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07.魔法は重要です




代表的な魔法の属性は火、水、土、風などがある。


ロンバルディ家は珍しい"雷"魔法を使う家系だったのだが、風と水の二属性を持つルドヴィカが嫁いできた事により、家格が上がったのだ。


結婚する時は違う属性同士が推奨されている。

稀に珍しい属性や二属性を引き継ぐ子供が生まれるからだ。


そして、そんな魔法の才能を恐ろしい程に引き継いでいるのがフィンである。

フィンは見事三属性を引き継いで生まれてきた素晴らしい成功例である。


そしてラヴィーニアはルドヴィカから継いだ風魔法のみを使う事が出来るの。

自分の家を発展させる為には、珍しい属性の子供を産むか、嫁に貰うかである。


なので魔法によって、爵位もコロコロと変わる。

今はルドヴィカとフィンが居るおかげで侯爵家らしい。


ヨーリナンド王国は、そんな魔法重視の国である。




「姉上、あそこの花を浮かべてみて下さい」


「浮かべる……?」


「突風や竜巻でも良いけど、寝室が散らかってしまうからね」



確かに小さな頃に色んなものを浮かべて遊んでいた記憶がある。



「……っ?」



記憶通り、風魔法で花を浮かべる事をイメージしてみたのだが……なんとなく魔法の感覚は覚えているのに、出来る気がしないのだ。



「ラヴィ……どうした?」


「やり方が、分からないんです……!」



今すぐに出来そうなのに、魔法が出てこない。

そんな気持ち悪い感覚に困惑した。

もしかして、ラヴィーニアの中身が蜜柑になってしまったから魔法が使えなくなってしまったのだろうか。



「……やはり何か魔力にも変質が?」


「こんな事があり得るのか……?」


「皆、落ち着いて……とりあえず一つずつ試してみましょう?」



ルドヴィカの言葉に家族全員が頷いた。

各々が持つ適性属性以外の魔法は、どんなに勉強しても、頑張っても習得する事が出来ないのだ。



という事で、ラヴィーニアの属性を探している訳だが……



「火と水と雷、土も風もダメだなんて……!!」


「貴方……!も、もしラヴィーが"属性落ち"してしまったら!!」


「そんな……!!」


「でも呪……魔法の影響を受けているのなら魔法を解けば、元の姉上にッ」


「もうすぐ学園に通うんだ……誤魔化すのも限界がある」


「……!!」



"属性落ち"とは貴族の中でも属性を持たない、または無くしてしまった人を、そう呼ぶらしい。

酷いところだと養子に出されたり、平民落ちにされたりと悲しい現状もあるそうだ。

今、雷と水と風の適性が無ければ属性落ちの可能性は限りなく高いと言える。


それに魔法が使えなくなれば嫁の貰い手も無くなり、大惨事とされている。



魔法だけで人生が決まってしまう。

まったく酷い話である。



「私、どこででも生きていけますから!」


「…………ラヴィ、ちゃん?」


「ご迷惑を掛けたくないですし……」



前世の記憶を含め、色んな知識を持ち合わせているので平民落ちしたところで、さして困らないだろう。

唯一、蜜柑だった時に良い所があったとすれば楽観的で何も考えていなかった為、どうにかなるだろう……で人生どうにかなってきた所だ。



ーーーガチャーーン




食器が割れる音がして、驚いて後ろを振り返った。



「お嬢様、申し訳ありません……!新人が失礼致しました」



ミーアがラヴィーニアに向けて深く腰を折る。



「もっ、申し訳ございません……!!」


「……お嬢様、どうかお許しください!」


「私ッ、ここを追い出されたらっ、住むところも無くて‥!!どうか御慈悲を……っ!!」



食器を割った侍女は涙目で床に平伏していた。

フィンやルドヴィカは此方の様子を伺っている。


ラヴィーニアはこんな時に、侍女を咎めていたのだろうか?

それとも怒っていたのだろうか……?


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