36.衝撃的でした
「でもヒロインとフィンは良い関係になってますよね?ビアンカ王女の気持ちも知らずに、私……二人をくっつけるお手伝いをしちゃいました!ごめんなさいっ!」
「いいえ?ラヴィーニア様、貴女がいい感じに邪魔してくれるお陰で、二人が結ばれなくて助かってるの」
「…………え!?!?」
(私がフィンとヒロインの仲を邪魔している!?)
衝撃の事実に驚いていると、不思議そうに首を傾げるビアンカ。
「分かってて邪魔してるのかと思ったわ……それか貴女もフィン様を狙っているのかと」
「ちっ、違います……!フィンは可愛い弟ですから」
最近は弟ではなくラヴィーニアの兄に見えると、言おうか言わまいか迷っていたビアンカは、とりあえず黙っておくことを選択したのだった。
「私……フィンルートのラヴィーニアの立ち回りが全然、分からなくて」
「そうなの?」
「それで、一生懸命ヒロインとフィンをくっつけようと頑張ってたんですけど」
「……そうだったのね」
本人は真剣なのだろうが、フィン狙いのビアンカからすれば、ラヴィーニアの行動は最高のものであった。
姑息な手を使い、フィンに言いよるヒロインのエレナとフィンの恋愛フラグを、ラヴィーニアは端から折っていくのだ。
「ビアンカ様……確か、ラヴィーニアは二人のお助けキャラになるんですよね?」
「そんなの最後の最後よ……それまではヒロインの邪魔するのよ?」
「えっ!?」
困惑した様子を見せるラヴィーニアと対面して思った事は、本当にただのお人好しで何も考えていないと言う事だ。
おそらく攻略対象者達を引き込んでいるのも無自覚だろう。
ラヴィーニアの方がヒロインのエレナより、よっぽど原作のヒロインに近い。
仲の悪いはずのフィンとラヴィーニアが度々密会していたり、仲良さげに話しているのを見かけていた為、ライバルでないと分かってホッと胸を撫で下ろした。
正直、阿保ではあるが無意識に人を惹きつけるラヴィーニアを敵に回しても、勝つ自信は無かったからだ。
ある程度、確証を得てから話しかけてみたら大成功。
ラヴィーニアを味方に引き込めば、エレナより有利に立ち回れるだろう。
「ラヴィーニア様、わたくしはフィンルートしか知らないの」
ビアンカになる前……元々あまり愛想がなく、淡々としていた為に、周囲に冷たい印象を持たれてしまう事が多かった。
そして本当の理解者もおらず、いつも人が周りにいるのに何処か寂しい日々を送っていた。
パッケージに惹かれて初めて買った乙女ゲーム。
エメラルドルートを何度もプレイするほどフィンが好きだった。
フィンのビジュアルも、性格も、全てが自分の理想だった。
ヒロインのように、フィンのような人と恋に落ちて幸せになりたい……そう思っていた。
そして、夢にまでみた乙女ゲームの世界に転生出来たと思ったら、転生先はヒロインではなく、ステファノルートとディーゴルートで立ちはだかるライバルキャラの我儘王女ビアンカだった。
幸い、周りは甘く「心を入れ替えて頑張りたいの」と言ったビアンカに対して、周囲は協力的であった。
フィンに会う前までに性格を変えて、少しでも立派な王女のイメージを植え付けたのは良かったのだが……。
肝心のフィンと会えるのは、舞踏会や王城主催のお茶会の時の一瞬だけだった。
そして彼に話しかける前に、ビアンカに気に入られようと群がる令息達にウンザリしていた。
学園に入ってからフィンに近づこうと作戦を練っていた。
そして学園に入学して、ヒロインが誰を選ぶかと見ていたら、まさかのフィンルート。
そんな時に現れた同じライバル令嬢のラヴィーニアに違和感を感じて、暫く影で護衛であるメリーと一緒に監視していたのだ。




