番外編2 過去の夢
「あれ、ここは ... ?」
私、ソラは思わず、そう口にしていた。
(さっきまで、フウちゃんと森を歩いてたはずなのに ... 。)
そのとき、
「あ、ソラちゃんだ ... 。」
「ホントだ ... 。あっち行こ~。」
と、こちらに歩いてきていた精霊たちはソラをなかば、さけるようにして去っていった。
( ... まさか、)
その反応を見て、ソラは一つの仮説にたどり着き、急いで家に帰った。
鏡で自分の姿を見たとき、ソラは確信した。
(やっぱり ... !)
「昔の姿に戻ってる ... !」
ソラは昔、周りの精霊たちから、あまり、いい顔をされなかった。
原因は、ソラの力にある。
空の"力"は希少ゆえに、悪用されやすいため、詳細を他人に話さないようにしていた。
しかし、空の"力"の詳細を知る者が少ないために、周囲は気味悪がった。
「ソラちゃん、また変なこと言ってたよ。」
「"力"なのかは知らないけど、全部見透かされているようで気味が悪いよ。」
「あんまり、あの子と関わっちゃだめよ。」
いろんな憶測が飛びかい、ソラの周りから、精霊たちはだんだん離れていった。
(まだ幼かった私には毎日が辛かった ... 。)
辛いことがあったとき、ソラは森に行っていた。
動物たちと過ごすのがとても楽しかった。
(そんな毎日を変えてくれたのがフウちゃんだった。)
いつものように、森にやって来ていたある日、森で花冠をつくっているフウに出会った。
ソラはすぐにその場を離れようとすると、
「あなたも一緒にやらない?」
と、フウが言った。
ソラはその頃、フウのことを「数回会ったことのある親戚」くらいにしか思っていなかった。
しかし、ソラはフウと喋るうちに、もっとフウのことを知りたいと思った。
「そういえば、フウちゃんの"力"は何なの?」
「私?私は風の"力"なの。 ... そういえば、ソラは空の"力"なんだっけ?」
「あ、うん ... 。」
(やっぱり、言わないほうがよかったかな ... 。フウちゃんはこの力のことをどう思ってるんだろう ... 。)
「空の"力"って、良いな~。」
「 ... え?」
「風の"力"持ってる精霊なんてたくさんいるんだよ?それに比べて空の"力"持ってる精霊なんてほぼいないでしょ。頑張れば、歴史に名を残せるかもしれないじゃん!」
「 ... 」
驚いている私を見て、フウは言った。
「 ... ソラの能力のことでいろいろ嫌なこと言ってくる精霊はソラの能力を羨ましがってるだけなんだよ。だから、いろいろ言ってくるやつらのことは無視しちゃっていいんだよ。」
その言葉は私の薄暗い心を明るく照らしてくれた。
「それに、ソラのことは私が守ってあげる!私たち、友達でしょ!」
「友達 ... !」
(そんなふうに言われるのは初めてだ ... !)
「はい、これ。」
と、フウは私にカスミソウの花冠を手渡した。
「友達になった記念に!」
(この花冠、大切にしよう ... !"私の人生が変わった記念"に。)
その日から、私はフウとずっと一緒だった。
そして、私がいじめられるたびにフウは、
「ソラが羨ましいだけでしょ。そんなに羨ましいならはっきり言いなよ。そんなんじゃ、気持ちは伝わらないんだよ!」
と、言ってくれた。
そしてそのうち、私と他の精霊たちとの壁は消えた。
(フウちゃんのおかげで私自身も変わったんだ。)
「 ... 、 ... ラ、 ... ソラ!」
(フウちゃんの声 ... ?)
「ん ... 、ここは ... ?」
「あ、起きた!もう、ソラってば、急に寝ちゃうからびっくりしたよ!」
「ごめん、ごめん。」
(夢、だったんだ ... 。懐かしいなぁ。)
「ソラ、聞いてる? ... もう、明日は絶対に一緒に遊ぶんだからね!」
「わかってるって!」
と、私はフウと笑いあった。
そんな二人を、今日もカスミソウは風に揺られながら空の下で見ているのだった。
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さて、次回からは本編に戻ります。
犯人はいったい誰なのか。その動機は…?
お楽しみに!