表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/24

魔術師イーレット

メリーは災難な日を偶然引いてしまったみたいだ。今メリーは途方に暮れている途中である。

(終わったー)

(初めからやらかして大丈夫だったかな、私)

メリーが机でがっかりしている途中、少し大人びた少女が話しかけてきた。

「もしかしてメリーさん?」

「そうです」

「さっきの魔法ってまさかネヨちゃんの?」

ほんの1時間も経たない内に聞いた名前をこんなに早く聞くとは思わなかった彼女はネヨの異質さを痛感した。

「ネヨちゃんを知ってるの?」

「うん。ネヨちゃんの魔法ってちょっと特殊だよね。ちょっとどころじゃないのかもしれないけど」

「変なのは魔法だけじゃなくて、」

「でしょ。ネヨちゃんって変なのがスタンダードなのよ。いつも笑わせてくるから面白いのよ」

「さっきもオークの佃煮食べたのよね。味はおいしかったよ」

「メリー!」

頭の中にネヨの声が響き、メリーは意識を頭に集中した。

「どうしたの?」

「探偵団の秘密、ちゃんと守って」

秘密保持の重要性を説くネヨは仲間のメリーであっても掟破りを許さないのであった。

「なんかネヨちゃんのこと知ってるみたいだけど」

メリーも守っているつもりだったのだが、ネヨに指摘されたのでやぶっていたようだ。

「守って!」

「わかったちゃんと守るよ」

ミズがメリーの眼前に近づいていたのに気づいたメリー。

「何でもないよ。それよりネヨちゃんかわいいよね」

「そうよね!」

「ネヨちゃん?」

「私のことかわいいとかいうな」

「気にしてるの?」

「してない。探偵団の約束、仲間の詮索はしないこと」

「それ本気だったのね」

ネヨの探偵団は秘密保持も大事であり、秘密の共有も大事だ。

「この探偵団のモットー、秘密を守ること」

「わかったわ、メリー」

ネヨからの強い要請に断るわけにはいかなかったメリー。

「気を付けてよね」

「任せて!」

「ちょっと気になったんだけど、さっきからずっと窓の方見てるよね。何してるの?」

ミズはメリーの不審な様子に気づいてしまった。

「なんでもないなんでもない。ちょっとした趣味だよ!」

(ああーバレたら絶対面倒だ。ネヨちゃんに叱られる)

(ここはどうにかごまかさないと)

ここでメリーにある悪知恵が働いた。

「ああー!!」

「窓の向こうにUFOが見えてね。気になったの」

「へえー」

(どうだ!)

「いや全然見えないけど」

あまりにも幼稚な嘘に騙されるミズではなかった。

(やっぱりだめかー!!)

(どうするどうする。このままでは)

「もしかしてメリーさんネヨちゃんとテレパシーで会話してた?」

(ばれた!?)

「やっぱり。ネヨちゃんいつも気になった人に声かけてるの。ちょっと気になってついて行ったとき、ネヨちゃんがテレパシーを使っていたところを目撃して」

「会話の内容で探偵団で私と一緒に謎を解決しようとか言ってたっけ。とにかく私面白そうと思って彼女に探偵団に入れてって懇願したけど相手にされなかったの」

「そうなんだ」

ミズのマシンガントークは止まらない。

「聞いて聞いて。それで彼女が気になった人にところどころ話しかけていたんだけど、探偵団に入ってくれる人がなかなか見つからなくて。それで私が立候補したのも理由の一つなんだけど」

「へえー。そんな過去が」

「彼女の探偵団に入りたかったなー。私彼女のこととても気になるんだ」

「だったら私がお願いしてみるよ」

「ほんと?」

ミズは笑みを浮かべながらメリーの方を向いた。

「任せて!」

「そろそろ次の講義が始まるね。私7-3教室だから」

7-3教室はメリーの次受講する教室だ。

「わかった。連絡待ってる」

ミズは有難そうに連絡先を交換し自席に戻った。

(どうにかして探偵団にあの人を入れてもらわなくちゃ。面白くなってきたー!!)

メリーは心躍るような気持ちで校舎を歩いた。絶頂の気分だった。

「ガラッ」

(うっいびつな雰囲気)

(この物々しい感じ何?)

(何か厳格な式場みたいな雰囲気)

教室のドアを開けると前の教室とは全く違う雰囲気を醸し出していた。

(ちょっと何の授業か聞いてみるか)

「あの?」

メリーはその教室にいる学生に話を聞いた。

「はい」

「次の授業ってわかりますか?」

その学生は応えてくれた。

「はい。イーレット教授の魔術基本講座です」

「ありがとうございます」

(はー。あのイーレットさんの授業って厳しいのかな)

数分待ち続けると学生のような人が教師らしき態度で入ってきた。

「ガラッ」

彼女が入ってきて数分が経つが、これまでの物々しい雰囲気が一瞬で中和されたようだった。

「シーン.......」

「ん?」

その学生らしき教師のような者が漏らした声がこれだった。

「ちょっとみなさーん。授業始めますよー」

「シーン......」

「ねえちょっと―。私が担当だよねー。ちょっとー」

「あの人イーレットさん?」

新入生にとっては魔術師イーレットに会うのは初めてである。

「ちょっとかわいいんだけど」

「でも百聞は一見に如かずだぞ。とりあえず授業受けてみようぜ」

噂を聞くだけで一度も会っていなかった学生は、その教師の外見を見て衝撃を受けた。

「教室あってたかな」

「うーん」

「やっぱりあってるな、7-3教室」

「はーい。皆さん講義始めますよー」

教師あるまじき外見と仕草に心を動かされたものは男だけではなかった。

「かわいい」

「かわいい」

「案外かわいいなあの先生」

「ほんとにあの天才魔術師イーレットか?」

「皆さん始めますよ。着席してください」

イーレットの注意を嬉しそうに聞く学生ら。

「はーい!」

(何?厳格な雰囲気だったのに急に朗らかな雰囲気に一変したんだけど)

「コッコッコッ」

「カッカッカッ」

黒板に懸命に何かを書くイーレット。

「イーレットさんのあの筆運び、最高だぜー」

「彼氏いるのかな。講義終わりにちょっと聞いてみようぜ」

男性陣の中にはイーレットから目を奪われた者も大勢いた。

「ちょっとそこー静かに!」

イーレットの優しい注意は室内の者全員を安心させた。

「改めまして、ようこそマキュール魔術学校へ。そして、おめでとう。この学校は数多の魔術師志望者が定員数600を競い、あなたたちはその600名に選ばれたわけです」

「マキュール魔術学校は、カルバーテルの最高権威であり、世界に誇る魔術学校です」

「世界に誇るべき学校であるがために、講義は決して簡単ではありません。そう簡単には単位は差し上げないつもりです」

「もちろん、この学校の講師の中では簡単に単位を与える者もいらっしゃるようですが、私はそうではありません」

「しびれるー」

「さすがイーレットさん」

「ふっさすがイーレットだぜ」

男性陣の明らかな舐めた態度はイーレットを怒らせてしまった。

「私語は慎みなさい」

口調が完全に切り替わっていく。

「出て行ってください」

容赦のない勧告に室内の雰囲気はどんよりと変容した。

「え?」

「ほら早く。あなたたちに私を侮辱するほどの力はないでしょう。早く」

「くっ」

イーレットが厳しい教師である評判はあながち間違ってはいない。

「なんで俺たちが・・」

その様子を遠くから見ていた学生は、イーレットの恐ろしさを再認識した。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ