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ワールズダスト ~砂の海と星屑の記憶~  作者: Hekuto


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第26話

 修正等完了しましたので投稿します。楽しんでいってね。





 宿で夕食だけ摂ったユウヒが、妙に給仕のサービスが良くなったことに苦笑を漏らした次の日、夜のうちから乗り物制作に入ったユウヒがいるはずの倉庫前では、小柄な人影が二つ蠢いていた。


「むぅ何故だ、何故見えない」


「おかしいっす。少しぐらい隙間があっても良いはずっす!」


 その影はオーヤンとカリナンの二人、意気消沈していた二人は正気を取り戻したのか、必死にユウヒが籠る倉庫の中を覗こうと足掻いている。この二人の状況を見て正気と言う言葉を使うのもどうかと思うが、未知の機械を前にした砂の海のドワーフはだいたいこんなものなのだ。


「くそ、こりゃ魔法だなきっと! これだから魔法使いは」


「魔法使いわっす!」


 しかし残念なことに覗き見防止にユウヒが魔法を倉庫に張り巡らせているらしく、どんなに足掻こうと外から中の様子を見る事は叶わず、どこかの貴族の密偵が言っていた通り音一つ外に漏れない。そんな魔法を使える魔法士など存在せず、出来る者と言えば魔女か魔法使いとなれば彼らにも誰が何をしたのかすぐにわかると言うもの。


「ハンマーシャグラみたいにこんがり感電されないだけありがたく思いなよ」


「「うひゃお!?」」


 ユウヒに対して悪態を吐く二人であったが、本人の声が目の前から聞こえると、あまりの驚きに飛び上がり奇声を洩らしてしまう。


「まったく、そんなんじゃ立派な密偵にはなれないよ?」


 先ほどまで覗いていた扉の隙間を開けて顔を出したユウヒは、扉を開けても黒い壁しか見えない空間から明るい外に出ると呆れた様に呟く。


「わしゃ機械工じゃい!」


「見習いっす! 密偵とかならないっす!」


 驚き飛び上がり尻餅を付いた二人は、腰でも抜けたのかそのままの態勢で語気を強くして叫ぶ。


「じゃあ今やってるのは何なのさ」


「これは未知への探求心がじゃな?」


「技術はぬ、盗むものっす!」


 密偵ではなく機械工だとは言うが今現在二人がやっている事はスパイも同然であり、自分たちも良くわかっているのかオーヤンもカリナンも語気が弱く声も震えており、ユウヒのジト目から逃げるように視線を彷徨わせている。どうやら罪悪感が無いわけでは無いようだ。


「窃盗犯には慈悲はいらないと思うんだけど、どう思う?」


「うちはユウヒを食事に誘おうと思っただけっす!」


 しかし、彼らの感情は罪悪感より恐怖心の方が強いようで、笑みを浮かべるユウヒの周囲で紫電が飛ぶとオーヤンは息を飲み、カリナンは一転して食事に誘うためにやって来たのだと声と一緒に手を上げる。そんなカリナンに裏切り者を見るような目をしているオーヤンであるが、彼女の言葉にユウヒは目を瞬かせると空を見上げた。


「ん? もう昼か」


「閉め切っておるから時間の感覚がなくなるんじゃ」


 どうやらユウヒは時間の感覚がおかしくなっていた様で、空に高く上った太陽を見上げ惚けた声を洩らす彼に、オーヤンは呆れた様に呟く。日の照り付ける地上を避けて地下生活を行う事が多いドワーフであるが、その生活は意外にも太陽を中心に動いている様だ。


「密偵が多いからな、中は見せられないよ? 入ったらビリっとするからね」


「うへぇ……」


「うぅむ……」


 一方で、太陽の光など関係なく働き続ける社畜であったユウヒは、外の光が入ってこないほど閉め切った倉庫内でも気にせず活動できる。しかしその活動理由は倉庫の中を探ろうとする目を気にしてのものだ。彼自身の勘、魔法、精霊の目により倉庫を取り巻く監視の目は看破され、集中を妨害するそれらの排除にユウヒは容赦しないつもりのようだ。





 それから十数分後、倉庫の中を片付け施錠して結界を張ったユウヒは、カリナンに連れられランチの提供をしている酒場にやって来ていた。


「ほう、バイクと言うのか」


「普通のバイクとは違うけどな」


 濃い味付けの魚料理と少し濁りのあるブランの並ぶ丸テーブルを囲む三人の話題は、ユウヒが現在作っている乗り物についてである。どうやらユウヒは現在バイクを製作しているらしく、その説明を受けたオーヤンは眉を上げるように笑みを浮かべ、ユウヒはスクーターを思い浮かべながらそれとは少し違うと言って魚の身を口に運ぶ。


「そんな車輪で走れるものっすか?」


 一方で二輪車の構造を説明されたカリナンは、まったく動く姿が想像できないらしく疑問を口にして緑木のジョッキに入ったブランを飲み干す。


「いや、遺物にもあるから無理では無かろう」


「あるんすか」


 砂の海の乗り物と言えば馬車が一般的であり、そのどれもが車輪は四つ以上ある。砂地や岩場が多い関係上どうしても安定性優先で車輪が増えるようだ。しかし遺物の中にはバイクの様な二輪車が存在するらしく、緑木のジョッキを大きく頭の上で振るオーヤンの言葉に、同じくジョッキを振るカリナンは少し驚いた表情を浮かべる。


「うむ、ただ安全性からまだ一般には出て来とらんがな」


「それじゃその遺物並みの乗り物がもう少しで見れるんすね? 見せてくれるんすよね?」


 しかしそれは一般にはまだ普及していない遺物であるらしく、オーヤンは訝しむ様にユウヒをジト目で見詰め、ドワーフでもまだ見るのが難しいと言う乗り物にカリナンは目を輝かせ身を乗り出しユウヒを見詰め、その姿にユウヒは苦笑を漏らす。


「完成したらな」


 ユウヒの返事にパッと笑みを輝かせるカリナンは、店員が持ってきたブランを受け取ると勢いよく飲み始め、その姿に肩を竦める店員の獣人女性にユウヒは店内を見回す。


「しかしギルド預かりのアレは怪我人が何人も出るじゃじゃ馬だと聞いたがの?」


「アレがどれなのか知らないけど、ちゃんと練習したら乗れると思うけどな」


 ユウヒと同じような見た目の人が領主であるサルベリスであるが意外と獣人の姿も多く、そんな中で目立つドワーフの二人に、彼は地域による種族の分布が気になる様子だ。


 しかし目の前の二人にはそんな事よりバイクの方が気になるらしく、怪我人を多数出していると言うドワーフの遺物の話しをするオーヤンに、ユウヒは首を傾げるとバイクはそんなに難しい乗り物じゃないと言って水の入った緑木のジョッキを持ち上げる。


「まぁそれはそうなんじゃろうが、やっぱり心配だ。心配だからわしが監督をだな」


「いらね」


 こっそり精霊にお願いしてジョッキに冷水を満たしてもらっているユウヒは、ニヤニヤとした笑みを浮かべながらじわじわと身を乗り出してくるオーヤンを一蹴すると、冷たく冷えた水を飲みながら頭の上に座る水の精霊にお礼の念を送った。


「専門家の視点は大事じゃぞ!?」


 素気無く拒否するユウヒに目を見開くオーヤンは、木製の丸テーブルを拳で軽く叩きながら声を荒げるも、


「あんまりしつこいとまた精霊に嫌われるぞ?」


「むぅ!?」


 ユウヒの言葉に思わず仰け反り呻き声を洩らす。事実ユウヒの頭の上に座る水の精霊は、少し不機嫌そうな雰囲気でオーヤンを注視している。


「え? 今うちらマシになってる感じっすか?」


 一方、ブランを飲んでいたカリナンは驚いた表情でジョッキから口を離すと、勢いよくユウヒに目を向け以前から少しは印象が変わっているのかと、期待と不安が混ざった声で問いかけた。


「……少しな」


<……?>


「ぐ、ぬぬ……」


 カリナンの声は精霊にも聞こえており、周囲に集まっていた精霊達はユウヒの視線に気が付くと少しだけと言った雰囲気の念を返し、その言葉を代弁するとオーヤンは丸テーブルを叩いた手を震わせながら引っ込めていく。どうやら彼も魔法に興味がないわけでは無いようだ。


「やっぱお酒の時に叩くの止めたのが大きいっすかね」


 唸るオーヤンなど目に入っていないカリナンは嬉しそうに笑いジョッキを抱きしめる。彼女達はユウヒから聞いた精霊の言葉を信じてお酒を飲む時に金属を叩くのを止めたようで、その効果が出ていると笑みを浮かべるカリナンであるが、ユウヒは宙に目を向けると苦笑いを浮かべた。


「ん? んーそれは論外だって」


「ろん、がい……」


 どうやらお酒を飲む時に金属を打ち鳴らすのは論外であり、それを止めたからと言って魔法が使えるほど精霊に好かれるようになるかと言うと、ユウヒの表情を見る限り難しそうだ。





 論外発言で意気消沈したドワーフ二人が、次なる精霊に好かれる計画を立て始めた酒場を後にしたユウヒは、細い縄で縛った魚のジャーキー片手に組合の倉庫に戻っていた。


「よしよし、今回は無段階変速だけど上手く行ってるな」


 裂いてそのまま食べられると店員に説明された魚のジャーキーを細く切って口に咥えたユウヒは、床に座り、バイクのハンドルであろう部品を捻り聴こえてくる回転音に満足そうな表情を浮かべると、今度は回転音を一定にしたまま鉛筆ほどの太さの茶色いチューブを手に取り引っ張ったり曲げたりを繰り返す。


「うるさくないか?」


 しばらくアクセルなのであろうハンドルを捻ったり、茶色い繊維のチューブを捻じったりといった動作を繰り返していたユウヒであるが、チューブの耐久性が悪かったのか罅割れた瞬間、青い燐光が勢いよく弾け、驚いた表情で固まると宙に目を向ける。


<……!>


 魔力の青い燐光が洩れるチューブを持ったユウヒの周りに、精霊達が驚きと心配の感情を振りまき集まって来ると、苦笑いを浮かべるユウヒの姿にほっと息を吐いているように瞬く。


「あ、金属を打ち鳴らすのが嫌なのね」


 魔力が弾けた瞬間、耳が痛くなるほどの大きな爆発音が鳴り、よく考えると回転盤の音など割とうるさい環境であったが、精霊達はあまりその音を気にしてない様だ。


「あぁ、争いの音に聞こえるのか」


 彼女達から聞こえてくる声なき意思によると、ドワーフの鉄を打ち鳴らす音が嫌いなのは、剣や盾で殴り合う争いの音のようで嫌いらしい。


「それはまぁやだねぇ……」


 お酒を飲んでいる時じゃなくても、近くで戦争でもしてそうな騒音が聞こえるのは嫌なものである。それが毎日毎晩聴こえてくるのなら精霊じゃなくても寄り付かないであろうと、若干どんな音なのか気になるユウヒは目の前の光る玉の様な精霊を指先で撫でた。


「こっちは、良い感じにドロドロだ」


 撫でられて震える精霊に笑みを浮かべたユウヒは、床に手を着き立ち上がると、腰を伸ばす様にストレッチをしながら大きな樽に近付き、中を覗き込むと満足そうな笑みを浮かべる。


「緑が少し濃くくすんだけど良い感じにできると良いな」


 ユウヒの腰より少し高い樽の中には、ドロドロとした濃い緑色の液体が渦巻いており、少しくすんだ緑の液体は光沢のある液面にユウヒの顔を歪めて映していた。


「え? あぁこれ、これは人がもっと乗れるようにするオプションだよ」


 近くに置いてある掻き混ぜ棒を手に取るユウヒに、周囲の精霊は何か気になるものでもあるのか視界を塞ぐように集まり、キョトンとした表情を浮かべるユウヒの視線をすでに半分以上出来上がった何かに誘導する。


 そこに置いてあるのは黒い金属で作られたサイドカー、折り畳み式で座席を完全に密閉できるようにも作られているのか、多重に重なる装甲からは鎧のような印象も感じ、色も相まって見る人に畏怖の感情を与えそうだ。


「いや? 今回は一人だよ、誰かと行く予定はないな」


<……?>


「今のところ使用用途は荷物載せかな……そうか、乗せるとか運転させるって言ってたから」


 ユウヒの予定を知っている精霊達は、誰か一緒に行くのかと考えたようだが、ユウヒは荷物を載せる場所を確保しただけである。しかしそう説明したユウヒは、チルたちと交わした約束を思い出して難しい表情を浮かべた。


「ふむ、余剰の材料で何か作ってあげるか」


 荷運び一号であれば操作は簡単なので好き勝手に運転させても良いと思っていたが、バイクが一般的ではない世界で二輪車をいきなり運転させるのはそれこそ怪我をさせかねない。一緒に乗せても良いのだが、彼の思い浮べた面々は絶対に自分で動かしたがるだろうと小さく笑みを浮かべる。


「最近あれが流行ってるよね、作ってみようかな」


 どうせなら似たようなものが良いだろうと、思い浮かんだものを合成魔法でとりあえず形にしていく。


「フレームはこうで、動力はここに、自爆装置も付けるとして」


 魔法の力で浮かび上がる金属の板や切れ端、木材や石や鉱石、それらは膨大な魔力の渦にのまれると形を忘れた様に柔らかく溶け、粘土のように形を変えて次々とユウヒの思い浮べたパーツへと形を変えて行く。


「速さは、ちょっと速い程度で良いか」


 材質自体は変わらないものの、形を変えた材料は綺麗な部品となり組み合う。慣れた手つきで小さな回転盤を作り箱の中に収めるユウヒは、全てのパーツが出来ると一度魔法を解いて床に並べる。


「やっぱりタイヤが作れると幅が広がるよなぁ」


 魔力を込めて回転する回転盤、その中心をとおるシャフトに接続されているのは車輪と言うよりはタイヤのホイール、どうやらユウヒはタイヤを作る予定のようだ。


「ゴムタイヤは偉大だったんだなぁ」


 ユウヒが改めて感じ入る様に、空気入りゴムタイヤの発明は地球で自動車の能力を飛躍的に上げた歴史がある。


「まぁ今回作るのはエアレスタイヤだけど、さぁってドロドロの液体からタイヤを作るぞ!」


<!!>


 様々な試行錯誤によって実に多様なタイヤが生まれる現代、空気を入れてないにも関わらず空気入りタイヤと遜色のないエアレスタイヤも開発されている。むしろ空気が入ってない事でパンクなどの心配も無い事から、荒れ地で使うタイヤとしてユウヒはエアレスタイヤを選んだようだ。


「合成魔法でドロドロを加工して行って……なんだか魔女みたいだな」


 その材料が樽の中で攪拌されている大量のドロドロした液体、掻き混ぜ棒で更によく混ぜ込みながら合成魔法を展開するユウヒ。樽を中心にそれまで以上に大量の魔力が渦巻き、魔力は自然と幾何学模様を描いて行き、青い燐光を纏うその姿はとても幻想的である。





 ユウヒがステレオタイプな魔女を思い浮かべ樽の中身を混ぜている頃、とある宿の最上階の部屋では、窓辺に座り星空を眺める人影が何かに気が付き空を見上げていた。


「こんばんは」


「おや、珍しいね?」


 人影は、ずいぶんと薄着で褐色の肌を露わにしたアダであり、彼女が見上げた先には箒に跨る魔女が一人、魔女然とした黒いローブをはためかせながら夜の挨拶を口にし微笑んでいる。


「夜は魔女の時間よ? 珍しいなんて無いわ」


 音も無くアダが座る窓辺と同じ高さまで箒を下ろす魔女は、珍しいと笑うアダに夜は魔女の時間だと肩を竦めて見せた。


「引き籠りがよく言うねぇ? そんなんだから肌が真っ白なんだよ」


「貴女が焼き過ぎなの、それは良いとしてちょっと聞きたいんだけど」


 しかし、アダの珍しいと言う言葉は夜にはかかっておらず、普段から引き籠って自らのテリトリーから出てこない彼女に対する嫌味である。そんな嫌味など最初から分かっていたらしい魔女は、魔女らしい三角帽子の大きな鍔を指ではね上げると、暗い夜に浮いて見えるような白い美貌にジト目を浮かべるアダの褐色の肌を何とも言えない表情で見詰めた。


「何をだい?」


 そんな彼女はアダに聞きたい事があるらしく、どこか珍しそうに眉を上げる彼女は、魔女の考えを読む様にじっと赤い瞳を見詰める。


「この辺で最近強力な魔法が使われなかった? 方角は合ってると思うんだけど距離が分からなくて」


「あそこからこっちだと、一人しかいないだろうねぇ」


 魔女の質問は強力な魔法について。彼女達の住む場所と城塞都市スルビルの位置関係から大体の場所を想像するアダは、それなら一つしかないなと、脳裏にいつもやる気無さそうな表情を浮かべ、飄々とした空気と強い魔力を纏う男性の姿を思い浮かべた。


「なになに、知ってる感じ? 婆様がすぐに調べろってうるさくて」


「なるほど、それほど……他に何か言ってなかった?」


 訳知り顔なアダに身を乗り出す魔女は、見た目よりずいぶんと幼い印象のある言葉使いで溜息を洩らすと、アダの問いかけに肩眉を上げて小首を傾げる。


「急かされたからあまり覚えて無いわよ、こっちで歪みが酷くなってるってのは聞いたけど」


 思い出そうとしたようだが、何か嫌な事でも思い出したのか早々に諦めた魔女は、やけに急かされたと言って溜息を洩らすと、ため息と一緒に一つ思い出したのか歪みと言う言葉を呟くが、どうにも彼女はその意味を理解して無さそうだ。


「歪みねぇ? まぁ調べるなら岩穴オアシスの先あたりから調べてみな、でも出てきた人物にちょっかいかけるのは止めときなよ」


 アダも歪みと言われてすぐに思い当たるものがないらしく、不思議そうな表情を浮かべると考える事を諦めて魔女が欲しがる魔法についてのヒント、そして同時に注意事項も伝える。


「なんで?」


「魔法使いとやり合いたいのかい?」


「あーそっちかぁ」


 十中八九、魔女が求めている答えの先に居るのはユウヒ、魔女の事をよく知る仲であるらしいアダは、詳しく教えた先で起きえる可能性を抑制する為に断片的な情報を与える事にしたようだ。


「アタシも彼には興味があるから、そう言っときな」


 彼女に対する忠告はそのまま彼女に指示を出した婆様に対する忠告でもあり、遠回しに手を出すなと言うアダに目を見開く魔女は、その白い肌を赤くして目を吊り上げる。


「…………え、それって色恋的な!?」


 満面の笑みを浮かべた事で自然とキツネのように目を細めた魔女は、興奮で頬を赤くしてアダに詰め寄った。


「うーん、どうかしらねぇ?」


「えー! 気になる!」


 彼女達はどんな仲なのか不明だが、少なくとも相手の色恋に首を突っ込み、我が事のように喜び弄り倒すぐらいには仲が良いようだ。小さな子供を見るような目で魔女を見詰めるアダが、問い質す魔女をのらりくらりと交わす中、スルビルの夜はゆっくりと深まっていくのであった。



 いかがでしたでしょうか?


 自重を忘れて楽しむユウヒはどんな作品を作り上げるのか、次回もお楽しみに。


 それでは、今日はこの辺で、皆さんの反応が貰えたら良いなと思いつつ、ごきげんよー

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