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44.たぶるでぇと、スタートです


「儂に似ている男でなければ許さんッ……と言いたいところだがビアンカがそう言うのなら仕方ない」


「…………」


「ビアンカの幸せが最優先だ……いいな?」


「はい」



こうなると国王も只の親バカである。



「そうだな……四人で"だぶるでぇと"をさせろ」


「はい……?」


「ステファノ、フィン、ラヴィーニア、ビアンカの四人でな」


「……はい」


「ディーゴとメリーは護衛に回れ!ステファノにも本腰を入れるように伝えよ。今回でステファノが使えなければジューリオでも良い」


「あのジューリオ殿下を……!?宜しいのですか?」


「……ジューリオは最終手段だ」


「かしこまりました」



ステファノとジューリオには、とことん手厳しい国王なのであった。



「ビアンカとラヴィーニアにはバレないように上手くやれ」


「はい」


「それにラヴィーニアの光魔法も安定してきた……やっと安心してビアンカやステファノを外に出してやる事が出来る」



ビアンカもステファノも体が弱く、万が一があってはならないと街に行く事を禁じていた。

しかしジューリオだけは無属性とは思えないほどに体も強く、街に自由に行き来している。



「全く、ジューリオにもよく目を光らせておけ……あいつは毒になるか薬になるか、その時々で変わるからな」


「陛下……」


「頼むぞ」



ディーゴが下がろうとした時だった。

国王に名前を呼ばれてディーゴは振り返る。



「お前も、偶には楽しみなさい」


「!!」


「金は儂が出す……影の皆に土産でも買ってやれ」


「…………有り難く頂戴させて頂きます」



ディーゴは腰を折り、一瞬で去っていった。



「儂もまだまだかのう……」







「フィン、行きましょう……!」


「……えぇ」



今日はディーゴの護衛もあり、街で買い物出来るとあってラヴィーニアは朝から浮かれていた。

ミーアに町娘風の洋服を用意してもらい、ラヴィーニアのフリもしなくていい気ままな休日は嬉しくて堪らないようだ。


フィンも同じような格好をしているが、帽子を深くまで被り眼鏡をかけている。

大体、髪色や瞳の色で貴族だとバレてしまうのだが、ラヴィーニアは完全に町娘になりきっている。


国王の命により、ラヴィーニアとステファノを引き合わさなければならない為、憂鬱だった。

ディーゴから聞いた時は、これでもかと顔を歪めたのだった。


(何で僕があんな暇人王子の為に……ッ)


しかし貴族であり、国家魔法師を目指しているフィンは断れる筈もなく……。


時間通りに指定の場所へと向かうように、上手くラヴィーニアを誘導する。

先程買ったフルーツジュースを美味しそうに飲んでいるのを見て、溜息を吐いた。

「二つも、おまけしてもらったの~」とフルーツキャンディーの一つを此方に渡して、幸せそうに、もう一つのキャンディを頬張っている。


そんな能天気な顔を見ていると気持ちが安らぐ。


ぽかぽかと暖かい日差しの中、ラヴィーニアに貰ったフルーツキャンディーを食べながら、ステファノ達が現れるのを待っていた。


暫くすると、変装した二人の男女が現れる。



「ぐ、ぐ、偶然だなッ!」


「……?」


「おい……」


「あの、どちら様でしょうか……?」



((演技が下手すぎる……!!))



フィンとディーゴの心の声が重なった瞬間だった。

ステファノの下手すぎる演技のせいで、不審者と勘違いしている。



「お兄様、しっかりなさって……!」


「……っ!」


「ラヴィーニア、美味しそうなキャンディとジュースね」


「その声は……ビアンカ!?」


「正解よ!偶然ね、こんな街中で」


「本当ね!」


「お兄様がどうしても噴水に行きたいって聞かないから来てみたら……」



誘導までも下手くそである。


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