ロボット娘が犯人の可能性は?
「犯行推定時刻はおよそ2時間前……、つまり朝の6時頃ということロボ?」
「ああ、その時間、貴様は何をしていた?」
「ロ、ロボボボボ……、ロボを疑っているロボ!?
ロボはただの『使用人ロボ』ロボ! 信じて欲しいロボ!!」
そういうつもりではなかったのだが……。コボルトは鼻であしらいながら続けた。
「事件の捜査のために必要な確認だ。
もしかしたら貴様の持つマスターキーを何者かが盗んで使用したのかもしれんしな」
「……その時間は城内の掃除をしていたロボ」
「それを証明できる者は?」
「途中、廊下でウィッチ様、ゴーレム様、デュラハン様、ハーピー様とすれ違ったロボ」
そこまで聞いてリザードマンが口を挟んだ。
「つまり、そいつらにもアリバイがあるってことか?」
「さあ……、ほんの少し挨拶をしただけですので。
ただ、ハーピー様は小腹が空いたとおっしゃられていたので、先に彼女の部屋に軽食を運ばせていただいたロボ」
「皆の朝食の準備をする前に、ということか……」
この証言が事実であるかどうかは、他のモンスターたちに確認すればすぐに分かることだろう。
いずれにせよロボット娘の行動に不自然な点はないようだ。少なくともコボルトはそう考えた。
「それに、ロボの目を盗んでマスターキーを使用することは不可能だと思うロボ」
リザードマンが不審そうな表情でその理由を訊ねる。
「不可能? どういうことだよ?」
すると次の瞬間、ロボット娘の腹部が扉のように開いた。
そして、すぐにマスターキーはその中に保管されていることが分かった。
「ロボはいつもこの中にマスターキーをしまっているロボ。
ロボが取り出そうとしない限り、この扉は開かないロボ」
「な、なるほどな……」と、コボルトは感心したような呆れたような声を漏らした。
「けどよぉ、クローンみたいなロボが目撃されたんだとすれば、こいつにも犯行が可能だったんじゃねえか?」
「……却下だ。今のところはな」