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二人は結ばれた


「ムイ、その顔はどうしたっ」


振り返ると、カイトが二人の双子の手を引いて立っていた。ムイは、引きつった顔を伏せ気味にして、隠した。


「カ、カイトさん。どうして……四時の約束ではなかったですか?」


「仕事を早く終わらせてきたんだ」


「こんなにも早く? 良かったですね。……ミリアももうすぐ、」


「ムイ、君の迎えをミリアと代わってもらったんだ。それより、それはどうしたんだ」


父親が大きな声を上げたためか、双子は顔を見合わせて不安げな表情だ。


「ムイ先生、おめめが真っ赤だよ」


「先生、どうしたの?」


代わる代わる見上げては、父親とムイの顔を見遣る。


「ムイ、何があった?」


次には優しい声で、カイトが手を伸ばしてくる。その手が頬に触れる前に、ムイは顔を背けた。


「大丈夫です、大丈夫」


「ムイ、何があったか教えてくれ。君の力になりたいんだ」


「本当に、何でもないんです」


「ムイ、」


カイトが太い腕を伸ばし、肩を抱えるようにムイを抱きしめる。カイトの大きな胸には、ムイはすっぽりと収まってしまった。


久しぶりの人の体温に、ムイの中に自然と安心感が湧いてくる。


足元では、シノとキノも精一杯に腕を伸ばして、ムイを抱きしめていた。




「リューン様と一晩、あのガゼボで一緒でしたの」


朝方、部屋を出たムイを待ち受けるように、ユウリが立っていた。ユウリがまとっている絹衣の薄さに、ムイの心臓が跳ね上がった。


「あ、あの、」


浮き上がる肌が、火照っているのか、薄紅色に染まっている。


「わたくしたち、昨晩結ばれましたの。あの真っ白なガゼボで、リューン様はわたくしを激しく求めてくださった。ああ、なんて素敵な夜だったでしょう」


ユウリは、ほうっと大仰にため息をついてから、きつい視線をムイヘと向けると、「ムイ様、あなたはもう邪魔なのです。どうぞ、国王陛下の元へお行きなさいまし」と言った。


「そんな、」

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