65.皆の為にやるべき事は何ですか?
「……それに、わたくし変な夢を見たわ!何度も何度も乙女ゲームをやり直すエレナと、ビアンカの夢を!」
「ッ、私も見たわ!!」
きっと自分と同じように、ビアンカもあの夢を見たのだろう。
「もしかして、エレナ様は時が巻き戻らない事を焦っているの?」
「そうかもしれないわ」
エレナはエンディングを迎えたのにも関わらず、時が戻らない事に焦っているのかもしれない。
ラヴィーニアやビアンカをリスクを承知で呼び出したのは、その原因を探る為だとしたら……。
「あのね……ビアンカ。これ以上、ビアンカやエミリーのような犠牲を出したくないの」
前のラヴィーニアの記憶を見てから、感情に引き摺られるように心の中に怒りが満ちていた。
エレナは自分の欲望の為に、色んな人を巻き込み傷つけている。
エミリーもビアンカも、光魔法がなかったら治らなかったかもしれない。
それに光魔法も万能ではない。
エレナがこのまま動き続ければ、被害を受ける人も増えていく。
フィンも利用されてしまうかもしれない。
(……皆に何かあると思うと、怖い)
ビアンカの手を握る。
温かい体温を感じて安心から涙が溢れた。
(ビアンカが無事で本当に良かった……)
「……ラヴィーニア」
微かに手が震えていたが振り払うように立ち上がった。
「ビアンカ……!手を打ちましょう」
「勿論よ」
「これ以上、皆が悲しむ姿は見たくないの!!」
二人は手を握り、強く頷いた。
そして部屋に入ってきたメリーによって、ビアンカが目覚めた事が皆に伝えられたのだった。
ビアンカは慌てて部屋に入ってきた国王と抱き合いながら、目が覚めた事を喜び合った。
「お父様、お話があります!」
「ビアンカ……?」
「その前に、わたくしが言う人物を集めてください!ディーゴ、協力して」
「分かった……!」
ーーー次の日
ビアンカとラヴィーニアは、ステファノ、フィン、ジューリオ、そしてエミリーを呼び出すように頼んだ。
ビアンカの部屋に皆が集まったのを確認して、ゆっくりと息を吐き出す。
皆の視線が此方に集まっている。
今は、緊張している場合ではない。
オロオロしていても状況は変わらない。
今やらなければ、いつやるのだ。
(私が、私が頑張らなくちゃ……!!)
自分を奮起させるように心の中で呟いた。
「……皆さん聞いてください。今から話す事は、信じられないかもしれません!でもこれ以上、誰も傷つけたくないんですッ!!」
真剣で力強い言葉に、皆が頷いた。
エレナは自分の目的の為に、ラヴィーニアとビアンカが邪魔だった事。
闇魔法でアルノルドとエミリーの感情を傾けて、ラヴィーニア達を排除させようとした事。
乙女ゲームの内容は上手く伏せて、話せるギリギリまで話した。
そしてビアンカも咳き込みながら、倒れる前に自分の身に起こった事を話していく。
「エレナ様は、闇魔法が使える事を上手く隠せるようなのです」
「……しかしエレナという少女は、影と国家魔法師立ち合いの元、詳しく調べられました」
「闇魔法の痕跡は見当たりませんでした」
「彼女の属性は火と水でしたから……」
ディーゴとメリーが資料を見ながら言った。
エミリーの件で影と魔法師が学園に赴き調査をしたのだ。
そして彼女の家族も仲の良い人物、全てを調べ上げたはずだった。




