アルダティアワールド編
初めまして、入れ為替派と申します。
まず初めに私の物語を開いていただきありがとうございます。
まだまだ至らないところばかりで楽しんでいただくことが出来ないかもしれませんが。
良ければ、楽しんで読んでいただきたいです。
凹凸の激しい岩がむき出しになった通路に一つの足音が響き渡る。
あたりは薄暗く、鼻をツンと刺激するよな匂いがあたりを包み込んでいた。
(クソッ、あと十三分か、間に合ってくれ!)
そう焦る彼の肩からは大きな鎌が下げられていた。
なびくコート、擦れあう武器とアイテム。
彼の向かう先には金で装飾された紺色の門が道をふさいでいた。
「あと、二十分か、さぁ行こうか、ラストバトルだ!」
彼の声とともに門は開かれその先には広大なステージと二十メートルを優に超える、最上位フロアボス。
彼の足は一直線にボスのもとへと進んでいく。
片手には彼の伸長と同じくらいの黒鎌。
そして目の前には首が六つに分かれた竜。
最上位フロアボスの名にふさわしいその風貌に彼は臆することなく進みつづけた。
「ロジックスキル、黒霧!」
その瞬間彼の周りにブワッと一気に黒色の霧が広がった。
(最初は目くらましだ、行動がわからなきゃ攻撃のタイミングがつかめない!)
しかし彼の常識はこの竜には通用しなかった。
気が付いた時には霧は晴れていて、フルだったHPもたった一回の攻撃で瀕死の状態へと変わっていた。
「かはっ」
片手はもげ、もう鎌すら持つことができなくなっていた。
(上級ポーションでもフル回復には十数秒はかかる......)
「クソッッ!」
瀕死の彼を煽るかのように七色に光る口をチラチラと動かしていた。
(ここまでかっ、ここまでなのか!)
「はああああああああ!」
彼があきらめかけたとき。
彼女は現れた。
細身の体に似合わない片手剣。
しかしその剣技には確かな実力が備わっている。
「ロジックスキル、聖門吹雪!」
「ダメだ!そのスキルじゃ、目くらましはできない!」
彼女がスキルを発動する前に彼はそう叫んだ。
彼女はちらりと彼を見ると、こう答えた。
「立ちなさい、共闘するしかないわ、あと3分で倒しきるわよ!」
「あぁ、やってやろうぜ!」
両サイドから竜を囲みこむように走り向ける。
(首が六つ、それぞれ色が違うということはそれぞれ違うタイプの攻撃をしてくる)
彼女のほうには赤色と水色それから白色の首。
(俺のほうには緑と黄色と黒か)
「ロジックスキル、黒点光!」
その瞬間竜のクリティカルポイント本体にが表示される。
「ナイス!」
その声に彼女のほうを見ると水属性の攻撃と炎属性の攻撃が彼女を包み込んでいた。
(嘘だろ?!)
しかしその攻撃の中に一点の光が見えた。
「ジャミングスキル、白獄炎!」
すると竜を囲むように白色に輝く鳥かごが生成された。
「いまよ!!」
「「コンバイン!アクティブスキル!」」
「黒華燭白虎」
「聖白奇光竜」
彼が呼び出したした漆黒の虎と、彼女が呼び出した純白の竜が、ボスの首を引き裂いた。
虎と竜は空中で重なり合うとそのまま消失した。
「ウェポンスキル、白剣十神」
彼女のが眩い白色の光に覆われていく。
「はああああああああ!」
彼女の剣が竜本体にダメージを与えていく。
縦、横、斜めとその斬撃の速さは常人が目で見て追えるものではなかった。
「すげえな」
彼もまた鎌を構え手を添えた。
「ウェポンスキル、獄獄炎撃」
彼の鎌からは、ゆらゆらと黒色の炎が立ち始める。
鎌を一度振ると黒色の斬撃が遠距離から放たれた。
斬撃が竜に当たるとたちまち炎は燃え上がり竜の傷口に再生不可のデバフを付与えた。
「とどめだ!行くぞ!」
六つあった首はあと一つ。
(残り十三)
「「まにあええええええええええええええ!」」
彼らの攻撃が最後の首へと伸びる。
直後大きな音とともにその巨体は言えてなくなった。
ステータス画面に討伐報酬と経験値が表示される。
彼らは顔を合わせると笑いあった。
「まもなくクローズドβテストが終了します、サーバー内に残っているプレイヤーは20分以内にログアウトを実行してください。」
無機質声のなアナウンスがサーバー内に響き渡る。
「ありがとう、君のおかげでボスを倒すことができた」
「こちらこそ、一人じゃ倒せたかどうかわからなかったわ、ありがとう」
そう手を差し出すと彼女も手を差し出してきた。
「ゲームクリアか、短かったな随分と」
「βテストだもの当り前よ」
「それもそうだな」
「それじゃあ、いい経験になったよ」
「ええ、あの......」
彼女は若干戸惑いながらも彼を引き留めた。
「ん?どうしたんだ?」
「名前教えてくれない?」
「あぁ、名前か、んんっ」
彼の咳払いに彼女はフッと笑った。
「俺の名前はReiだよ」
「Rei、ね覚えておくわ」
「そっちは?」
「Imariよ、もっと一緒にやりたかったわあなたと」
「Imariかいい名前だな覚えておくよ、次に会えるなら正式リリースの時だな」
そう言う彼の眼はどこか遠くを見つめている。
「そうね、じゃぁ、またねレイ君」
彼女はそう微笑んで小さく手を振る。
その姿は彼の眼に強く焼き付いた。
「あぁ、またなイマリ」
そう手を振り返すと彼女は小さな光の粒と一緒に消えていった。
「じゃあまたな、アルダティアワールド、また逢う日まで。」
そういって彼の消えていったこの世界、アルダティアワールドからプレイヤーは去っていった。
最後まで読んでくださりありがとうございました。
良ければ評価、コメント等残していただけると幸いです。
ぜひまた見に来てください。