第四十一話 俺の『過去』なんて、そんなに言うほど深くて大きなことでもないけれど。
第四十一話
―――Kenta VIEW―――
俺は柵の上に両腕を置いて眼下の街並みを眺めていたんだ。
「――――――」
警備局病院の屋上というところは、警備局寮の屋上と同じでふぅっと、ときおり風が吹き抜けていく。遠目に広がるのは俺がいた日本の街並みの光景とはあまり変わらない景色。だから、ここが五世界にある日之国の日府だと言われても正直疑ってしまいそうになる。でもここは間違いなく惑星イニーフィネの日之国の首府日府という場所で―――それは疑うことのない事実だ。
「・・・・・・」
俺は刀身が折れてなくなった模造刀『夢幻』の柄を右手で持ったまま握り締めた。・・・春歌と背中合わせにして戦ったあの夜の対第六感社戦で俺の『夢幻』は柄の先から破断した。やっぱ模造刀じゃあ、本物の日本刀や日之刀と違って強度に問題があるのかもなぁ・・・。やれやれ、と俺ははぁっとため息を吐いた。
「―――」
俺は柄だけになった『夢幻』を右手で握り締めていたんだ。研究課の綾羽さんによれば、霊験あらたかな名刀の貸与と帯刀許可はまだ出ていないらしい。そもそも、俺は名刀に期待してはいけないんだ。期待していて、もし、それが裏切られたらとても悲しいから。
「―――・・・」
あれから何度か試してみたんだけど、やっぱり俺は柄だけの刀では能力が行使できなかった。
「祖父ちゃん・・・刀が折れたときはどうすれば・・・いい?」
俺の呟きに返答してくれる人はいなくて、俺の呟きは風に掻き消されていく。
「――――――」
錘使いとの戦いで気を失った俺が目を覚ますと、そこは病院のベッドの上だったんだ。俺はまたみんなの足を引っ張っってしまったということで・・・。春歌―――にまた面倒をかけてしまったんだ。
「・・・・・・」
はぁっと俺が吐いた溜息は空にきえてゆく。あのとき力を使い果たして倒れてしまった俺を、春歌が救急搬送してくれたと聞いた。
俺は―――ずっと心に棘が刺さっていた。
「――――――」
俺は―――弱い。
『――――――』
『――――――』
『――――――』
混成隊の任務ときでも、俺以外の三人―――春歌、アルス、奈留の三人の中には暗黙了解的みたいなものがあるんだ。それは俺への気遣いだ。いつもみんなが俺を気にかけてくれる。―――それはきっと俺が弱いからだ。だからみんなは俺を攻撃の手が薄いとこにそれとなく誘導したり、また必ず俺だけが敵の矢面に立たないように、三人のうちの誰かが側にきてくれる。
「・・・はぁ・・・」
大きなため息は日府の空に消えていく―――。たとえ定連さんに鍛えてもらっても俺はみんなの脚にはついていけないんだろうか・・・。俺だけがずっと後ろにいて俺以外の三人の春歌、アルス、奈留の遠い背中だけが見えるんだ。―――それはまるで俺だけが外されたようなそんな疎外感を覚えるんだ。俺はみんなよりも弱いから。俺は三人と違って一般人だから。
前のアンノウン戦のとき、アルスが警備刀を振るって犯人を峰打ちで制圧していた場面だ。
『ふッ!!』
アルスには特殊能力はないけど、それを補って余りある強さ。元の世界での壮絶な経験と記憶と遊牧戦士独特の戦闘技能。俺は経験値でアルスには到底敵わない。
春歌が以前、五人の暴徒を薙刀の一薙ぎで黙らせた場面だ。
『せい・・・!!』
春歌の能力は気圧を操作して、それを薙刀の刀身に乗せ、さらに斬道の形状で斬撃を飛ばすものだ。いわば『気圧操作』とそれの応用。それに薙刀の腕も体術も相当なものだ。もし俺が春歌と戦ったら間違いなく俺は一瞬で終わる。
アンノウンを一撃で倒した奈留のとこ。
『バイバイ―――・・・』
奈留はアルスや春歌みたいな武術の嗜みはなさそうだけど銃が使える。そして切り札は自身で発電し、放電する能力。無理俺では敵わないチート。
『・・・』
で俺はどうだった? 子供の頃に剣術をかじっただけの一般人に何ができた?いや、俺は真の剣士だっただろうか? うん。確かに以前のアンノウン戦の敗北で心を入れ替えた俺は、定連さんに鍛えてもらっていてあのときよりは強くなっているとは思うけど・・・。でも―――
「・・・・・・・・・」
早く名刀を手に入れたい。もし、警備局から帯刀許可が出なかったら俺は名刀を探しに旅に出たい。名刀なんてこの五世界だぜ?きっとごろごろあるって。
「・・・・・・・・・」
・・・まぁ、そんな自分で探してすらないような名刀ことは置いといてさ。まぁ、名刀がよしんば手に入ったとしても、それを御することが腕、技術がなければ意味がない。その刀の腕を会得するために俺はどれだけ修練を積めばいい? どうすれば俺は強くなれる?三人の脚を引っ張らなくなる? 俺は―――どうすれば三人と同じ光景を見れる? どうすれば新たな仲間達と同じ場所に立てる?
「――――――」
俺はそっと眼を瞑った。思い出せ・・・!! 思い出せよ・・・俺ッ。思い出してくれよ・・・あのときの祖父ちゃんとの思い出の記憶を―――!! そうしたらちょっとでも思い出せたら、小剱流の剣術を思い出して、任務で活かせるかもしれないんだ。
「・・・」
そのときヒュオーっと一陣の風が吹いた気がした。
そんなとき、目を瞑って幼い日の記憶を一生懸命思い出そうとしていたとき、一陣の風が俺を巻き込むように吹き抜けたんだ。
『くそ・・・!! なんで僕はできないんだ!!』
『健太よ、少しは休もうかのう?』
『ううん、僕は休憩しない!! 次の大会で僕はあいつに勝つんだ!!』
『ほんに仕方ないのう健太よ。・・・では、もう一度祖父ちゃんの動きをしっかりと見ておれ』
『うん!!』
『小剱流抜刀式の一・・・刃一閃』
『―――――――――』
『小剱流抜刀式の二・・・鋩一閃』
『―――――――――』
『この二つを二連で繰り返せればのう、こうなる・・・!! 小剱流抜刀式の三・・・真刃弐閃』
『すっげー!! 祖父ちゃんすっげーッ!! これを僕を会得できたら毎年、決勝で敗けるあいつを倒されるよッ祖父ちゃん!!』
『浮かれるではない健太よ』
『・・・祖父ちゃん?』
『見誤るではないぞ、健太よ。刀とは己の私利私欲で使うものではない。人を傷つけ殺すものではないのだ・・・古風かもしれぬが、剣士とは強きを挫き、弱きを助け、護りたいものを護る者。健太よ、よう覚えておきなさい。それは忘れたならば剣士など、ただの刃鬼と成り果てるのだ』
――――――
それは突然のことだったんだ。祖父ちゃんは他流試合を見に行く、と言ってふらりと出ていって、その日は夜になっても帰ってこなかった。他流試合の関係者に訊いても、俺の祖父ちゃん小剱 愿造は、その日は試合会場には来なかった、と言っていた。
『祖父ちゃん? 祖父ちゃん!? どこに行ったんだよッ祖父ちゃんッ!!』
僕は来る日も来る日も街中や祖父ちゃんが立ち回りそうな場所に行き、祖父ちゃんを捜しまわった。それには仲間達も手伝ってくれたんだ。
『ごめん、敦司。天音。真。美咲。己理。みんなにも迷惑かけて』
そのときの友人達が返してくれた暖かい言葉が身に沁みたんだ。でも幼馴染六人みんなで捜しても結局祖父ちゃんは見つからなくて、何日待っても何カ月待っても一年待っても祖父ちゃんが家に帰ってくることはなかった。
『祖父ちゃんは僕を、家族を、家を棄てたのか? 僕は祖父ちゃんを尊敬し、憧れていたのに・・・祖父ちゃんはそれを―――僕は僕は・・・!!』
僕は裏切られたんだろうか? 僕が試合で優勝できないから愛想を尽かされたんだろうか?
『祖父ちゃん・・・僕は―――』
そうして僕は剣術の道を止め、刀を棄て・・・。怖かったんだ、祖父ちゃんに『棄てられた』と、そう思うのが。眠れなくて失意の中でなんとなくかけたテレビが深夜アニメを放送していた。それが想像以上に面白くて僕は―――・・・いや俺は―――いつしかその『小剱流』や『刀』に対する心構えを忘れ―――祖父ちゃんへの気持ちさえも忘れて―――俺は―――。
『やっぱ佐那たんってかわいいよなぁ。な?真、お前もそう思うだろ?』
『―――・・・』
『おほんっ真くん。佐那たんはね、俺が好きな子の一人で特にあの容姿とかわいい口癖がおにーさん的にはたまらんのですよ!!』
『はぁ大丈夫か、健太? こんなものは、たかが電子画像だろう?』
『かーッ解ってないな、真は。んじゃ己理はどう思う?』
『う、うん。いいんじゃないかな・・・? その子、可愛いいと思う・・・よ?』
『だろだろ? んでさぁ、またこの作品の主人公がかっこいいんだよな~『―――俺はお前を助けることができるのか!? いや、やってみせるッそれこそが俺に与えられた使命なのだから―――』って言うんだよぉ。いやーあの場面最高だね!!』
『街中でそんな大声を張り上げて、健太は恥ずかしくないのか?』
『なんだよー、真ノリ悪いなぁ。―――いいだろう、そんな真に俺から言おう!!』
『フッどうやら『真』にはレベルが高すぎるようだな、俺の言葉が理解できないとは』
『・・・なにぃ? それと何回も言っているだろう!!僕はシンじゃない真だ・・・!!』
『フ・・・これだからインテリメガネ君は』
『――――――』
『まぁまぁ、二人ともそこまでにしとけって。どうせ健太はネタを言ってるだけなんだしさ』
『そうそう、真は健太のイタイ発言を間に受けちゃダメだって』
『・・・解った善処しよう辻堂さん』
『それと健太も解ってやってるだろ? ほどほどにしとけって。まぁ、久々の六人集合でテンション上がってるのは俺もだけどさ』
『わかってるって、敦司』
俺は楽しくなっていった。剣術の鍛錬に割いていた時間を幼馴染達と遊ぶことに回し、その仲間達と過ごせることが―――
「――――――」
でも・・・今の俺はそんな幼馴染達なんかより―――、今の俺は―――力が欲しい―――
ここにきて―――俺はまた急に力が欲しくなるなんて。こんな勝手な孫でごめんよ、祖父ちゃん。ほんとにごめんよ、祖父ちゃん。祖父ちゃんは俺を裏切った、なんて思ってほんとにごめんなさい・・・祖父ちゃん。あのとき・・・祖父ちゃんがいなくなったときも、そんなことを思わずにちゃんと剣術の腕を磨き続けていれば・・・こんなことにはならなかったはずだ。
「俺はもっと強くなりたいんだ!!」
―――他の『誰かを護る』まではまだいい・・・せめてみんなと肩を並べたいから・・・同じ光景を見たいから。
「・・・健太?」
「・・・・・・」
「健太っ・・・!?」
「・・・え? あ・・・春歌?」
俺は、自分の名前を呼ぶ想い人の声に、ゆっくりとまるで意識が浮き上がるように眼を覚ましたんだ。
「・・・」
俺、病院の屋上の柵にもたれながらうたた寝してた?
「健太?こんなのところにいたのですね。捜しましたよ」
「春歌・・・ごめん、勝手に病室に抜け出して」
俺は声の主に振り返った。彼女の綺麗な黒髪ポニーテイルが風に揺れる。
「いいえ、責めているわけではないのですが、―――それは・・・?」
春歌の視線が俺の右手に移った。
「あっ、い、いやこれは・・・」
俺は反射的にその柄だけになった模造刀を後ろに隠した。
「・・・」
春歌はばつの悪そうな顔になって視線を横に逸らした。
「この前の戦いで折れた模造刀だって・・・」
隠したって仕方ないか。そう思った俺は努めて明るく春歌にそれを見せた。
「ちぇッあれくらいで折れやがってこのこの♪」
俺は模造刀の柄を握ってぶんぶんと腕を振り回した。
「健太、私は貴方に訊きたいことがありまして、・・・ひょっとして貴方はどこかで剣術を―――?」
「!! あぁ腹減ったなぁッなぁ春歌、今日の病院食はなんだろうな」
春歌のその言葉を咄嗟に遮るように、俺は大袈裟な身振りで屋上の扉へと脚を向けた。
「今日の昼の病院食ですか―――さぁ、なんでしょうね・・・?」
ここんとこ病院食ばっかだなぁ。久しぶりに一之瀬家の弁当を食いたい。
「腹も減ったし、じゃぁ行くか」
「・・・はい」
「ごめん、春歌。今はまだ話せるまで心の整理がついてないんだ。ほんとごめん・・・」
俺は春歌の顔は見れずに、俺は俯いたまま春歌にそう答えた。こんなんじゃ、いずれ春歌は俺に愛想をつかしてしまうことぐらいは解ってるさ。でも―――
「私は、健太が私に話してくれるまで待つことにします・・・」
春歌という女の子の優しさが身に沁みた。
「っ」
その俺の『過去』って言ってもそんなに言うほど大きなことでもないけど、そのことに対して春歌もそれ以上は訊いてくることはなかった。ほんとに春歌は優しい女の子だ。もし、俺が春歌と付き合えることになったとしても、俺にはもったいないくらいの女の子だ。でも一之瀬 春歌という女の子を俺は好きになってよかった。
「・・・必ず話すよ。俺の身勝手だけど・・・そのときは聞いてほしい、春歌」
「はい。そのときは」
「・・・うん」
強くなりたいよ、祖父ちゃん・・・。春歌を護ることができるぐらいの俺に。
Kenta VIEW―――END.
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―――ANOTHER VIEW―――
警備局局長室に置かれた一つの円卓には警備局境界警備隊の部隊長達が集結していたのである。その会合の席には各部隊の隊長達以外に、表向きは『警備局学校寮監』という肩書を持った塚本 勝勇も同席をしていたのだ。しかし、件のアルスランと小剱 健太はこの場にはいない。諏訪 侑那と塚本 勝勇の判断で彼ら二人の席は用意されていないのである。
「急な呼び出しにも関わらず集まってくれてありがとう。急遽みんなに集まってもらったのは他でもないの」
「「「―――」」」
各部隊長達の並々ならぬ意志をこもった視線を受け取った警備局局長諏訪 侑那は話を進める。
「結構。では早速、本題に入るわね。混成隊の先日の夜の一件を政府各局局長会議で議論し合った結果、あの夜の事件は第六感社による謀略と断定されたわ。彼ら第六感社の目的は転移者小剱氏の奪取及び警備局への挑発行為であるという認識でもおおむね一致したわ」
「諏訪局長」
諏訪 侑那の言葉を切って塚本 勝勇はおずおずと手を挙げたのだ。
「塚本特別監察官なんでしょう?」
「あのとき羽坂副隊長が疑問に思ったことについての結果はどうでしたか?」
「うん。それについても調べてみたわ」
「―――」
この場に境界警備隊隊長の一人として出席している定連 重陽隊長の眉間が僅かに動く。
「案の定、回線が一時的にジャックされていたわ。だから春歌の電話が繋がった先は当該企業の一関連会社だったわ―――」
「なるほど、やはりね・・・。だったら、あちらさんも中々大したものだよ」
塚本 勝勇は薄くにやりと僅かに三日月状の笑みを口元に零した。
「ふっ」
一方、その塚本の『哂い顔』を見て侑那は淡くふっと懐かしい記憶を思い出すかのように笑みをにじませたのだ。それに気が付いているのか、いないのか塚本も笑みを正して春歌に視線を送ったのだ。
「―――だから春歌くん。きみが行なった救護隊の要請で、到着が遅れたことを気にする必要はないよ」
「・・・は、はい」
「先ほどの話に戻るけど、でも警備局の中には、あの混成隊に起きた一件は挑発行為ではなく、『我々への宣戦布告』であると捉えている人達も多いわ」
そのとき侑那の部下の一人である一之瀬 春歌が手を挙げたのだ。
「・・・諏訪局長はどうお考えなのですか?」
「春歌。・・・私は、私個人的には『宣戦布告』だと捉えているわ。貴女はどう思っているの?春歌」
「はい。私があの戦いで相対した彼は『俺の名は野添 碓水。第六感社諜報部に所属している』とはっきりと所属までも名乗りました。ただの挑発行為というのなら、アルスランと奈留さんに差し向けたような者達だけで充分なはずです、第六感社からの刺客であるということを臭わせるだけで充分のはず。おそらく野添 碓水という男は所属を敢えて名乗ったです―――ですから私も諏訪局長と同意見です」
「僕もそう思うよ」
「春歌、塚本君・・・。他のみんなはどう思う?」
「「「・・・」」」
各々の隊長が諏訪局長の言葉に首を縦に振り肯定の意味を示したのだ。あの、普段はやる気のなさそうな態度を取っている定連隊長までもだ。それを受けて諏訪 侑那はまた口を開く。
「あの一件が我々への挑発行為ではなく、本当に我々警備局への宣戦布告だとしたら―――」
そこで諏訪 侑那は一瞬、その言葉を公に出していいものかと逡巡するように視線を下げた。しかし、すぐに決心した彼女はすぐに力強い眼差しで、各々の隊長達と視線を合わせていったのだ。
「―――これより我々警備局は、日之国日夲の治安を揺るがす第六感社及びその関連企業、協力企業との抗争状態に備える。各自、自隊に戻ったあと、このことを厳重に副隊長以下各隊員達に伝えるように。油断なきよう、気を抜くことのなきよう任務に当たれ、と」
彼女諏訪 侑那の言葉を誰しもが真剣に聞いていたのだ。しかし、ただ一人そうではなく、この場に傍聴者として参加していた警備局研究課の新田 綾羽課長兼研究官だけが、そわそわとした態度をとっていたのだ。そうして今後の警備局の方針が一通り纏まってこの会合が終わったとき、彼女新田 綾羽はそわそわと、おずおずと諏訪 侑那と塚本 勝勇のもとへと向かったのだ。
「や、綾羽くん」
「あら新田さん?」
「あ、はい。塚本特別監察官、諏訪局長」
「ひょっとしてあの件かい?」
塚本は綾羽の用件を察したらしく、温和な笑みを綾羽に向けたのだ。
「はい、塚本特別監察官。あの、侑那さん。・・・あの名刀の件についての話は局長級会議で出ましたか? またそれの進展はあったのでしょうか?」
「あ、そうそうあの件ね。貸与の許可が下りたわ」
「ほんとうですかッ!!」
綾羽は、喜びに跳びあがりそうになったのをぐっと堪えてはいたが、その喜びに破顔させた。
「その代わり『限定的貸与』だけどね」
「それでも充分です。ありがとうございます、侑那さんっ!! それで名刀は『どれ』になったのでしょうか?」
「―――『妖刀-零零五号』よ。
「あれ、ですか―――ッ!!」
警備局は、その所蔵する妖刀や霊刀に通し番号を付けて管理しているのだ。その『妖刀-零零五号』という通し番号を侑那より、聞かされた綾羽の眼は驚きに見開かれたのだった―――。それほどまでに『妖刀-零零五号』は曰くつきの日之刀なのである―――。
ANOTHER VIEW―――END.




