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【電子書籍化】理想の悪役令嬢にどうしてなれないの!〜なぜかヒロインのように溺愛されています〜【web版】  作者: やきいもほくほく
悪役令嬢はヒロイン気質!?

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貴方と歩む幸せ(ディーゴend)


いつも暗闇の中にいた。


孤児院で禁呪を埋め込まれたディーゴは、その成功例として実験を続けていた。


多くの子供が命を落としていくのを、何も出来ずに眺める事しか出来なかった。


茶色かった髪は青く変色し、瞳の色までも青く染まった。

普通、青といえば"水"魔法を思い浮かべるが、ディーゴの場合は『人の思考を読み取れる』『嘘がわかる』と言ったものだった。


どうやらディーゴは、機密情報を聞き出すスパイとして作られたようだった。

強制的な訓練と毒に慣らされる日々。

絶え間なく襲う苦しみに、耐えられなくなりそうだった。


最初は力が暴走して、汚い大人達の心の声がいつも聞こえていた。

何も聞こえないように、いつも耳を塞いでいた。

そして恐怖に震える子供達の声……毎日、気が狂いそうだった。


そんな時、当時の王家の影が孤児院を摘発した。


やっと苦しみから解放される……嬉しいはずなのに涙すら出なかった。



その孤児院で、正気を保っていたのは『D5』とタグをつけられたディーゴと『MR』のタグを付けられたメリーだけだった。


能力を買われて王家の影として働き始めた。


綺麗な寝床も、温かいご飯もある。

自分が頑張れば仲間を死なせずに済む。

苦しむ声を聞かなくて済む。


それだけが心の支えだった。


元々、孤児院でスパイとして育てられていた為か、難なく仕事をこなしていった。


そしてステファノが八歳の時に子供達の護衛兼世話係となった。

とは言っても、王族の子供達は病弱な為、城にいる事も多い。

暗殺者などの対応などが主な仕事だった。


時が経つにつれて影を率いる立場に変わっていた。


ステファノ達も成長し、行動範囲が広がり仕事は増えていく。

忙しい分、何も考えずに済んだ。


孤児院で毒に慣らされ続けた為か体の成長は、いつの間にか止まっていた。

三人の成長を見守りながらも心は死んだままだった。


それはこれからも変わらない……そう思っていた。


ところが、ラヴィーニアに出会った事で自分の中で何かが崩れ始めた。


護衛を命じられた事で、側にいる時間が増えていく。

その度に、無くなったはずの感情が次々と蘇る。

ずっと冷たい場所に独りで立って居たディーゴにとって、感じたことのない温もりが苦痛になっていった。


ラヴィーニアは怖がらずにありのままを受け入れてくれた初めての人だった。

全てを捨ててきた感情を拾い上げてくれる。


その感情が好意に変わるのは時間が掛からなかった。


初めて自分から"欲しい"と思った。

そんなラヴィーニアの為ならば、何だってしようと思えた。



ーーーだから




「平民になるなら、俺と一緒に暮らさない?」


「……へ?」


「生活に慣れるまで、俺がお前の側にいるから」


「え……ディーゴ、何で??」


「護衛も出来るし、便利だと思うけど」


「で、でも……どうして?」


「暫く休暇を貰ったんだ。ゆっくり過ごせるように」



ラヴィーニアが"属性落ち"したと聞いた時、平民になる事を望んでいると聞いてディーゴはすぐに動いた。


ロンバルディ家に行き、ディエとルドヴィカに話を聞くと、ロンバルディ家にずっと居ていいからと言った両親に、首を横に振り「迷惑を掛けたくないから」と出て行く意思は変わらなかったそうだ。


国王もラヴィーニアが一生遊んで暮らしていけるようなお金は出すといっていたが、ラヴィーニアの性格はよく分かっている。

それに、すぐに騙されてしまう姿が思い浮かんだのだ。


そこでラヴィーニアと共にいる為に、国王に休暇を申請しに行った。

今まで働き詰めだった自分に、さすがの国王も首を縦に振らざるを得なかったようだ。


あとはラヴィーニアの気持ち次第だった。



「俺は……お前の事がずっと好きだった」


「……!」


「隠しとくつもりだったけど、俺も男だからな。チャンスがあるのなら、好きな奴と幸せに暮らしてみたい」


「そ、そんな事、いきなり……言われても!」


「結婚を視野に俺と付き合ってくれ」



ラヴィーニアはいつものようにオロオロと戸惑っていた。

そんなラヴィーニアの唇をそっと塞ぐ。



「……絶対に損はさせない」


「!!」


「今まで通り、全部俺に任せとけよ……な?ラヴィーニア」


「ッ!?!?」


「お前の面倒を見れるのなんて、俺だけだろう?」



ラヴィーニアは唇を押さえながらコクコクと頷いた。

そんな様子を見て、笑みを浮かべた。


そして軽々とラヴィーニアを抱え上げる。



「わっ!ディーゴ……お、下ろして!」


「暫くこのままで居させて……」



いつもとは違うディーゴの様子に顔が赤く染まっていくのを感じていた。

優しくて、頼り甲斐があって、自分の事を良く理解してくれている。


そんなディーゴと一緒なら、どこでも生きていけそうな気がした。



「ラヴィーニア……」


「……は、はい!」


「少しずつでいいから、俺のことを男として好きになってくれ」


「ディーゴ……」


「そしたらお前だけに、俺の本当の名前を教えてやるよ」


「本当の、名前?」


「あぁ……特別だぞ?」








end


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