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05.偽姉疑惑解消中です


フィンは目を見開いてワナワナと震えている。

もしかして、まだ疑われているのだろうか。



「八年前、フィンのお尻がジョセフィーヌに噛まれた時は、毎日お薬を塗ってあげたのよね……」


「ーーもういいッ!!充分だ!!」


「え……?」


「貴女は僕の姉上だ……!!だからそれ以上口を開かないでよッ」



ゼィゼィと荒く息を吐き出しながらフィンは怒鳴りつけた。

取り敢えず偽姉疑惑は晴れたようで一安心である。


懐かしい思い出が次々と記憶に流れ込んでくる。

脳内では公式には無い、小さな頃の可愛らしいラヴィーニアが見れて幸せだった。

まるで天使のように優しく笑顔が可愛い少女だ。

フィンと手を繋いで歩いている微笑ましい姿が思い浮かぶ。



「確か、女の子みたいに一緒に色違いのドレスを着て、街を歩いた事もあったわね!フィンが恥ずか……「だああああ!!それ以上言ったら雷撃ぶち込むぞ!?」



今にも血管がキレそうなフィンに眉を顰めた。

彼が怒っていても怖くないのは、やはり弟だからだろう。



「フィン……貴方、そんなに怒ってばっかりいると体に良く無いわよ?」


「はぁ……!?!?」


「それに折角綺麗な顔をしているのに、勿体無いわ!」


「……!」



昔はあんなに可愛く素直だったフィンが、どうしてこんなにツンツンになってしまったのだろうか。


そんなタイミングで馬車が止まる。

どうやらロンバルディ邸に着いたようだ。

ゆっくりとドアが開いた。



「フィン、一緒に行きましょう?」


「…………」


「??」


「姉上、何か呪いでも掛けられたの……?」


「呪い.……?」



そういえば、魔法があるのだから呪いがあってもおかしくは無いかもしれない。

けれど、ラヴィーニアに呪われた記憶は……。



ーーーーーズキリッ




頭が急に痛くなり、その場に倒れそうになってしまう。

フィンが間一髪で支えてくれたようで、大事には至らなかった。



「……うっ」


「っ、どうしたの、姉上……!?」


「痛ッ、」


「…………微かに、何か魔法が掛けられた痕跡がある」


「え……?」


「禁術の類か……?」



"呪い" "禁術"と聞くと、ラヴィーニアの頭が割れるように痛くなる。

まるで何かを思い出させないようにする為に、止められているようだ。

頭の痛みと得体の知れない恐怖で、ガタガタと体が震える。



「フ、フィン……どう、しましょう!」


「姉上ッ、落ち着いて……!」


「っ、なにか、思い出しちゃ、いけないって……ッ」



震えはどんどんと酷くなっていく。

フィンは声を荒げて侍従や侍女に指示を出していく。



「……ッ!今すぐ母上を此処に!父上にも伝言を風魔法で送って城から呼び戻して……っ!!!」


「フィ、ン……?」



ぼやけた視界にフィンの酷く焦った顔が映る。

必死に"姉上"と呼ぶ声が遠くから聞こえる。

フィンを安心させるように、へらりと微笑んでから意識を手放した。







目を覚ますと、見覚えがないのに知っている天井が目に入った。

少し頭痛があるものの、頭は大分スッキリしていた。



「ーーラヴィちゃん!!!起きたのね!?ああ、良かったわ」


「えっ……お母様、どうかしましたか?」


「ラヴィ……本当にラヴィなのか?」


「お父様……どうして此処に?」


「…………姉上」


「フィンどうしたの?目が赤いわ……何か悲しいことがあったの?」



返事を返す度に、ラヴィーニアの母であるルドヴィカと父であるディエは驚きに目を見開いていた。



「嘘だろう!?ラヴィがフィンの名前を呼んだぞ……?」


「そうなんだ!それに僕の心配をするなんて……信じられないでしょう?」


「確かに信じられないわ!呪……魔法が複雑に絡んでいる。解呪はとてもじゃないけど」


「そんな……!!姉上はずっとこのままですか!?」


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