コント 「癖になる自動販売機」
楽しんで頂ければ幸いです。
男 主人公
自 自動販売機
男「喉が渇いたし。ジュースでも買って来るか」
自「ソコノオトコ。ワタシハカミノツカイダ」
男「いきなり爆弾発言する自動販売機に出会っちゃった」
自「アナタハイマ、ノドガカワイテイマスネ?」
男「まぁその為にジュースを買いに……。あぁ、丁度良いや。此処で買おうかな」
自「カシコマリマシタ。デハオカネヲイレテクダサイ」
男「何でボタンが一つしかないの? しかも何も表示されていないし」
自「ソレハ……。アナタガノゾムデアロウモノヲワタシガテイキョウスルカラデスッ!」
男「自販機越しにドヤ顔が見えて来そうな声色で結構。でも、面白そうじゃん。一回幾ら?」
自「ニヒャクエンデス」
男「まぁ、ちょいと高めだけど気にしないよ」
自「チナミニ。ニセンエンサツシカシヨウデキマセン」
男「微妙に使えねぇ! だが、運良く一枚持っているから入れるよ」
自「サスガ、キノウオキナワカラカエッテキタダケアリマスネ? ニライカナイハミエマシタカ?」
男「何で沖縄行った事知っているんだよ!」
自「イッタデショウ? カミノツカイダト」
男「妙に悟った声だな。まぁいいや。お金を入れてっと」
自「オカイアゲアリガトウゴザイマス」
男「どういたしまして。所で、その機械仕掛けの声何とかならないの?」
自「ボイスチェンジキノウヲシヨウシマスカ?」
男「宜しく」
自「ナウ、ローディング……」
男「神の使いのくせにローディングしてんじゃん」
自「お待たせっ! お兄ちゃん!」
男「こ、この声は! 俺が大好きな女性声優さんじゃないか!」
自「お兄ちゃんがどうしてもって言うから来てあげたんだからねっ! じゃあ早速行ってみよ――! ボタンを押してね?」
男「自販機のド真ん中で無駄に主張しているボタンをポチっとな……」
自「ん――! たぁっ! はい、これが出て来たよ?」
男「これはっ! 俺が探し求めていた靴のレシートじゃないか! いやぁ、助かったよ。お店で買った時はサイズが合ったけど妙に合わなくなってさぁ」
自「お兄ちゃんのベッドの下で乱雑に積まれている本。オウ! モウレツぅ! 昼下がりのイケナイ情事の四十八ページに挟んであったよ?」
男「絶妙な箇所に挟んでいたのね! 後、某大手通信販売会社の包装みたいに頑張って包んで話して!」
自「資源は無駄に出来ないのっ。さっ、後三回押せるよ?」
男「いや、計算違っているよ。俺まだ一回しか押してないもん」
自「ボイスチェンジ料金は千円でね。二百円の手数料も掛かっちゃったんだ。きゃはっ!」
男「キャハ、じゃあねぇよ。大阪の商人もビックリ仰天あこぎな商売だな?」
自「ささっ、押して押してっ」
男「はいはい……」
自「パンパカパ――ンッ! はい、どうぞっ!」
男「この二つ折りの紙は?」
自「有名なラノベ作家になれる権利だよっ! 神様がお兄ちゃんに文才を与えてくれるんだって」
男「いや、要らん」
自「え――。そうなのぉ? 中学二年生の時、自分の机に彫刻刀で邪神って文字を無駄に頑張って掘ってたからさ。要るかなぁと思ってぇ……」
男「ヤメテ! ドンピシャ世代の細やかな羞恥を掘り返さないで!」
自「じゃあ次、行ってみようっ!」
男「土曜日の夜八時に聞きたくなる台詞だな。ポチっと……」
自「はい、どうぞっ」
男「また二つ折りの紙かよ」
自「お兄ちゃん! 私の許可を得ないで経理の女性をデートに誘ったでしょ!? その答えだよ! プンスカプンッ!」
男「……。うん、そっか」
自「きゃはっ! 残念でしたぁ――。振られちゃったね?」
男「うるせぇ! 人の不幸を笑うな!」
自「キャ――! 誰か助けてぇ! 痴漢ですぅ!」
男「向こうの女子高生二人組が猛烈に居たたまれなくなってしまう冷酷な瞳で睨んでいるから止めて!!」
自「では、最後の一回。レディィイイ……」
男「ゴォォオオオオ!!」
自「怒っててもノリが良いお兄ちゃんだ――い好きっ! シュパパァンッ! はい、どうぞ!」
男「え? やだ怖い……。触ったら七日後に死んでしまいそうな呪われた皺くちゃの紙が出て来たけど……」
自「むかぁし、昔。お兄ちゃんが小学校の頃に告白した女の子の答えが書いてあるよっ!」
男「――。くっ、現実は残酷だな」
自「だよねぇ。一年中半袖半ズボンの子は嫌いって書いてあるものね」
男「子供の頃は風の子元気の子だったの! あぁ、くそう! 絶妙に苛々させる自動販売機だな!」
自「お買い上げ有難うね、お兄――ちゃんっ」
男「知りたくもない答えを聞かせやがって、金返せ!」
自「ショウゲキヲカンチシマシタ! ケイコクオンヲサドウサセマス!」
男「蹴った事は謝るから鳴らさないで! スクランブル発進する戦闘機を見る時みたいに超絶キラキラした瞳で小学生が角から覗き込んでいるから!」
自「スクランブル逮捕されても困るだろうし。止めてあげるよ! じゃあ、お兄ちゃん。二千札握り締めてまた来てね――!」
男「こんな自販機、二度と使用するかっ!」
自「――――――――。あはっ! お帰りッ! お兄ちゃんっ!」




