アドバイザーという名の更生
今回は鏡君の厚生を目指す巻です!長いですがよろしければお付き合いください。
更生プロジェクト開始から3日目、今日はちゃんと笹木は学校に来ていた。しかし、問題が…。
「笹木、おは…」
「私用事あるから!」
と言い彼女は教室から出て行った。そう、問題とは笹木が俺を避けるようになったのだ。このままではあいつの厚生を行うことが困難になってしまう。どうにかして放課後、あいつ込みでの会議をしたいのだが…。
「うぃーす、赤島。朝から笹木に振られてたな」
「違いますぅ!俺があんな見てくれ女に騙されるわけないだろ!」
「え?何?赤島、お前あの女のこと好きなのかよー!」
ここで外野からの攻撃。
「はぁ!?だから違うって!」
「俺、お前が笹木さんを旧校舎の教室に連れてくの見たもん!」
「黙ってろ!このキモオタク!」
「赤島君、それは言い過ぎだよ!」
「ほらー!キモオタ君泣いちゃったじゃん!」
「お前もキモオタって言ってんじゃん!」
「うちの高木に噛み付くな!下劣な男!」
急に外野盛り上がってんじゃねえよ!このままじゃ俺の平穏(笑)な学園生活が終わる!
「てか笹木さんが可愛いからって拉致るとか頭沸いてるな!」
「それには事情があって!」
「どーせ頭の中は笹木さんの全裸でいっぱいなんでしょ!」
「んなわけないでしょ!」
「じゃあ何してるんだよ!」
「そ、それは…」
「ほら言えねえ!みんな俺らの笹木さんを守るんだ!」
アホな男子たちが一斉に俺に向かって来た。逃げないと死ぬ!てか、何で鏡もそっち側で一緒に追いかけきてるんだよ!
「あいつどこに行きやがった!」
俺は現在、笹木を拉致ったとかでクラスの男子全員から殺されそうになっている。しかし問題ない…。なぜならこの場所は俺ぐらいしか知らない秘密の場所なのだからな!
「赤島見っけ」
その声に俺は驚き振り向くと
「鏡!何で俺がいる場所が!」
「お前がここ入るの見たからw」
「お願いだ!誰にも言わないでくれ!じゃないと俺死んじゃう!まだ生きてたいよ!」
「醜い命命乞い乙w」
「くそったれー!」
「赤島!こんなとこにいやがったか!みんなここに赤島がいるぞ!」
まずいまずいまずいまずい!このままじゃ本当に俺が死にかねない!と、その時。
「待って!」
この声は、まさか!
「笹木!まさかお前俺を…」
「私が直々にやるわ」
その後俺は笹木に腹パンからのドロップキックを喰らいあっけなく散った。
数時間後俺は保健室で目を覚ました。誰かちゃんと運んでくれたのね、ありがと誰かさん。
「あら、目を覚ましたのね」
「あ、伊藤先生…」
彼女は伊藤先生。保健室の先生で保健室に来た生徒に対して優しく対応してくれる器のでかい人。ちなみに胸もでかい。色々でかくて、最高だぜッ!
「体調はどう?」
「ええ、頭痛がするだけで他は何も…」
「あまり良好でないならしっかりと休んでおきなさいね」
この人天使かよ。
「では私は職員室に戻るけど問題ないわね?」
「はい、大丈夫です。ありがとうございます」
と言って先生は保健室から出て行った。やばい惚れそうだった。でも、俺は佐藤しか選ばない!
2時間目終了のチャイムが校内に鳴り響き廊下からは沢山の人の声が聞こえる。俺も授業に出席しないといけないので仕方なくこの場を後にする。
「おっ、赤島ー。大丈夫かー?」
「他人事のように…。お前もそいつらの共犯者だからな」
「あれぇ?赤島ぁ?なんで教室戻ってきたぁ?」
いるよなぁ、上位に立ったら調子に乗るやつ。
「いや、俺も授業出なきゃトンイ足りなくなるだろ」
「お前は今すぐ退学した方がいい人間だ」
「そーだそーだ!今すぐ退学しろ!」
「「たーいがく!たーいがく!たーいがく!」」
みんな一致団結して俺のことはぶきやがる!こいつらあとで一人ずつ呼び出して鼻フックの刑にしてやるからな!
「皆さん、あまりいじめると赤島君が泣いてしまうのでその辺でお辞めになってはいかがでしょうか?」
「委員長…!俺は君のこと信じ…」
「あまり近づかないでもらえませんか?汚いので」
俺はゴミ扱いですか。
放課後、旧校舎の教室に集まったのは案の定俺と鏡だけだった。
「今日は笹木がいないからお前の厚生を図ろうと思う」
「お前にゃ無理だろw」
「うっせぇ!俺はちゃんと策を考えたんだよ!」
「へぇ…。どんなだーい?」
調子に乗りやがって…!そんな気持ちをぐっと堪えて俺はその策を言ってやった。
「それは…お前に一から礼儀を叩き込むんだ!」
「礼儀ぐらい知っとるわ、なめとんのか」
「なめてなんかいない!考えてみろ。お前が礼儀を一つ一つ丁寧に挨拶から動作まで一連のものにしてやればそれがいつしか癖になって暴力なんかやめられるだろ!」
「やめるかは知らないけど、一理あるな」
「早速練習しよーぜ!」
こうして鏡の厚生が開始された。…しかし
「なんでそこで殴るんだよ!俺じゃなきゃ死んでるぞ!」
「ここで殴ったら良いスキンシップになるじゃんか」
「ならねえよ!ここで殴ったら友達消えてくわ!」
「でも、おはようの時に手を顔の横まで上げてピースして、ハーイ!マイネームイズ鏡!なんて言わないだろ!」
「確かに!それ自己紹介だわ!」
「普通に手あげる感じでいいだろ!」
「確かに!」
といった具合に俺は鏡に教えるどころか教えられてた。なんだこれ?
「まあ赤島のやり方あっての普通の挨拶だからな…。お前アドバイザーにでもなったら?」
「ならねえよ!とにかく今日覚えたことを明日の朝実行しろよ」
「全く…赤島はほんと脳筋なんだから」
「とにかく明日実行してくれれば改善点とかも見つかるから頼むわ。んじゃ今日は解散なー」
と言って俺は一目散に走って家に帰った。だってモン○ンのイベント今日で終わるんだもん!倒せてないんだよ、あの敵!絶対○してやるからな!
厚生プロジェクト開始から4日目。俺はスマホのアラームの音で目が覚めた。今日は鏡が昨日行ったこと実行してくれれば良いんだけどな。それにしか頭が回らず朝は食事も喉を通らなかった。なのに俺の母親は学校行く前に無理やり俺に残った飯口に詰め込みやがった。死ぬぞ、俺。
俺はいつもの通学路を通って学校に登校していた。学校までは徒歩で20分程度なので少し余裕を持って登校しなければならない。そんなことを心の中で思っていたら鏡がやって来た。
「おーい!赤島おはよー!」
と言って俺に手を振ってこちらに向かってきた。
なんだやればちゃんと出来るじゃないか…。俺はそれに感動を覚えながら鏡に挨拶をしようとした瞬間…。
「げぼらぁ!」
強烈なパンチが俺の脳内を揺さぶった。
「お前…不意打ちとは卑怯な…」
「こうすればいつもみたいに避けられないじゃん☆」
「そういう問題じゃないからね!昨日言ったことちゃんとしてきたから褒めてやろうとしたのに…」
「いらんわ、そんな誰も得しないご褒美」
「絶対全国の赤島ファンが喜ぶぞ!」
「そんな奴いないよ?頭使えーw」
そーでした。俺に味方はいないんでした。
本作も読んでいただき誠にありがとうございます!今回は鏡君の厚生が少し始まりましたね!裏話ですが、実は話が長くなると踏んでここで終わらせました。次巻ではしっかりと鏡君の厚生の続きを書くつもりです。最後に、読者の皆様に感謝の気持ちを込めて!