67.追い詰めます
「……何故だ、ビアンカ」
「エレナはディーゴの能力を知ってるの!」
「……俺の能力は国家機密だぞ?」
「でも、エレナは知っている……」
「それも闇魔法の力か?」
「えぇ……たぶん」
エレナはディーゴルートを二回も辿っている。
ビアンカやラヴィーニアとは違い、彼女は全てのルートを知っているはずだ。
そしてディーゴの能力を知っているからこそ、彼がいる時は、直接ラヴィーニアに手を出さなかった可能性が高い。
「一筋縄ではいかないようですね」
「そうね」
「けれど真実や嘘を明らかにする為には、ディーゴを使うのが一番手っ取り早いでしょう。となると……面倒で少々危険も伴いますが、確実な方法を取りましょう」
「どんな方法だ……?」
「その前に確認を取りたいことがあります。姉上がラヴィーニア様と同じ事をされたとしましょう。それなのにラヴィーニア様はピンピンしているのに、姉上は倒れた……そうなると、光属性を持つラヴィーニア様だから無事だった可能性が高い。今までの状況から見て、光属性が唯一闇魔法に対抗できる手段かもしれません」
「……!」
「頭は少しは回るようですが、力を過信して甘い部分も多い……ギリギリまでラヴィーニア様が光属性を持っていると気付かれない事が大切ですね」
「はい!」
「それに闇魔法は光魔法を淘汰したがる……そう記載されている事が多いです。だから闇魔法の影響を受けた……えっと」
「エミリーです」
「そうそう!エミリー様は、エレナの意志に反してラヴィーニア様を攻撃したんでしょうね」
「……そうだったんですね」
「ラヴィーニア様とディーゴの能力を軸として、闇魔法を引き摺り出しましょう」
淡々と話すジューリオに周囲は圧倒されていた。
それからフーッと息を吐き出してから、手を包み込むようにして握りしめる。
そして真剣な顔で此方を見ると……。
「さぁ、ラヴィーニア様!!続きを聞きたければ私を思いきり踏みッーーー痛ッ!!」
「…………陛下」
「すまない、ラヴィーニア……愚息は放っておいて作戦を練ろうじゃないか」
「は、はい……」
すぐに復活したジューリオは、此方に熱い視線を向けている。
興奮しているジューリオを落ち着かせるようにディーゴが間に入る。
「もしかしてエレナの目的って……僕と恋仲になる事?だからビアンカ王女に攻撃を仕掛けたの?」
「はい……たぶん。エレナちゃんは私に何度もフィン様とお近付きになりたいと言ってましたから」
「エレナは僕に、いつも良く分からない事を言うんだ」
「え……?」
「でも結果的に距離を一定に取っておいて良かったよ。もし心を許していたら……もう」
フィンに対しては、いつも笑顔でいる穏やかなエレナからは想像も出来ないような裏の顔。
「僕は一度、エレナの告白を断ってるんだ」
ビアンカの言う通り、フィンとエレナは通常エンドを迎えているようだ。
もし再びフィンがエレナに近づけば、エレナはフィンに闇魔法をかけるかもしれない。
フィンが操られて、攻撃してきたらと考えるだけで胸が痛む。
不安になり無意識にフィンの服を掴む。
「姉上、大丈夫だよ」
「フィン……」
「今のところ、闇魔法の影響を僕は受けていない。姉上が側にいるお陰かもしれないね」
「……」
フィンを守るようにそっと抱きしめる。
不安が少しでも和らげられたらと、そう思ったからだ。
すると淡い光がフィンを包み込むようにして光り出す。
驚いて手を離すと、その光も消えていく。
「今の光は……」
「……温かい。何かに守られているような」




