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苛烈なまでの肉体改造
筋肉が足りない。それは、私が牛丼を頬張りながら出した結論だ。能力に頼りすぎていたため、肝心の本体の方は貧弱なのだ。
これを強化することは、連戦を勝ち抜くのに必要不可欠だといえよう。
華やかな街から、いきなり視界がモノクロへと染まる。身体を鍛えるのには余計な色覚情報など要らないというわけか。なるほど。ベンチ台上に横になり、フォームを組む。トレーナーから細かい指摘は受けたが、大きな問題はなかった。
20キロから始まり、2.5キロずつあげていく。もちろん能力には頼らずだ。32.5キロまでいった時、少し重みを感じた。40キロまでいくと、ついに上がらなくなった。
トレーナーは褒めた。どうやら私は強いらしい。しかし、この程度でトーナメントを勝ち抜けるわけがない。35キロを極めることに決めた。
ひたすら、同じことを繰り返す。20回、30回と上がるようになっていった。50回を超す頃、私の筋肉はトレーナーを遥かに凌駕した。同時並行で行なっていた別のトレーニングが功を成し、完璧なまでの細マッチョを実現することに成功した。