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りんご飴とかき氷は甘すぎます


 俺は今、何故か美少女三人に囲まれて歩いている。周りからの視線が痛い。俺がまさか、こんなハーレムっぽい状況に陥るとは思ってもみなかった。


 ちなみに健斗は、俺たちから少し離れた後ろの方で何やらニヤニヤしている。


(くそっ、あいつ完全に楽しんでやがる!!)


 後でもう一回腹を殴ってやろうと思った。


「私りんご飴食べたいなー」


 竹森さんが俺を誘うように覗き込んでくる。そんなことを言われたら、もうりんご飴の屋台に行くしかない。


「じゃあ、りんご飴買いに行こうか」

「うんっ!行く!」


 竹森さんがぱあーっと笑顔になる。しかし、そう簡単にりんご飴には辿り着かない。


「えー!私かき氷が良いなー!」


 希がこう言ったことで、竹森さんと希の闘いが始まった。


「りんご飴を食べるの!」

「かき氷!」

「「むーーー!」」


(まったく……俺を挟んで言い合いをしないでほしい。しかし、竹森さんにここまで対抗できるとは……希も本当に変わったな)


 言い争っていた二人がいきなり俺の顔を見た。


「「和樹(君)はどっち!?」」


 言い争いをするのは百歩譲って良しとする。でも、こうやって俺に答えを委ねるのだけは止めて貰いたい。


 二人の目が怖くて、俺はどちらの目も見ることが出来なくなった。


「和樹君はりんご飴だよね~?」

「和樹は冷たいものが良いもんね?」


(勘弁してくれ。はあ、誰か助けてくれる人いねえかなー)


 そう思った時、俺に救いの手が差し伸べられた。


「そんなに食べたいなら、両方食べればいいと思うのだけれど。どちらか片方に決める必要があるのかしら?」


(さすが木下!完璧な正論だ!!)


 木下のおかげで、この場はまとまり結局りんご飴もかき氷も両方食べることになった。





 俺たちがりんご飴とかき氷を買っている間、木下はたこ焼きが食べたいと言って買いに行ってしまった。木下が居なくなってしまったことによってこの場は竹森さんと希と俺の三人だけになってしまった。


(まずい。木下が居なくなってしまったら、この二人を誰が止めるんだ??)


 健斗は相変わらず遠くから様子を見ていて、こちらに来る気はないらしい。やっぱ二回殴ろうと俺は思った。


 りんご飴とかき氷を買い、俺たちはベンチに座って木下を待つことにした。


(何故俺が真ん中なんだ……)


 美少女二人に挟まれてベンチに座る俺。やはり、周りからの視線はすごく痛かった。





「和樹、私の一口上げる。はい、あーん」

「あっ、ずるい!私も!あーん」

「いや、俺自分の分あるから」


 さっきからずっとこの調子だ。俺は自分のがあると言っているのに、何故か二人は俺に食べさせようとしてくる。


(やっぱり……俺じゃ二人は止めらんねえー)


 傍から見たら羨ましいと思うかもしれないが、当事者の俺としてはただ疲れるだけであった。


「ごめん!ちょっとトイレ行ってくる!」


 俺は逃げるようにその場から離れた。




 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


 ベンチに取り残された二人。


「希、変わったね」

「積極的になるって決めたの。美海にも負けないからね!」

「私だって負けないもん!」


 二人はお互いに決意を表明しあったのだった。



 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄






 俺はトイレを出て、二人がいるベンチとは反対方向へと歩く。二人には悪いが、少し一人になって落ち着きたかったのだ。


(あの二人の相手を同時にするのは、中々骨が折れるなー)


 そんなことを考えていると、


「お姉ちゃん可愛いねえ~!一人?俺らと一緒にまわろーよー!」


 俺の目線の先でナンパらしきものが行われていた。普段はそんなところを目にしてもただ通り過ぎるだけなのだが、ナンパされている奴が()()()()だったので俺は急いでそこへ向かった。


「ごめんなさいね~!こいつ俺の連れなんすよ~。それじゃあ、失礼します!」


 俺はそう言って()()の手を取り、走ってその場から逃げた。後ろからは、あんな奴が彼氏?ありえねえわー!なんて言葉が聞こえたが、すべて無視した。俺の隣で何故か木下がもの凄い視線を彼らに向けていたのだが、それが何故なのかは分からない。


「ここまで来れば大丈夫か」

「別に助けてとは言ってないわ」

「お前、俺が行かなかったら変なこと言って更にあいつらを怒らせてたと思うぞ?それだけは面倒くさそうだからな」

「そうかもしれないわね。一応礼を言っておくわ」

「まったく、素直にありがとうって言えばいいのに」


 俺は握っていた手を離し木下を見た。すると、木下は直ぐに目線を逸らした。


 木下の顔が赤いように見えたのは気のせいなのだろうか。















 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


 ベンチに座っている竹森と神田に俺は声をかけた。


「お二人さーん!何してるんだー?」

「見ての通り和樹君を待ってるの!」

「和樹ならさっき、向こうの方に木下さんと手を繋いで走っていったぞ?」

「「なっ!?」」


「油断した!まさか楓にやられるなんて!!」

「……やっぱ木下さんも気が抜けない!」


 言われた方へ走っていく二人を見て、俺は呟いた。


「やっぱおもしろいな」





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