012. 「 ... いってらっしゃい。」
今日はついに人間の世界に行く日。
フウはソラから借りたイヤリングをつけて、村を出る支度をしていた。
「う~ん、この本たちはどうしよう ... 。」
(せっかくライがくれたけど、全部は持っていけないしな ... 。)
そしてふと、「ブラックロード」のページことを思い出した。
そこにはこう書かれていた。
"ブラックロードとは、稀に現れる、人間の世界への抜け道である。その実態は不明で、人間が魔力を使用して作っているとも考えられている。人間の世界と行き来する方法はこれ以外存在しない。 ... "
(もし、父様が見た女の子がアスカが言っていた子なら、その子のブラックロードの中にコウキさんの手がかりがあるかもしれない ... !)
フウはブラックロードについて書かれていた本と「精霊力と魔力について」の二冊をかばんに入れた。
部屋を出ると、部屋の外にはライがいた。
「お姉様 ... ?どこかへ行かれるのですか?」
「ラ、ライ ... 」
(どうしよう、変に嘘ついても逆に怪しまれるだけだし ... 。)
「ライ、今から言うことは絶対に誰にも言わないでね。私は今から遠いところに行くの。しばらくの間は帰ってこれないと思う。もしもの時はソラと連絡できるようにしてあるから安心して。父様や母様たちのことをよろしくね。」
(まぁ、問い遠いところっていうのは嘘ではないし ... )
「お姉様 ... 。もしかして、人間の世界に行かれるのですか ... ?」
泣きそうになりながら尋ねるライを見て、フウは笑って答えた。
「ライは本当に頭がいいねぇ。これなら私がいなくても安心だよ。大丈夫、死ぬ訳じゃないから。」
「そんな、絶対に生きて帰ってきてくださいね。」
「うん、約束!」
フウが家を出ると、父が立っていた。
「やっぱり、出てきたか ... 。」
「と、父様 ... 。どうして ... 」
「私が気づいていないとでも思っていたのか。ここ最近、様子がおかしかったから、もしかしたらとは思ったが ... 」
「 ... 別にいいでしょ、死ぬ訳じゃないんだし。」
「死なないかなんてわからないだろ!!」
「じゃあ、死ぬかもわからないでしょ!!それに、父様になんて言われようと諦める気はないからっ!」
(風よ ... !)
そして、風の"力"で父の気をそらした瞬間、フウは羽で飛び上がり、森に一直線に向かっていった。
(ごめんなさい、父様。)
その時、ため息をついて父が言った。
「 ... いってらっしゃい。」
「 ... !」
フウは涙がこぼれ落ちそうになるのをこらえて言った。
「 ... いってきます ... !」
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