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10.反撃も出来ます


体に染み付いた所作や知識が、今のラヴィーニアを手助けしてくれているが、同時に残念な中身も滲み出ている。



「遅れて申し訳ありません」


「おお、ジューリオ!ジューリオは先日まで隣国に行ってたのだ」


「ジューリオ・リッチ・ヨーリナンドです……はじめまして」


「はじめまして、ジューリオ殿下。ラヴィーニア・ロンバルディです」



ラヴィーニアの記憶によると隣国に留学していた第二王子である。

攻略対象者でも無いし、ゲームにも出てこないので全くの初めましてである……多分。

しかし、このモヤモヤと湧き上がる気持ちはなんだろう。



「一度アルノルドを交えて、四人で話してみたら如何かな?」


「……陛下」


「婚約者を選ぶのに光属性を持つラヴィーニアの意思を最優先とする。コスタ家にも、そう伝えるように……」


「……かしこまりました」



些か強引ではあるが、王命のみで無理矢理婚約破棄させるのは、周囲の反応は良くないだろう。


婚約者や属性を考慮して親同士が決める事が殆どだ。

ラヴィーニアに自ら選ぶように圧が掛かっているような気がしてならない。


それにコスタ家を軽視していると見做されてもおかしくない。

赤の魔女を敵に回すのは避けたいが、ラヴィーニアも手に入れたい……そんな所だろうか。


国王のジリジリとした圧を避けるように、サッと視線を逸らす。



「本当に、光属性なのでしょうか……?」


「国家魔法師に確認させたが全員一致で光属性と判断した」


「なんだと……?」


「それに、侍女の怪我を一瞬で治したそうだ」



ステファノとジューリオの疑惑の声を消し去るように、周囲から期待に満ちた声が聞こえてくる。

何故、ステファノがこんなにもラヴィーニアを敵視しているかというと、その答えは記憶の中あった。


アルノルドの友人であるステファノと、ラヴィーニアは幼い頃から関わる機会が多かった。


突っかかってくるステファノを華麗に無視して、悪戯してくるステファノを風魔法でボコボコにして、不敬罪だぞと喚くステファノに「だっさ……わたくしにやられたって言えるもんなら言ってみなさいよ」と嘲笑っている記憶がある。


ラヴィーニアはステファノを返り討ちにしていただけなのに、一体ステファノは何をそんなに怒っているのだろうか。

(*蜜柑はラヴィーニア信者です)



それに、いくら嫌いであっても、大勢の前で侮辱するなんて失礼ではないだろうか。

こんな俺様王子ではラヴィーニアを幸せに出来ない。

婚約者になるなど、こちらから願い下げである。


ここはラヴィーニアの名誉の為にも反撃しなければと、震えそうになる手を固く握りしめて口を開く。

決してステファノが生理的に受け付けないからではない。



「わ、私もステファノ殿下だけとは仲良くなれそうにありません……よってアルノルド様とジューリオ殿下だけで話し合いたく存じます」


「貴様…………ッ!」


「まぁ、そう言うな。ステファノ…………いい加減にしろ」


「……っ」


「光属性を持つ者を……王家が待ち望んでいたのを忘れた訳ではあるまいな!!お前の意志など聞いておらぬ。それでも嫌だと言うのなら王太子をジューリオに譲り、好きに生きよ」



スッ……と国王の視線が冷たくなる。


(国王陛下……めっちゃ怖いんですけど)


感じた事のないピリピリとした空気に足が震えそうになるのを何とか抑えていた。


ちなみに王族は皆、無属性である。


無属性は無であるが故に、どんな属性でも使う事が出来るが例外として光魔法と闇魔法だけは使う事は出来ない。

そして他の魔法の力を強める事もできる。


王族は強い力を持つ代わりに体調を崩しやすく病に罹りやすい。

それが喉から手が出るほど、光属性を持つ者が欲しい理由だった。


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