目的
3年前。空想の産物とされていた魔術師が街を襲った。その目的は、戦力の増強と宣戦布告。当時幼かった弟は、姉の私がいながら攫われてしまった。それは私に力が無かったからだ。なら、強くなればいい。強くなって、あちら側の国へ迎えに行けばいい。そのためにここに入学したのだ。
藤咲高校は「アルデンテ」に関してはトップクラスの専門性を誇る学校。今では敵側の技術を応用した物まで作れる程になった。毒を持って毒を制すというわけだ。しかし、この高校の人気が高いことの理由は別にある。校舎が一つの大きな要塞と化している点だ。この国どころか世界で一番安全な場所だろう。それでいて、制服も可愛いのだから人気にならないはずはない。イベントの規模も相当なものだ。
ここの入試は特殊で、能力を持っていることや戦闘のセンスの予想値で合格が決めている。入学するまでは知らなかったが、生徒会の知り合いが教えてくれた。一緒に戦う仲間探しにはぴったりな場所だ。そこで見つけたのが、千沙子と智美なのだ。「強運」と「百発百中」の能力。理想そのものだった。何より一緒にいて楽しい。まだ実戦はしたことがないが、いずれ生徒会のアルに機会を貰おう。考え事をしていると、千沙子が迎えに来てくれた。