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「ラヴィーニア様に聞く、貴女はエレナ様を虐めていましたか?」


「いいえ」



ラヴィーニアは顔色一つ変えずにエレナを真っ直ぐ見つめて答えた。

勿論、嘘などついていないからだ。



「エレナ様に聞く、貴女はラヴィーニア様に虐められていましたか?」


「……っ、は、はいッ!ぎゃあああッ!」



エレナが痛々しい悲鳴をあげる。

それでもディーゴは掴んでいる手首を離さない。


エレナの悲鳴に僅かに肩を震わした。

エミリーは口元を押さえて小さく首を振る。



「ラヴィーニアに虐められてたというのは、嘘だな……?」



ディーゴがステファノの言葉にコクリと頷く。



「っ、こんな事、ッ許されないわ」


「父上に許可は貰ってある、次の質問だ」


「な、に……?何ですって?」



エレナは腕の痛みに顔を顰めながらステファノの言葉に唖然とする。



「二問目だ」


「……もう嫌ッ、こんなのおかしいわっ!!離せっ!」


「ラヴィーニア様、貴女はエミリー様を無理矢理従わせましたか?」


「いいえ……」


「エミリー、助けてッ!助けなさいよ!!」


「エレナちゃん、本当の事を言った方がいいわ……!」


「このッ、裏切り者がぁッ!!」


「エレナ様……貴女はエミリー様を無理矢理従わせましたか?」


「ひっ……!!」


「……五、四」


「ーーッ」


「三、二……」


「ッ、はい……!!」



神経を直接嬲る毒が効いたのだろう。

涙を浮かべながらエレナは震えている。

そして無理矢理従わせたかと言う質問に『はい』と答えたエレナは、ハァハァと荒く息を吐き出した。



「……真実だな」



エレナは悔しそうに唇を噛み締めて此方を睨みつける。



「……ッ全て貴女のせいよ!貴女の所為で滅茶苦茶よ!!」



錯乱しているエレナは空いている方の手で此方に掴み掛かろうと手を伸ばす。

すかさずディーゴがエレナの腕を強く引いた。

バランスを崩して体がグラリと揺れる。



「最後の質問だ」


「……クソッ、離せッ!!」



エレナはディーゴから逃げようと必死でもがいていた。



「ラヴィーニア様、貴女は闇魔法を使いますか?」


「いいえ」


「……ッ!?!?」


「エレナ様、貴女は闇魔法を使いますか?」



その言葉を聞いたエレナは、今までの抵抗をピタリと止めた。

そしてゆっくりと首を上げて、目を見開いたままディーゴとステファノをギロリと睨みつける。


エレナと目が合った瞬間、ディーゴが声を上げる。



「ーーー逃げろッ!!」



エミリーが小さく悲鳴をあげる。

その表情からは激しい怒りが滲み出ている。




「……ッ、騙したのね!この私をっ!!」



その言葉と共に、エレナを黒い煙が包み込む。

禍々しいほどに黒い闇魔法がディーゴの腕を弾き飛ばすのと同時に、ディーゴが付けていた魔石のネックレスが砕け散る。



「ーーー皆ッ……外へ!!」



ディーゴはステファノやラヴィーニアを連れて教室の外へと走る。

待機していた影達が急いで結界のようなものを貼るが、エレナの闇魔法によって直ぐに打ち破られてしまう。



「なんて力だ……ッ!」



教室の外まで溢れていく黒い闇を、フィンとエミリーが風の暴風壁で阻んで食い止める。

影達も加勢するが、エレナの力が予想以上に大きく全てを飲み込んでいくように侵食していく。



「アハハッ、邪魔よ!!こんな弱い魔法が私に効く訳ないでしょうがッ」




ーーーバンッ!!!




「ぐっ……!」


「きゃっ!?」


「……エミリー!フィンっ!!」



押し切られるようにして風が弾けた。

それと同時に、ラヴィーニアが力を込めた二人のネックレスが割れて壊れてしまう。


フィンとエミリーは壁に叩きつけられて、ズルズルと床に倒れてしまった。


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