夏草
刈り取られた夏草の
むせ返るような匂いは
汗だくのまま抱き合った時の
あなたと同じような匂いがした
一斉に鳴く蝉の声は ノイズのように
「愛してる」の声を 掻き消していく
過ぎ去れば すぐに色褪せてしまうような優しさより
狂喜に焦がされて このまま燃え尽きたい
大気を震わせながら 叩きつけるように
黒い染みが 道路を埋め尽くしていく
ふ、と息を吹きかければ 再び燃え上がる残り火を
その濁流の渦が飲み込む
他の誰かに愛されるなら
暗闇の中 ぼろぼろの約束を抱きしめる方がいい
消えない胸の痛みは
あなたが私の中で生きてるってことだから
擦り切れた愛の言葉を並べ
よくある衝動を抱えながら
ひたすら自転車のペダルを漕ぐ
独りよがりな私を
あなたは対岸で
ずっと嘲笑っていて
お読み下さって、ありがとうございます。
素敵な企画に参加させていただきまして、ありがとうございます。
少しでも楽しんでもらえたら、嬉しいです。
この作品は、以前投稿した作品を改稿したものです。