味方
ソウはフウの父の名前です。
「あなたの名前は?」
とアスカに聞かれ、フウは自分の名前を答えた。
フウはアスカから人間の世界の話を聞いた。
特に驚いたのが、人間の世界には「車」という移動手段があるということだ。
「車」に乗れば、自分で動かなくても遠くまで行くことができるらしい。
フウはもっと人間の世界に行ってみたくなった。
もっと話を聞こうとしたとき、
「フウちゃ~ん?」
と、フウを探すソラの声が聞こえた。
(ヤバい ... アスカといることがばれたら ... !)
しかし、そう思った時にはもう遅かった。
「あれ、フウちゃん、そこのいるのはだぁれ?」
(見られた~!!まぁでも、すぐには人間だって気づかないでしょ。)
「もしかして、人間?」
「な、なんでわかったの?」
「やっぱり人間なの?フウちゃん、焦ってたから、もしかしてとは思ったけど ... 。」
「ソラ、お願い!このことは誰にも言わないで!!」
フウはソラに頼み込んだ。
「 ... 」
(やっぱだめか ... 。)
と思った時、ソラがいいよ、と言った。
フウは思わずえっ、と言ってソラを見た。
ソラは
「私はフウちゃんの味方だっていたでしょ。」
と言って笑った。
「ありがとう。」
フウがソラにアスカを紹介しようとしたとき、父の声が聞こえた。
(父様には絶対にばれたらダメだ!)
フウはアスカに、
「理由は明日話すから、今日は早く帰ってくれない?」
と言った。
アスカは戸惑っていたようだったが、うなずいてその場から立ち去った。
フウはそれを見届けたあと、ソラとともに父の声がする方へ走っていった。
「あそこで何をしていたんだ?」
(言うわけないでしょ。)
「別に ... 。」
「はっきりと答えなさい!」
「 ... 。」
フウがずっと黙っていると父は諦めたのか、ため息をついてどこかに行ってしまった。
(危なかった~!)
しかし、明日も、そしてこれからもアスカと会うかぎり、誰にもばれないようにするのは難しいだろう。
(何か対策を考えないと。)
その日の晩、祖母がフウの部屋を訪ねてきた。
「人間に会ったのかい。」
「 ... 。」
「まぁ、答えなくてもいい。人間に会って無事で済んだなら、」
「人間は言い伝えみたいな怖い人たちじゃなかったよ!!」
フウは祖母が言おうとしたことを最後まで聞かずにそう言った。
「ねぇ、怖くない人だったんだからこれからも会っていいでしょ?」
「 ... まぁ、その人間となら会っていいよ。」
「やったぁ!」
フウが思わず喜んだ時、ただし、と祖母がいった。
「その人間とは私がいるところで会うこと。人間の世界で会うことは絶対に許さないよ。」
「 ... どうして?」
フウが聞くとしばらく祖母は黙っていたが、こう言った。
「少し、ソウの昔の話をしよう。」
「父様の?」
「あぁ、 ... 今はお前が人間の世界に行こうとするのを怒っているけどね、昔、ソウも人間の世界に、親友とともに二人だけで行ったことがあるんだよ。」