 二人は笑いながら歩き始めた。



 *~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~*



 ここは、真っ暗な闇の中。

 そこに、何者かの話し声が響いていた。

「???。準備はできているか?」

「はい。これで最後の一匹です。」

「影」に???はこたえた。

「そうか ... 。くくく ... もう少しだ、もう少しで ... 。くくく ... はっはっは!」

 暗闇に「影」の笑い声が響いた。

ここまで読んでくださり、ありがとうございました!

これからも引き続き読んでいただければ幸いです。

ブックマークや☆を★にしていただけると、とても嬉しいです♪

これからもよろしくお願い致します!

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