女王様(笑)と下等民族
梅雨の初めの昼休み。
私は窓の外を見ていた。
暑くも寒くも無くて、蒸し暑い。
周りは四限目にあった、漢字テストで盛り上がってる。
私一人を除いては。
「松下~~、テスト何点だった~?」
き、来た。
ダメだ。絶対にダメだ。
この口の軽い新崎に、10点満点中0点のテストを見せるわけには行かない……!
「……さぁ。貴方のような下等民族に答える訳が無いでしょう?」
…………。
おっしゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!
言えたぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!
上から目線で私貴方より点数良いんで、っていう余裕感をだしながら言えた!これでもう、あいつは何も言って来ないだろう!
そう思い、私は机の中から小説を出して読み始めた。
「下等…民族ねぇ……」
そう、新崎が呟くと、明るかったページが暗くなって顔をあげる。
「……!?」
か、顔が……!!近い!顔が、近い!!
ドクンと胸が高鳴った。
新崎は、椅子に座ってる私に覆い被さるように椅子を掴んでた。
周囲からの視線が恥ずかしい。
前のめりになってるからか、第一ボタンの隙間から綺麗な鎖骨が見える。
「俺が下等民族なら……差し詰め松下は女王様かな?」
「はっ……!?」
女王様、と言われて私は羞恥心で頭が一杯になる。
「下等民族の俺が言うのもなんだけど……」
新崎の顔が近付く。
こいつ、意外とまつげ長いんだな、と見とれてしまいそうになる。
そして、私の耳元でこう囁いた。
「漢字テスト位で0点の女王は嫌だな(笑)」
……。
………。
…………。
………………。
「こッッッッッッのッ!!クソ崎がぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
新崎「松下は口が悪い所が可愛い」
初投稿→『恋味ソーダ』
前投稿→『イチゴチョコレートと気まぐれサンタさん』