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41.記憶はどこですか?



「……本当は心の奥底で、そう思っているのかもしれない」


「え……?」


「ラヴィとのこと、後悔しているんだと思う」



アルノルドはグッ……と手のひらを握り込むと、此方に向き直る。

ビクリと肩を震わす姿を見て、アルノルドは唇を噛み締めた後、ゆっくりと言葉を紡いでいく。



「こんな時にごめんね。でも今しかきっとチャンスは無いから……君に伝えたい事があるんだけど、いいかな?」


「…………はい」


「ラヴィ、以前はすまない。僕の勝手な行いで君を傷つけてしまって……」


「……!」


「自分に自信が無かったんだ。ラヴィはいつも完璧だったから……僕は」


「……アルノルド様」


「ずっと君が好きだった……これだけ裏切った後だ。もう信じてもらえないかもしれないけどね」



アルノルドはそう言うと、悲しそうに笑った。

兄への劣等感、完璧すぎる婚約者……知らず知らずのうちに彼は自分を追い詰めていってしまったのだろうか。



「本当は自分がどうすればいいか分かってた……でも、逃げたんだ」


「…………」


「僕の行動は許されるものじゃない。それはちゃんと分かってる……!ラヴィーニア、君を傷つけて申し訳なかった」



ただ黙ってアルノルドの話を聞いていた。

先程の彼と真逆の事を言っているが、どうやら本当に迫った記憶は無いようだ。


そうなると、先程までのアルノルドは何だったのだろうか。



「……それに君に近づいた事がバレたら、母にボコボコにされるんだ」


「エヴァ様にですか?」


「うん……本当にごめんね」



アルノルドの言葉に静かに頷いた。

許すか許さないかと問われたら、アルノルドの行動は許す事は出来ないだろう。


けれど彼の後悔と、真っ直ぐな気持ちは受け止めてあげたい……そう思った。



「教室に戻ろうか」


「はい」


「もし……僕の事を許せる日が来たら、友達になってね」


「…………考えておきます」


「うん、ありがとう」






(姉上、どこに行ったんだ……)


急にいなくなったラヴィーニアを探す為に走り回っていた。

途中で学園に来たディーゴと合流し、学園を隅々まで探していく。


アルノルドがラヴィーニアを連れて行ってという目撃情報もあり、アルノルドの元へ向かったが姿が見当たらない。


ディーゴと共に酷く焦っていた。

そして廊下からアルノルドとラヴィーニアが歩いてくるのを見つけて、すぐさま駆け寄った。



「姉上ッ!?貴方は……」


「フィン!」


「何故ここに……?エヴァ様に反省するまで姉上に近付くのを禁止されていたのではないのですか?」


「それが……僕もよく分からないんだ」


「は……?」



フィンが苛立ちを滲ませる。

やはり、まだアルノルドのことを許してないようだ。

さすがに可哀想になりアルノルドを庇うように前に出る。



「途中まで記憶が無かったようなの!それに様子も少しおかしくて……」


「記憶が……?」


「僕は授業の為に移動しようとしていただけなんだ。でも気付いたらラヴィーニアの前に居て……」


「フィン、ディー……アルノルド様は、凄く変だったの。上手く説明出来ないけど、何かに取り憑かれているみたいだった」



それを聞いたフィンとディーゴが、アルノルドの周囲を調べていく。



「ディー、これって……まさか」


「確定は出来ないが可能性は高い」


「…………嘘だろう?だって、この魔法は」


「闇魔法、でしょうね」


「信じられない」


「アルノルド様を早く城の魔法師に見せた方がいいかと……」


「アルノルド兄さん、誰かに何かされた記憶は……?」


「分からない……。でも最近記憶が飛ぶ事があって。それにずっと頭が痛くて……何故かラヴィの事を考えていた気がするんだ」


「……」


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