サクラが始まった季節
少し肌寒いけど、あたたかさも感じることがでるようになってきた
冬のままでも、それでもいいと思っていたけど時間は過ぎていく
これから始まるであろう、新たな機会や出会いはあるかもしれない
それらは、何かを変えてくれることはないと、もう分かっている
新しい季節に、何かを期待することは無駄であると、今までの人生から悟ってしまった
期待することは、多分これからも無い
今まで一緒だったクラスメイトとは、これからも仲が良いまま一緒にいたかったし
別々の高校とか、大学にいくのも、本当は嫌だった
レベルに合ったところにいくのは、選択したのは良いことだったのか
進められるまま選択してしまったけど、本当のところは自分のレベルなんてどうでもよかった
自分が楽しいと思える人と一緒にいられれば、それでよくない?
それでよかったはずなんだよ
今、停滞しているのが悪いこと?
周りの期待にいつも応えることができる、そんなにできる人間じゃないよ
だからさ、誰かにすがりたかったのに
もっと、本音を受け止めてくれる人を必要としていたのに
このまま生きていて、楽しいことってあるのかな
最近はもう、タバコを吸う時くらいしか、楽しくないって思える
誰かに自分の人間性を決めつけられるのは、なんだか虚しい
ふと、黄昏れた目に映ったのは、なんか陰気臭く不愛想な学生だった
こちらを見るなり、バツが悪そうな反応をしていたから、もう戻るとするか……
この屋上には誰もいないと思ってきたのか
ごめん、一人の空間を奪ってしまったか
きっと、自分と同じように黄昏たりゆっくりしたいのだろうし、関わり合いたくないだろうからもう戻るよ
ゆっくりしなよ
「あの……」
気のせいだと思って去ろうとしてしまった
だって、何も面識がない、そんな人に急に話しかけられたから、
「あの……聞いてください」
さらに大きな声をかけられたので、振り向く
あきらかに私に声をかけてきている
きっと、ここが分岐点だったのだろう
彼にとっても、私にとっても
「僕を助けると思って、話を聞いてくれませんか?」
やっと見つけた
見つけることができた、このために戻ってきたのだから