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57/84

57.翻弄されています


ステファノから貰った髪飾りに触れる。

手首にはジューリオがプレゼントしてくれた薔薇のブレスレット。

ディーゴに貰ったお守りのネックレスが首元にある。


(もしかして髪飾りとブレスレットとネックレスが、親密度が上がった時に貰えるアイテム!?!)


そして、ジューリオが隠しキャラだという事実が、エレナの口から明かされる。

確かによく考えたら、あんな輝くような顔のイケメンがモブな訳ないのだが……爆笑できる状況ではないが、笑ってしまいそうになった、、


怒りに震えているエレナは、どんどんと此方に迫ってくる。



「わ、私……ラヴィーニアが好きで、ルビールートしか知らないんですッ!!」



エレナを納得させるように必死に声を張る。



「そんなバカみたいな言い訳、信じるとでも思ってるの……?」


「本当なんです!」


「逆ハーでも狙っているつもり!?一人のルートをキチンと選んでいる私よりも悪どいわね!!」


「違っ……!」


「ッ、何とか言いなさいよ!!」



胸元を掴むエレナが怖すぎて泣きそうである。

エレナの大きな目に睨まれると怖くて萎縮してしまう。

どうしようかと思考を巡らしているが、答えが見つからない。



「ルート選択時からおかしいと思ってたのよ」


「だから、私は何も……!」


「これだけ物語を引っ掻き回しといてタダで済むと思ってんの!?!」


「……ひっ」


「いい加減にしなさいよッ!!」



エレナが落ち着くまで取り敢えず、様子を見ようと思っていたが、彼女の怒りは収まる気配はない。

暗闇の中では逃げ場もなく、一歩また一歩と後ろに下がるが、それに合わせてエレナも迫ってくる。


鋭い視線を向けたまま、胸元から手を離す。

瞳に光はなく苛立ちと怒りを滲ませている。



「ほんとウザい」


「……っ」


「邪魔ばかりして……」


「それは、フィンルートを知らなくて……!」


「……」


「だから私なりに、助けようと……!」


「それが邪魔だって言ってんのよッ!!!」


「ッ!!」


「アンタのせいでシナリオがめちゃくちゃ……あぁ、あと我儘王女のビアンカ!あの女、フィン様を狙ってんの丸わかりなのよ」


「……!!」


「関係ないくせにシナリオに出しゃばってきて本当許せないわ」


「ビアンカは……っ!」


「仲良しごっこはやめてくれる?それとも悪役令嬢同士、慰め合ってるだけなのかしら?」


「……!!」



エレナは腕を組み、見下しながら笑っている。



「次は、あの女を堕とそうかしら……」


「堕とす……?」



エレナの唇が綺麗な弧を描く。



「よくエミリーから逃げられたわね……ラヴィーニア。でもディーゴが間に合わなかったらヤバかったんじゃない?」


「!?」



エミリーから逃げられた……何故、エレナがエミリーの事を知っているのだろうか。



「アルノルドも使えなかったわ……まぁアイツは最初から期待してなかったけど」


「……!!」


「エミリーはいい感じに仕上がってたでしょう?」



徐々に言葉の意味が分かるのと同時に、怒りが湧いてくる。

何度もラヴィーニアに謝るエミリーの姿を思い出していた。

後悔して、涙して、エミリーは心に傷を負ったのに。



「でもディーゴに連れられて王城に行ってるんでしょう?」


「な、んで……」


「使える駒が無くなって残念だわ。便利だったのに」



心臓がドクドクと音を立てる。


(……何を言ってるの?)


ニタリと笑うエレナの言葉の意味が分からずに呆然としていた。

けれどエレナがエミリーを大切にしてない事だけは、ハッキリと理解できた。


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