45.一歩踏み出しましょう
「わたくし、街って初めてで……」
「そうなの?」
「体が弱かったから、わたくしもお兄様も街に出た事なくて……」
「じゃあ、今日は一緒に楽しみましょう!私が案内するわ」
「ありがとう、ラヴィーニア」
(((ナイス……!!)))
今度は三人の心の声が重なる。
ビアンカのナイスな発言のお陰で、違和感なく一緒に行動する事となった。
(大方、ディーゴがお父様にあの事を伝えてくれたのね!お兄様はデートしてこいとでも言われたんでしょうね……フィン様はお兄様を手伝えとでも言われたのかしら。お兄様の演技下手すぎて、意味が分からなかったけど、ディーゴ、ナイスよ!!軽装のフィン様を見れるなんて最高だわ……本当にありがとう!)
辺りをキョロキョロと見渡す。
ビアンカとステファノの護衛として付いてきたメリーと共に打ち合わせをしているディーゴを見つけて、感謝の意味を込めてグッドと親指を立てる。
ディーゴも頷いて此方に合図を送る。
こうして四人は偶然出会い、偶然行動を共にする事になったのだった。
おすすめのブティックや雑貨屋に行き、ビアンカは買い物を楽しんでいた。
後ろにただついて行くだけのステファノとフィンは、楽しげな二人の背中を眺めていた。
「これ、デートの意味がないんじゃない?」
「は……?」
「国王陛下に言われてるんでしょ?姉上に好かれて来いって」
「……」
フィンの言う通りである。
けれどラヴィーニアと、まともに会話すらしていない。
このままではラヴィーニアとビアンカのデートとなってしまう。
「しかし、何を話せば良いか……」
「ヘタレかよ」
「お前、口が過ぎるぞ……」
「はぁ……暫く別行動してあげるから、後は自分でちゃんとやりなよ?」
「…………!」
そう言ってラヴィーニアとビアンカの元へ向かい、何か話すと上手くビアンカをエスコートしながら近場のカフェへと入った。
小さく手を振っていたラヴィーニアが振り返る。
「フィンが、どうしてもビアンカと話したい事があるんですって……」
「そ、そうか」
「ステファノ殿下、私達はどうしますか……?」
ラヴィーニアが困ったようにヘラリと笑った。
先程から背中に何か硬いものが何度も何度も当たる。
あまりの痛さに後ろを振り返ると、変装したディーゴが小石と、フリップボードを持って立っている。
そこには『 甘いもの 』と書かれていた。
「あまいもの……?」
「殿下も甘いものが食べたかったんですか!?」
「っ!……あぁ、まぁ」
「私も少しお腹すいちゃって、甘いもの食べたいなって思ってたんです!!」
ラヴィーニアが瞳をキラキラと輝かせて笑顔を見せる。
チラリとディーゴを見れば『 おすすめは 』と書かれてある。
「おすすめは……?」
「あっ……殿下は街に来るのが初めてでしたもんね!おすすめのカフェがあるんです!苺のショートケーキが美味しいんですよ!行きましょう」
「……そうだな」
ラヴィーニアに連れられるがまま店の中に入る。
落ち着いた内装。
店内は静かでクラシックが流れている。
話を聞けば、どうやらジューリオと来たことがあるカフェのようで、複雑な気持ちを抱えながらも席に着く。
店内の客は疎らで、人の多さにげんなりとしていた為、安心するように息を吐き出した。
ラヴィーニアが好きそうな所といえば、可愛いらしい雰囲気の所だと思って驚いていた。
(ラヴィーニアは、こういう落ち着いた場所が好きなのか……?)
メニューを開くラヴィーニアをチラリと見た。




